2016/12/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシャルレさんが現れました。
■シャルレ > 夜のお散歩と仕事が終わって自由時間になると
猫の姿で街を歩く、人よりも危険は低く
運が良ければ猫好きに撫でてもらえるかも、という期待
街の通り、冷たい石畳の上を足音もなく歩く
真っ白な猫が歩く、隊舎まではまだ、距離もあるから
気持ちだけ急いで
■シャルレ > さすがに、夜も遅く寒い
通りに人は、いない。と、なると撫でてくれる人もいないんだから、帰り道の足取りも早くなってしまう
「にゃーん」(さむーい)
びゅぅぅーっと冷たい風が通りを抜けていく
三角の耳が揺れて毛も揺れる
思わず座り込んで体を丸くして
風が抜けるのをジッと待ってた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にカリギラさんが現れました。
■カリギラ > 「寒い…やっぱりローブは厚手に限りますね」
水場の仕事のせいで今日は手が悴んでしまっている
魔法で洗浄をしても最後の最後は手仕事で終わらせるのが掃除の秘訣
そのせいで指先の感覚が滅されそうになってしまったが
「早く帰ってスープでも作って…味付けは濃くしよう」
さっぱりとしたのも良いけれど今日はそういう気分
夕食の献立を考えながら夜道を歩く
ふと道の端に何か転がっているのを見つける
綺麗な白一色の何か、近付いてみるとそれが震える猫だと分かる
「野良…にしては綺麗ですね?」
■シャルレ > 人の足音がする、風が強くて耐えてたけど
近づくおとに耳がくるっと動いて
「にゃーん」(おにーさん、さむいねー)
人の言葉はわかっても、人の言葉は話せない
猫の鳴き声にしか聞こえない声で話しかける
それから、風避けのように足元にまとわりつくよう動いて
「にゃーん」(足元でも少しあったかい)
■カリギラ > 「おや…」
飼い猫かと思ったが想像よりも人を警戒しないらしい
それに何だかこちらを見る瞳に知性が宿っている様にも…
「寒い…ですよね?
風除けくらいにはなってあげますけど、貴方のお家はどこなんでしょうね?」
しゃがめばローブのおかげで完全に風邪を防ぐ壁の出来上がり
顎を撫でてみたりしつつ飼い主の事を考える
汚れも傷も一切なくかなり人懐っこい猫
買い主が居るだろうしかなり探していると思うが、周りにそう言った人物は見られない
■シャルレ > しゃがむと、風が止まって暖かい
足元でも喉を撫でられて、止められない
ゴロゴロと喉を鳴らし指に擦りついてみる
「にゃー」(喉ゴロゴロするーすきー)
辺りを見回すようにしてる人
何をしてるかわからないけど、指が撫でてくれてるのを気に入ってるから体は足に刷りつき、尻尾を絡ませて
■カリギラ > 「どうしたものでしょうねぇ…衛兵の所に連れて行けばなんとか?」
衛兵の所に連れて行けば飼い主が探している情報があるかもしれない
しかしもしそんな情報がなかった時の事を考えると不憫だ
「猫さん、貴方の家はどこですか?
