2016/12/30 のログ
ご案内:「平民地区 /温泉宿」にノアさんが現れました。
ノア > 最近すっかり常連になりつつある、自宅からも程近い温泉施設。安くて庶民的な雰囲気の公衆浴場は、家族連れや老夫婦などの客が殆どを占めている。だからこそか、こんな時間となれば貸し切り状態だという事に気付いてからというもの.. 寝る前のひとっ風呂を浴びに此処へ来るのが、習慣になり始めていて。

「 .........ふぁ、あ.. 」

種類も少ない湯船の内、比較的ぬるい浴槽で。気の抜けた声を漏らしながら肩まで浸かる、女が一人。

ノア > たくさんの素敵な出逢い、初めての経験や危険な経験、怖い思いをしたりもしたけど楽しい思い出だっていっぱいできた。湯に浸かりながらぼんやり、一年を振り返っていると..

「 .....あつ。」

白い肌はすっかり桃色に染まっていて、逆上せる寸前。ゆるりと湯船から上がり、身体を洗い流してから浴場を後にした。

ご案内:「平民地区 /温泉宿」からノアさんが去りました。
ご案内:「王都平民地区」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 年の瀬も迫りに迫ったある日の晩。妖仙の姿は、少しばかり物珍しい所にあった。王都の平民地区というだけならば、自身の商館も軒を連ねているのだから不思議はないのだけれど、今宵腰を落ち着けているのは、通りを幾つか挟んだ向こうにある冒険者ギルドの一室だったのだから。尤も、これまで全く縁も所縁もなかったかといえば否で、隊商の護衛やら薬品の採集などの依頼の発注者となった事は間々ある。とはいえ、依頼者当人として姿を見せたのが物珍しいのだ。

「むぅ、せめて発酵済の茶にしておけばよかったのぅ。」

平素、依頼の文面だけを送っていたのだけれど、今回の依頼については直接依頼者自身が冒険者の面談をするという触れ込みで、酒場とちょっとした宿泊施設も内包している広い施設の中、一つの個室を面談室として借り受けている。手にしたカップには、中身を七割がた残して冷めてしまった黒褐色の液体。平素、緑茶か酒を主たる嗜好飲料としている妖仙には馴染みが薄く、ギルドの者が好意で用意してくれた物であるからこそ、粗雑に扱いも出来ない。

「応募者は、まずまずといった所かのぅ。報酬を相場の一割り増しにした事が、存外覿面じゃったと見ゆる。」

依頼の種類は、表向き二つ。一つは国境を越える隊商の護衛。もう一つは王国辺境部での薬草採集。応募する冒険者の希望と適正を見て振り分ける心算で、十人弱との面談を持った後だ。日付の変わる頃までは受け付けるとギルドの職員に伝えているから、ひょっとしたらこの部屋の扉を叩く者が現れるかもしれない。

ホウセン > 依頼の種類は、表向き二つ。そう、”表向き”だ。ギルドの職員にも伝えていない依頼を一つ、腹の中に収めている。特異な依頼かといえば、上っ面だけならありふれたものだろう。告げられるとしたら、妖仙自身の護衛というものなのだから。小なりといえども人外たる存在の護衛というのは、商人の息子という擬態中の邪仙の正体を知る者からしたら滑稽に映るかもしれないけれど。報酬は破格、拘束期間は余り長くないという、誠に効率の良い仕事ながらに、斯様な依頼があることを開陳されるのは見目麗しい女性冒険者に限られよう。

「ぬぅ。せめてこう、砂糖をこれでもかと放り込んで、捏ね繰り回して如何にか…じゃな。」

珈琲の始末に頭を悩ませつつ、白いカップの縁を細い指先で撫でる。机上に肘をついて、如何にも無聊だという風情を隠そうとしないままに、椅子に腰掛けても床に届かぬ両足を行儀悪くプラプラ。そも、酔狂にも冒険者ギルドに足を運んだ事自体が、暇潰しの一環である。確かに依頼したい事柄はあったにしても、最後の未公開の依頼は、護衛の名を冠した玩具を手に入れようという試みに他ならない。たまには男に媚を売る手管に長けた商売女から河岸を変え、市井の者も摘み食いしてみようか。突き詰めれば、それだけの話だ。面接ともなれば直接顔を合わせる事になるし、直接顔を合わせさえすれば、己の眼の影響下に置くことも出来よう。幸いな事に、建物内には宿泊に応えられる部屋もある。細部の打ち合わせをする等と口実をつけて連れ込む事も、きっと難しい話ではあるまい。