2017/01/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシルヴィアさんが現れました。
■シルヴィア > ――時間帯もまだ深夜呼ぶには少しだけ早く、今だ多くの店と露店が賑わい、人と人との繋がりも流れも絶えず平和な日常が表面上では営まれている。
一歩でも裏に入れば闇の中、影に潜み奪い強請るものが眼を開かせている危うさと平穏がギリギリで保たれた日常、今宵は「あの日」と同じように微々たるものでは亀裂が入り、非日常が日常を侵食する……。
酒に酔うもの、帰宅を急ぐもの、まだ仕事が残っているのか足早に店に戻る商人、欠伸を噛み締める衛兵、それらが入り混じり生み出された人の流れに唐突に空間が出来る。
人一人分、誰もが意識していないのに其処だけを避けて人々は日常を続ける。
見ようとしなければ見えず、感じようとしなければ感じれない、非日常、それは最初蛍火の如き小さく暗い輝きで、それが通りのあちらこちらから人々の足の合間を抜け、群れ集い始めていた……。
それが明確な形になるのは蛍火が群れて数分も経たぬ内で、まずそれが白から黒紫へと光の色を変化させたと思えば、直ぐに光が人の形を創り始め、最後には命尽きた羽虫の如く光が通りの地面へ落ちると、其処には人影が生まれていた。
相貌を隠す長い銀色の髪、髪の合間からは瞳の輝きは見えず代わりに薄く三日月に歪んで笑みを浮かべる唇が映え、見るものに怖気を刻むこむ奇妙な表情を浮かべていた。
奇妙なのはその表情だけではなくこの寒さだというのに白く薄汚れたシャツを一枚しか身に着けておらず、辛うじてシャツの裾が足首までも包んでいるが、その先には靴はなく、白い指先が露出している。
それより何より、その人影は銀色の髪の1本1本から素足の足先まで全てが蛍火と同じ黒紫の陽炎をまとっており、それが人影が非日常の存在だと周囲に知らしめている。
――しかし、誰も見えない、認識しない、触れない、声をかけない、気がつかない
それはそういうものだった。
「………賑やかなのは何度も一緒。此処は光と音に満ちていていいネ……。」
歪み切った笑みを形成する唇で一度小さな声色で呟くと、身体の節々に走る鈍い感覚に両腕をぐーっと伸ばして背筋を伸ばし、その鈍い感覚を解きほぐそうとし、視線は紡ぎだした言葉通り、人々の姿を生活の光を追って右に左にと視線をめぐらせた。
■シルヴィア > ――それが夜風に吹かれ光に誘われながら歩き始めれば、人は無意識にそれを避けるように歩き、勘の良い者はそれを必要以上に避けて、それが一体なんだったのか?と道はずれで小首の一つでも傾げるだろう。
死者にして不死なる王と呼ばれるレイスと言う人の成れの果て、決して生者と交わりその魂を喰らわずにはいられない死者、だが黒紫の陽炎をまとう人影は違う、人が離れて行くのと同じぐらい離れ、誰にもぶつからぬ様に戯れにでも魂を傷つけぬように歩き続け、素肌に感じる生を楽しむ。
「…………何事もないのが一番。後出来れば見つかりたくないし、見つけたくないし、奪いたくない……。」
短くも矛盾を孕む言葉に聞こえるか、気が触れた人の言葉と聞こえるか、瞳の輝きよりも唇が一際印象を残すその唇で愚痴に近い呟きを溜息と共に吐き出すと、直ぐに首を左右に振りかぶり、長い銀糸を思わせる髪を揺らして、どんよりと重たい考えを振り払おうと。
今宵は楽しいことを探しに生きているうちに出来なかった事を堪能しに来たのだが、よく考えれば硬貨も持ち合わせていないし、今この服装では硬貨を仕舞う場所すらない。
まずは、何処かで服を入手するか、服を作る為の参考になるものでも探そうと当初の予定を変更し、気がつけば足先はそんな衣服や装飾品のお店へと向っている。
歩く度に黒紫の陽炎は夜風に吹かれて揺れ、地面に触れぬ足は僅かな砂埃も巻き上げず、歩く姿すら静かに夜の平民地区を闊歩する………。
(あ、でも硬貨は欲しいし、服も欲しいし、「敵」がいれば奪ってもいいかも?)
のんびりゆらりと歩く姿からは想像できぬほどにそれが不死者の王だと理解出来る、そんな物騒な事を極当たり前のように考え、周囲に向ける視線にも獲物を探すような色さえも混じっている。
■シルヴィア > 正者ではないし、光の下を歩くのも難しい、でも決して悪ではないし、かと言って善でもない、昼に傾く事も夜に沈む事も出来ない半端で曖昧な不死者の王。
今宵は黒紫の陽炎を揺らし、足先は気の向くまま何処かへと向っていく。
それが居た事を覚えているモノはいないかもしれない、が路地に生える雑草が花が枯れて崩れて朽ちていくのを見ればそれらに詳しいものなら気がつくはずで……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシルヴィアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシャルレさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシャルレさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシャルレさんが現れました。
■シャルレ > 平民地区の住宅街、大通りの端っこを歩くフードをかぶった小柄な娘の姿がある。
隊舎への帰り道、近道のつもりで塀の上を歩いたり、脇道に入ったり猫のまま動いてたけど
ようやく人の多い通りへと出てくる前に姿を人に変えて、往来が思ったより多く
道の端っこ邪魔にならないように歩く。