…なんて、聞いたら答えてくれたりしませんかね?」
そんな事を尋ねてみるがどうにも顎撫でが気に入ってる様子
こんなに無警戒にじゃれつかれると中々可愛いものがある
しかしいつまでもこうしてはいられない
さてどうしたものか…
■シャルレ > 「にゃーぁー」(お家わかる、こっちだから)
立ち止まり、優しく風避けにもなってくれて
撫でてもくれた、いい人だ
ひとしきり撫でられて満足したのか、スルッと足元から離れて
スタスタと数歩先に歩いて振り替える
「にゃーん」(ありがとう )
風避けの休憩と撫でてくれたことにお礼を鳴いて
通りから瓦礫を上り屋根に上がる
屋根の上を近道としては、帰り道ルートにもどっていった
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシャルレさんが去りました。
■カリギラ > 「ん、どうかしました?」
足元を離れて歩いて行く猫
スルスルと屋根の上まで上がっていき何処かへ向かう様子
「帰巣本能ですかね…ふぅ、これでゆっくり眠れそうです」
猫が帰っていくのを見送り自分も帰路へ
スープを楽しみにしながら先程までより気持ち足取り軽く
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からカリギラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 大通り」にユークリッドさんが現れました。
■ユークリッド > 夜の大通りは、人気も多く賑やかだ。
年の瀬の慌ただしさに、浮かれ気分も重なって。
酒場の呼び込みも、店の客引きもラストスパートと言った具合だ。
通りがかる人々も気が大きくなっているのか、普段よりも豪華な物を食べたり買ったり。
どことなく祭りのような賑わいを感じる中、しかし少年はどこかしょんぼりとしていた。
その足取りはゆっくりとしていて、往来の中でもわずかに浮いて見えるだろう。
「うぅ、お財布は空っぽなんだよなぁ。
お腹空いたけれど、買うお金ないし……。」
少年は、己のお節介を呪っていた。
つい先ほど出会った少女が、なんでもこの人通りの多い道で財布を落としてしまったのだという。
ましてやその金で、病の母に薬を買ってやろうとしていたのだとか、そんな話まで聞かされて。
その時は何も考えずに財布の中身をそっくり渡してしまったが、今になって実は詐欺だったのでは、という考えが去来する。
しかし真相を確かめる術はなく、願わくばこれで母子が少しでも良い目を見てほしいと祈るのが精いっぱい。
とぼり、とぼり、と楽しそうな人込みを縫うように進んでいく。
ご案内:「王都マグメール 大通り」にアルスさんが現れました。
■アルス > 人気の多い華やかな大通り。
酒場や商店の客引きの賑やかな客引きに愛想笑いを向け断り歩き。
年終わりも近くなれば普段よりもお金を使うのか豪華なことをする人も多く見える。
そんな中に混じる自分も一仕事を終えて暖かい懐でどこかいい店がないかと歩き。
「あの店もよかったが…あそこは呼び込みの割に空いているか。
どこもよく見えるものだな…」
まだ街に詳しい訳でもなく呼び込みや賑やかな場所を見ればいい店なのかと考えてしまい。
つい周囲を見るのを疎かにして店を眺めて歩き、気が付くと前から華奢な少女?の姿。
避けるに進む方向を変えるが間に合わずに軽くぶつかってしまい。
「すまない、前を見ていなかった。大丈夫か?」
不注意でぶつかってしまった相手から一歩下がり軽く頭を下げて声をかける。
■ユークリッド > ちょうど刻限は夜の食事時。
周囲の酒場からは、実に美味しそうな匂いが流れてくる。
ある店からは名物の具だくさんスープの、またある店からは豪快な厚切りベーコンのソテーの。
パンを焼き、スープを煮込み、肉を燻る、それぞれの店の名物の匂いだ。
堪らず少年の腹も鳴るが、しかし先立つものはない。
丁度依頼されていた物品の納品も済ませてしまったから、今日これからの収入も見込めない。
「あぅ、やっぱり、あそこで一緒に探してあげたほうがよかったのかな?
でもそれだと見つかるかもわからなかったし、病気の人を待たせちゃダメだし……」
難しい物を考えるかの様な表情で歩いていた少年は、しかし近づいてくる女性に気づかない。
そのまま、避けてくれた彼女を引っ掛ける様にぶつかってしまうと、少年は慌てて顔を上げる。
「わわっ、こ、こちらこそすみませんっ!その、前見てませんでしたっ!
