2017/03/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にティエンファさんが現れました。
ティエンファ > 詩人の歌をBGMに、のんびりと酒を飲む少年の姿。
テーブルに広げた地図を眺めながら、串焼の肉をほおばる。
指についた脂を舐めてから、指でなぞるは、地図上の街道。

「ふぅん、こっちの街道は一時封鎖…ってなると、この村からは結構な迂回になるな…
 しかも、使われてない山道。 成程ね、だからこんな依頼が張り出されるわけだ」

自分が受けた依頼を思い出す。 比較的近い村だが、わざわざ護衛を募集するということで、理由を調べていたのだ。

ティエンファ > 「ってなると、当然盗賊とかもこっちの道に張るだろうけど、襲って来るならどこだ?
 …襲いやすいのはこのいろは坂だけど、当然商人たちも警戒するって判ってるだろうし…
 うん、道が狭すぎる 荷を落としたら襲い損だから、そんな危ない橋は渡らないだろうな」

う回路を指でなぞれば、蛇行する山道を眺め、除外する。
逆に、だ。 自分が盗賊であるなら、どこが狙いやすく、奪いやすいかを考える。
同時に、自分が商人であるなら、どこの辺りで休みを取るか、気を緩めるかを考える。
酒を呷り、肉を齧って、しばしの黙考。

ティエンファ > 「…麓、だな」

小さく唸り、山道を終える麓の道を指で押さえる。
地元の山師が描いたそれなりに詳細な地図なので、地形の情報は信頼がおける。
その上で少年が選ぶのは、現在使われている街道に続く山道の終わり際。

「道も拓けて、山の上から街が見える、街道も近いから商人達も安心するだろうな
 …でも、同時に、商人達の背後が、襲うに地理的に有利な勾配だ
 慌てて商人たちが逃げようとしても、崖下に落ちるほどに道は狭くないし、襲うにしても危険はない」

脳内でその様子を想像する。 もう一息と気を抜いた商人達にむけて、山の上から降る勢いのついた矢の雨。
ゆるんだところを襲われて、驚き慌てふためき、とにかく真っすぐに街道に逃げ行こうとするだろう。

「そこに罠を仕掛けておけば? 馬車の馬の脚を引っかける綱を張っておくだけでも十分だ。
 転んで足が止まっちまえば、あとは矢で襲うも良し、仮に抵抗されても、街道から遠いから警護隊も気づかないだろうな」

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
チェシャ=ベルベット > ティエンファが広げた地図の上に何か生き物が飛び乗ってくる。
それは夜色の毛並みをした1歳にも満たない猫だった。
串焼き肉の乗った皿をふんふんとひとかぎして、うろうろと地図の上を歩き回る。
が、ひとしきり図面を読み取ったかのようにぐるりと廻るとちょんと真ん中に座り込み尻尾を揺らした。

「見かけによらず賢いじゃないか。ティエなんとか。
 次の仕事の算段をつけているのかい?」

その猫の口から少年の声が聞こえてくる。
以前ティエンファが一度話したことのある少年の声だった。

ティエンファ > 悩みながら酒を傾ける少年は、不意に地図上に現れた、山をも跨ぐ大きな子猫を見る。

「うん? なんだ、にゃんころか どうした、いい匂いでもしたか?」

声をかける。 返事など求めないまま、猫に手を伸ばし、柔らかな手つきでするりと首筋をなでる。
無造作だが、猫の扱い、撫で方に慣れた指先の動き。
しかし、猫の口から人語が生まれれば、流石に目を丸くして。

「その声は、チェシャ? え、嘘、マジで? あれ、使い魔とかじゃなく!?
 え、あ、ああ、うん、商隊の護衛依頼を受けたから、その予習っていうか…いや、それよりチェシャだよ」