あ、えと……ボクは大丈夫、です。お姉さんは、その、怪我とかなさってませんか?」
想定外のことに慌てているのか、早口で捲し立ててしまいながらの謝罪が飛ぶ。
その後は、怪我をしていたらどうしよう、と心配そうな上目遣いの涙目を向けていた。
■アルス > 夕食時なために人込みも多く。
各店からのそれぞれの名物料理の香りがする中でぶつかってしまった少年に頭を下げて様子を見るが、その慌てた姿に返って恐縮をしてしまい。
「そんなに謝らなくていい。前を見ていなかったのは私も同じだ。
キミだけが悪いわけではないよ。怪我もないから安心していい」
慌てているのか早口に捲し立てるように話す相手の姿に慌て。
言葉使いで男と今更にわかって。
「私はこの通りなんともない、それよりもキミこそ怪我はないか?」
人が多ければちょっとしたことでも目立つ事もあり。
謝罪をする少年になんともないというように胸を張って見せ、大きな胸が揺れて。
それよりも少年に怪我はないかと心配して涙目の少年を見下ろす。
■ユークリッド > 人通りは尚も多く、途切れる気配はない。
人波は立ち止まっている二人を避ける様に流れており、今いる場所だけが違う時間のようにも感じられる。
目の前、上目遣いで見つめる先、豊満な胸元が僅かに揺れる。
思わず注視してしまい、その後慌てて視線を逸らして、顔を真っ赤に染め上げながら。
「あぅ、ボクは、はい、怪我はなかったです。
だから、その、なんともない、です。平気ですよ!」
男としての性が反応してしまったことに対する羞恥か、少年は真っ赤なままもじもじと気まずそうな雰囲気で。
どうしよう、とは思いながらも上手い切っ掛けを掴める訳でもなく、それがさらに狼狽を加速させる。
少女然とした華奢な少年は、見た目とは裏腹で確かに男の子である。
彼女の麗しい見目を、女性的な肢体を今更ながら意識してしまいながら、正視できずにいた。
■アルス > 立ち止まる周囲を流れる人、時々に視線を感じるが直ぐに去ってしまい。
周囲とは少し違う時間や空気を感じてしまう。
少年の上目使いの視線に笑みを浮かべて見下ろし、急に赤くなったことに不思議そうに首をかしげる。
まさか胸を注視されていたなど思わずに。
「そうか、それはよかった。安心したよ。
とにかく落ち着くと良い。それでは悪い意味で目立ってしまうぞ」
赤くなったと思えば今度は気まずそうにする姿に本当に何があったのかと困り。
何か気の利いたことでも言えればいいのだがまた慌てさせてしまっても困ると何か…と胸の下で腕を組み考え。
ただ…この場でこうしていても埒が明かないと考えて少年の手を取るように伸ばし。
「とりあえずそこの店に入ろう。そのほうがよさげだ」
道でこうやっていても迷惑が掛かると思えば少年に近くの空いている店を指して入ろうと提案をする。
■ユークリッド > 周囲の人々は時折こちらを一瞥するが、すぐに視線を切って人の流れに紛れていく。
彼女の首を傾げる様に、こちらの不躾な視線が気づかれていないことを悟るも、それでも申し訳なさで前を見られない。
おろおろ、あわあわ、少年はまるで小動物のように右往左往を繰り返す。
その最中、彼女の言葉にようやく落ち着こうと、深呼吸を二、三度。
やがて顔色も元に戻ったようで、彼女の胸を見ないように意識しながら視線を向け直す。
「す、すみません、取り乱しました。
……その、大丈夫、です。急に何かあったとかじゃないので――」
そう告げると、差し出される手には少しだけ間があり、その後おずおずと手を重ねる。
そして、彼女と同じくらいの色白の手で、彼女の手を軽く握って。
「あ、あの、でも、その、ボク、お金持ってなくて……
だから、お店入っても何も買えないかなって。」
手を取ってしまった後で、無一文だったことを思い出す。
正直に事情を告げ、そして彼女が何もしなければ、そのまま手を放そうとするだろう。
彼女の手がうれしくて、ついとってしまっただけなのだから。
■アルス > ぶつかってしまいアレなのだが小動物のように慌てる姿が可愛く見えてしまいつい笑みを零し。
深呼吸をして顔色が戻ったが視線が微妙にずれているような気がして。
「何、いきなり見ず知らずにぶつかったのだ。慌てるのは当然だ。
そうか?それならばいいのだが…」
少年の言葉に慌てるのは仕方ないと笑みを浮かべて返し。
差し出した手に少年の手が重なると握り。
「……む、そうなのか…?お金がないのか……。
ならば私が御馳走しよう。ぶつかったお詫びだ、それに今日は懐に余裕があるからな」
手を取った少年の言葉に少しだけ驚いたように目を丸くして。
放そうとする手を握って捕まえ、私に任せておけと胸を軽く叩いてごちそうすると告げて。
少年が抵抗しないならそのまま店に連れて行こうとする。
■ユークリッド > 目の前、彼女の笑みには釣られて笑顔になる。
ふわり、と笑む表情は花が咲いたかのようなもので。
意識的に少し上をみて、彼女に視線を合わせるようにしながら。
「ん、そう、でしょうか?でも、その、ぶつかったのがお姉さんでよかったです。
怖い人とかあんまり得意ではないので、びくっとしないで済みました」
手が重なり、柔らかさと温もりが伝わり、思わずどきりと心臓が跳ねる。
思春期の少年にとって、彼女のような魅力的な女性の笑顔は何よりも強い一撃なのだ。
だからか、少年はそのまま大人しくなってしまい、彼女の提案にうなずいて。
「では、お言葉に甘えてしまいます、ね?
あ、ボクはユークリッドと言います。
長いので、ユゥ、とでも呼んでくれると嬉しいです」
そう言えばお互いに名前も知らないから、と自己紹介をして、大人しく店に連れ込まれる。
くぅくぅ、と空きっ腹を鳴らしながら。
■アルス > 笑みにつられて笑顔になる少年によかったと頷き。
先ほどの慌てた姿から微笑む表情が花が咲いたように感じて。
少年と視線が合えばそらされているわけでないと安心して。
「そういうものだよ。私だって知らない相手にぶつかれば慌てるよ。
今はキミが大慌てだったからかえって冷静になれたんだよ。
なんというかキミは可愛いね」
見た目もだがそのほかにも雰囲気と可愛く感じて。
手を握って年頃よりはやや硬いかもしれない感触と温もりを感じさせて。
少年の今の考えなど想像もできずに笑みを浮かべたまま、提案に頷いてくれた事に安堵する。
「構わないよ、お姉さんに任せるといい。ユークリッド、ユゥ君だね。
私はアルストロメリアだ、気軽にアルスと呼んでくれていい」
少年の言葉にそういえば名前を知らなかったとうっかりとして。
自己紹介を返せば店にと連れ込み、聞こえる少年ののお腹の音にくすくすと笑って。
入った店内は酒場なのか料理よりも酒が多い感じの店で。
入れば二人という事でやや奥まった二人掛けの席にと案内をされていき。
席にと座ればまず少年にメニューを差し出して好きに頼んでいいよと。
■ユークリッド > 上機嫌になれば、少年は素直に彼女を追っていく。
その様子は、小型の犬のようなものかもしれない。
もともとお人好しでおせっかいで、人懐っこい性格だから、人付き合いは得意な方。
自分の容姿を褒める言葉には、しかし恥ずかしそうに縮こまりながら。
「それなら、良かったです……えへへ。
あ、ぅ……ぼ、ボクなんて、そんな……
お姉さんの方が美人だし、綺麗だと、思います!」
力強く言葉を作るが、その内容も結局は恥ずかしくて。
異性を褒めるのに慣れていない物だから、気恥ずかしさ満点だ。