まじまじとその子猫を見つめる。 ちょっと顔を寄せて、その目を見つめ。

チェシャ=ベルベット > 無造作なティエンファのなで方に憮然とするもくるしゅうないとふんぞり返り
猫眼を細めながら首を上へと伸ばす。

「魔術に精通していればこんなことぐらい朝飯前なんだよ。
 それにしてもおまえ、酒もやるのか、
 へぇ……慣れてないということでもないと。

 まぁ僕の見立てでもたぶん襲うなら麓あたりが一番狙い目だと思うね」

地図の端を猫の前足でてしてしと叩きながらティエンファの意見に同意する。
覗き込まれれば、なにか気まずいような気がして身を引いた。

「なんだよ、猫が珍しいってわけじゃないだろ。
 そんなに目を丸くするなよ、間抜けに見える」

ティエンファ > えっへんと胸を張る猫を見れば、どうやら猫好きらしい少年は相好を崩し、滑らかな子猫の首筋を撫でてやる。
嫌がられていないようなので、そのまま撫でつつ。

「魔術ってのは凄いなあ…俺はさっぱりだから、どうやって猫になるのかも分からんけど
 うん? ああ、酒は飲むぞ! 美味いからな! チェシャはー…その身体では呑めそうにないな
 お、チェシャもそう思うか? やっぱりそうだよなあ、高所に背を向けてるのだけども怖いってのになあ」

身を引く猫から顔を離し、ちょっと笑う。

「いや、猫は珍しいが、特に綺麗だからさ 可愛いな、チェシャは」

チェシャ=ベルベット > もっと上手に撫でろよ下手くそ、と
かなり猫好きの中ではいい具合に撫でているはずのティエンファに文句を垂れる。
が、わりとそのテクニックに屈指気味で機嫌良さそうに尻尾の先を揺らしている。

「馬鹿にするなよ、僕だって酒ぐらい飲める。でも今はだめ、完全なオフじゃないから。
 人数にもよるだろうけど、避けるか護衛を固めるかしたほうがいいね。
 まぁこんな依頼で盗賊ごときに遅れを取っていたらあんたの命はいくつ会っても足りないだろうけど」

はん、と小馬鹿にしたように肩で息を吐いて、笑いかけるティエンファに
すこしばかりもじもじと恥ずかしそうに前足を踏んだ。

「はぁ?猫が珍しいってシェンヤンの山奥にだって猫ぐらいいただろう?
 それから僕が可愛いのは当然だから、可愛いっていうな、ばか。
 君に褒められたってちっとも嬉しくないんだからな」

そういうわりに落ち着かなさそうにひげをぴくぴくと震わせる。

ティエンファ > へいへい、と、喋る猫に意外とすぐに順応して撫で方を変える。
指先でくすぐるのではなく、手の中に包むような、柔らかで温かい撫で方だ。
掌で横顔を撫でながら、親指で耳の付け根あたりをこするようにする。

「オフじゃないからって…ああ、なんだ、ご主人さんのお使い中か? 大変だなあ、召使いってのも。
 今度オフの時に逢えたら、一杯やろうぜ、チェシャ
 …うん、だな、だけど、護衛はあんまり増やしすぎても足回りが悪くなるし、商人も金を出しにくいだろ
 だったら、雇われた側としては、精一杯のことしたいじゃん?
 勿論、盗賊の5人や10人は、俺にかかりゃあ楽勝だけどな」

呵々と明るく笑って見せる少年は、しかし、そんな大言壮語と同時に、地道にこうして予習を尽くしている。
豪胆と小心を併せ持ち、なお堂々と道を進む少年の生き方が表れていた。

「いや、山奥過ぎて、師匠がどっかからか拾ってきた猫一匹しか見た事なかったんだ
 そうか? 良いじゃん、可愛いし、綺麗な毛並みだ 撫でてて飽きない …うん、良いな」

誉めそやすのではなく、素直な気持ちを口にしていると、チェシャにも判るだろう。
チェシャの頭から、ゆっくり丁寧にしっぽの先までを撫でる大きな掌。

チェシャ=ベルベット > ん、と撫でられ方を変えられれば座り姿勢から伏せの姿勢へ。
最後の意地で喉を鳴らすのだけは我慢しているようだが
傍目からはきっと人懐こい猫とその飼主ぐらいには見えるだろう。
大きな、鍛えられた手のひらが心地よい。

「いやだね、おまえと飲んだらきっと朝まで絡まれそうだから。
 それと僕は、その後寝たい相手としか飲まない。
 お前きっと、そういうの、耐えられないだろ?童貞くさいもん。