しかし、やがて彼女の名を知る頃には、どうにか平静を取り戻す。
「あるすとろ、めりあ……ん、アルスさん、ですね。
それでは、アルスさんにご馳走になります。」
ぺこり、と頭を下げて謝意を示すと、店の中へ。
食事処というよりも酒場という雰囲気は、今まで昼間にしか入ったことのない場所だった。
奥まった席に案内されると、席にちょこんと腰を掛ける。
差し出されたメニューを見ると、じぃ、と眺めた後で。
「では、外が寒いですから、この野菜のスープと、あとはパンを少しお願いします」
注文するのは、どこの店でも安価で売られているスープとパンのセットだった。
人にごちそうしてもらう、という経験も少ないものだから、遠慮してしまった結果である。
しかし、こうしていらない気を使うことも少年の好みの範疇で、しかも性分でもあって。
直らない癖のようなものを見せながら、空腹を抱えて待ち焦がれる。おいしいスープを。
■アルス > 追ってくる少年の姿が何となく小さな子犬のように感じてしまい。
そのせいか初めて会ったにもかかわらずに話しにくいや警戒心というものを持てずにいて。
思ったままを口にすれば恥ずかしそうにする姿がまたかわいく見えて。
「キミのような弟がいればと思うよ。国の弟は可愛くなくてね。
私がかい?そんなことはないよ」
自分のことを褒められてもそうなのかな?とまず疑問を持ってしまい。
でも力強く言ってくれることに悪い気はせず、人の多い場所でなければ思わず抱きしめたかもしれずに。
「そう、アルスでいいよ。
今日は私はそれなりに持っているからね、遠慮しなくていいよ」
頭を下げる少年に仕事終えたばかりだというように告げて。
店の雰囲気とやや酒の匂いがきつい気のする店内に入れば店を間違えたかと考えるが少年を連れて入った手前店を変えるとも言えず。
席に座れば少年が何を頼むのかと見詰めて。
「それでいいのかい?それじゃ私も同じものにしようか」
少年の選んだどの店にもあるような安価なセット。
遠慮しているとは思わずにきっとそれがおいしいのだと考えて。
気を使われているなど思わずに注文をすれば…
「そういえばユゥ君は学生かな?」
料理が来るまでの間少し話をしようと身を乗り出して話しかける。
■ユークリッド > 「弟さんがいらっしゃるんですか?
いいですね、素敵なお姉さんがいますから」
少年は今のところ一人っ子。
妹か弟が生まれるかもしれないが、それは両親が頑張る話。
少年には関係ないところなのである。
ともあれ、一人っ子の少年は兄弟姉妹に憧れを抱いていて。
彼女のような姉が居たらいい、というのもまた本心だった。
優しくて頼れる姉、だれであってもほしいものだとは思うけれども。
「い、いえ、その、呼び捨てにするには、ちょっと勇気が足りないので……
あぅ、遠慮は、その、が、頑張ります!」
遠慮するなと言われてもしてしまうのが少年の性格で。
とはいえ彼女が同じメニューをというと、慌てながら。
「あわわ、そ、それじゃ、その、お肉も食べたい、です。
ただ、一人で食べきれるかわからないですし、その……」
ちら、ちら、と相手に視線を向けてから。
「い、一緒に食べてほしい、です。
アルスさんの好きな物とかも教えてほしいですし」
慌てていろいろ注文し始める。
何せ彼女とせっかくの食事の機会なのだ、楽しいほうがいいに決まっている。
そして彼女の質問にはうなずきながら。
「はい、ラジエル・コクマー学院の学生をしてます。
少しだけ魔法が使えるので、魔法学を勉強できるところに進もうかなって」
実際は、魔力を対価にすれば色々できるのだが、それは必要になったときに明かすつもりで。
とりあえずは、魔法使いの卵であることだけ伝えると。
「アルスさんは……何をなさってるんですか?