 ま、僕があれこれ言っても実働はお前だからお前の好きなようにしたらいいよ」

勉強熱心なことで、と呆れたようにつぶやいた。
だが地道な努力を厭わず頭も巡らせるティエンファにはひっそりと感心していた。
敵に回せば厄介この上ないが、味方になってくれれば頼りになるだろう。

「猫を見たことないとかマジで田舎者だな……。
 しかたないなぁ、田舎者くんのために今日だけは僕を自由に撫でる許可をやるよ。
 存分に撫でて奉仕するように」

常に上から目線の言葉でティエンファの手に頭を擦り寄せる。
ベルベットに似た毛並みが優しく少年の手のひらにこすり付けられた。

ティエンファ > 撫でやすい姿勢だなあ、とか思いつつ撫で撫でから、なーでなーでという感じの手つきに変える。
可愛がると言うよりは、慈しむように 丁寧な撫で方は、自分が撫でたいからと言うよりは、仲良くしたいから。

「俺そんな悪い酒じゃないよ!? きっと、多分、うん…えーっと…だいじょう、ぶ…かな?
 って、寝たい? …って、ああ、そう言う …ふぅん…」

よくある、男と?と言う様な沈黙…だと、チェシャには思えただろうか。
しかし、少年はコロ、と笑顔に戻って、

「じゃあ、チェシャが俺と飲んでくれた時は、俺と寝て良いと思えるくらいに仲良くなれた、って事だな
 俺は、チェシャと酒を呑みたいと思うよ」

あっさりと、しかし笑って言い切った少年の声は柔らかく。

「って、ど、どどど、童貞ちゃうわ! いや、マジでちゃうわ! 口悪いなチェシャお前!?」

チェシャが感心するほどに真面目な少年は、しかしすぐに慌てて言い返す。
子供っぽい明るさと、大人顔負けの慎重さが同居する、不思議な武芸者。
耳聡いチェシャなら聞いているかも知れない噂では、すでに腕の立つ用心棒として名kが売れ始めている。
普通ではないのに、普通の少年らしさを残した異邦人は、チェシャの目にどう映るだろうか…。

「帝国とも王国ともつかない山の合間で育ったからなあ…そこいらの田舎者よりも筋金入りの田舎育ちだぞ!
 うん? あ、マジで? しちゃうしちゃう、ご奉仕しちゃうとも!」

チェシャの棘がある、上から目線の言葉遣いにも嫌な顔すらせず、
むしろ自分から近づいてくるような少年だ。
頭を擦り寄せる子猫のチェシャを優しく撫で、指を曲げて喉の下をふわふわと擽る。
無理に抱き上げる事はなく、チェシャが近づけば、その分近く。
チェシャのしたいようにさせながら、それでも、一緒にいる…そんな間合いで微笑むのだ。

チェシャ=ベルベット > おや、というように片眉をあげた。

「意外だね、男と寝るのに抵抗あると思ったけど……。
 別に僕は今すぐやってもいいぜ、それが仕事ならね。

 っていうか、この国じゃあ儚い童貞なんかすぐに散っちまうから
 あんまりそんなわかりやすい反応しないでよ。からかいたくなる」

この不思議な印象の少年に、チェシャは興味を持った。
だがそれを悟られるのは自分のプライドが許せない。
自分が主人以外の人間を内側に入れることはあってはならないのだから。

しばらく撫でさせ続け、自分の体を存分に愛撫してくる相手に身を委ねていると
擬似的なセックスにも思えてくる。勝手にチェシャがそう感じているだけだが。
ふいに、ティエンファが撫でる手の指、人差し指にぺろりと舌で舐め、優しく甘噛する。
それこそ人間で言うキスのような仕草で。
猫にはない粘ついた舌使いで指をなめしゃぶるが、やがて3秒もしない内に口を離した。

「今夜はここまで。次会うときは君と寝るかどうかにする。
 僕に童貞とられるのがいやならきれいなお姉さんにでも土下座して一人前にしてもらいな」

すっくと立ち上がり、ティエンファの手をすり抜けてテーブルから飛び降りる。

「それじゃあばいばい。ティエなんとか。
 僕に黙って勝手に野垂れ死んだりしないように」

それだけ告げると猫は足早に酒場を後にした。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」からチェシャ=ベルベットさんが去りました。