その、服装を見てみたんですが、あまり思いつかなかったので」
質問を返してみる。会話のキャッチボールを意識しながら。
■アルス > 「まだ10歳だよ。そんな子が一人ね。
あの子は口うるさいと文句ばかりだよ」
あの子よりも少年が弟のほうが可愛げがあるとどこか残念そうに告げて。
少年の姿を微笑ましく楽し気に見つめて。
「私は気にしないよ。でもそれならユゥ君の呼びやすい呼び方でね。
そんなに頑張らなくてもいいよ、気楽にね」
少年のその姿につい笑い声を小さく零してしまい。
同じメニューを頼めばなぜか慌てる姿を不思議そうに見て。
「ん、お肉も?それなら追加をしようか。
それじゃ一緒に食べようか。
私の好きな物かい?それは…物かな?食べ物かな?」
少年の視線にわかったよと頷き、慌てて注文する姿を見て。
そして質問に頷いたことにそうなんだと感心をして。
「あそこの学生なんだね、それは凄いじゃないか。
私は魔法はさっぱり駄目でね。もし支障がないなら…こういう場で使っても問題のないものを見せてくれないかな?」
魔法使いの卵と聞けばどんな事が出来るのか気になり、ついそんな無理を口にしてみて。
「私かい?私は冒険者だよ。
よく見えないと言われるんだよね」
今の服装ではやっぱり見えないかな?とブラウスを軽くつまんで見せて。
■ユークリッド > 「10歳、ですか……丁度、お姉さんとかに反抗したい年頃ですね。
こう、むずむずするっていうか、照れくさいっていうか……。
だから、きっとアルスさんのことが嫌いなんじゃなくて、恥ずかしいんだと思いますよ?」
少年から言える事は想像でしかないが、少年もまた、10の頃は家中のメイドなどに世話をされるのが恥ずかしかった。
かわいいと微笑まれるのが苦手な、格好つけたいお年頃。できれば格好いいと言ってほしいお年頃。
それを理解しているから、慰めではなく自分ならという想定を出しての話だった。
「では、今はアルスさんで。その、もっと仲良しになれたら、頑張りますから
えへへ……でもでも、ボクにとってもお姉さんみたい、ですよ?」
にこにこと上機嫌に微笑む。料理の注文はちょっと多くなった様子。
彼女のお金で彼女に遠慮されるのは不本意なのだから。
「はい、お願いします――えへへ、わけっこもあまりしないので新鮮ですね。
えっと、物でも、食べ物でも。どんな物が好きなのか、お聞きしたいなって」
彼女のことを知りたい。それは少年の純粋な欲求。
だからか、素直に従うように言葉を紡いだ。
褒め言葉には面映さを感じて、やがて魔法についての要望には少しだけ考えると。
「それじゃ……あ、店員さん、お水を2つお願いします」
頼めばすぐに、コップに入った水が2つやってくる。
その内、自分の物に手をかけると、もう片方の手で軽く宙に文様を描いた。
少年が魔術を使うときに必ず行う、ルーティーン。集中するための儀式。
やがて淡い光がカップを包むと、満足げに微笑みながら。
「ん、これをこうすると――」
勢いよくカップを逆さにする――が、中の水はこぼれなかった。
事象固定化――少年の用いる事象操作の基本魔法である。
水がカップの中に入っている、という事象を固定化し、引っ繰り返してもコップの中に留まる様にしたのだ。
自身の魔法を一頻り見せると、コップを置いて。
「ん、他にもちょっとばかし色々できますが、ここだと見せにくいかもですね。
……アルスさんは冒険者だったんですか?予想外でしたが、その、素敵だと思います。
とっても綺麗なお洋服だったので、芸術家とか、そんな感じかと思ってました」
少年にはやはり、人を見る『目』がない様子。
しかし、少年からすれば彼女がなにをしているかなど会話のきっかけに過ぎなくて。
「ふふ、冒険者さんなんですね……凄いなぁ。ボクよりずっと強くて、カッコいいんだろうなぁ」
憧れのこもった視線を向けながら、少年はにこやかに笑みを浮かべた。
既にすっかり、彼女になついた様子を見せながら。
■アルス > 「反抗したい…?それであの態度なのか。
ユゥ君、ありがとう。もしそうなら私の取り越し苦労だったわけだね」
少年の言葉にそうなのかと思い、思い当たることがあったのか納得をして。
どうしてああだったのかと判ればありがとうと礼を言い、テーブルに身を乗り出して少年の髪を優しくなでて。
「うん、それでいいよ。仲よくか、そうだね。仲よくなろうね。
それならアルスお姉さんって呼んでもいいんだよ?」
その言葉に遠慮なくお姉さんと呼んでいいと笑って答えて。
注文が増えてもあまり気にしておらずに。
「でもたくさん食べたら運動をしないと太るから気を付けるんだよ。
こうして分け合って食べるのも悪くはないね。
どっちでもかい?そうだね……それなら物で、可愛い物かな」
私はあまり可愛くないしね、と困った笑みを浮かべ可愛い物が好きだと答えて。
食べ物はなんでも食べるので選べなかったという事もあって。
魔法に関しては駄目かな?と見てしまうが水を二つ姿に首を傾げ。
そして片方に手をかけ宙に何かを描く少年。
カップが淡く光りさかさまにされたことに慌てて立ち上がるが、水が零れない様子に動きを止めて。
それが魔法の効果だと知れば安心して、少し勢いよく椅子に座って胸が弾み。
「今のは驚いたよ。できれば先にいってほしかったね。
ほかにもあるのなら…見てみたいかな…ここじゃ無理かい?
芸術家は言い過ぎだけど嬉しいね。でも冒険者なんだ。
仕事の時はこの上にアーマーをね?」
今は武器も防具も身に着けていないのでわからなくて当然と頷き
「ユゥ君、人には向き不向きがあるよ。ユゥ君だって魔法が使えるのは私にはカッコよく映るよ。
だから自信をもっていいんだよ」
その視線に恥ずかしそうにして見せて。
そうしていれば料理が届き並べられていき、少年に食べようかと声をかける
■ユークリッド > 「ん、お姉さんの事は嫌いじゃないけど、言った通りにするのは格好悪いって思っちゃう感じかも。
ですから、最後はそうしなきゃってわかってたりするけど、ちょっと反抗してみちゃうとか。
少しだけ待ってあげれば、きっとその内、わかってくれるかと思いますよ?」
こんなにも素敵なお姉さんが居るのだ――そう自慢できる時が来るはず。
などと思っていた所、不意打ち気味に撫でられて。
気持ちよさと照れくささに顔が真っ赤になって、しかし逃げずに身をゆだねる。
僅かに、紫の瞳が潤みを帯びて、ふるふる、と体が気持ちよさそうに震えた。
「ん、それなら、アルスお姉さん……って、呼ばせて、もらいますね?
嬉しいなぁ、お姉さんが、出来ちゃいました……♪」
にんまり、それは満面の笑みそのものだ。
注文した品々もそろそろやってくる。
肉にスープにパンが少し。それなりに食事らしい食事だ。
酒場で食べ物を注文するのは久方ぶりだが、スパイスのきいた香りは食欲をそそるもの。
くぅぅ、とお腹を鳴らしながらも、折角だから一緒に食べるために待ってみる。
「ん、それは多分、平気かなって……剣の授業も受けてますから。
ただ、あんまり得意じゃないんですけどね?いつも、踏み込みが足りなくてだめなんですよね……
それじゃ、半分ずつで――可愛い物ですか。素敵ですね。とっても似合うと思います」
彼女は可愛いというより美しいのカテゴリに入るが、それでも似合うのは間違いない。
凛々しく、美しく、そして可愛い物が好き――そんな、新しくできた素敵な姉を心に刻む。
魔法については驚かせてしまった様子だが、机に置いた後で解除すると、普通に飲めるように変わる。
それをちびちびと飲みながら。
「あぅ、そうですね、事前に言っておけばよかったです。
他のは……んー、それなら、もう1つは見せられますね。
最後の1つは、魔力だけだと対価が足りないので、ここぞってときにしか使えなかったりです」
そういうと、懐から無地の紙を取り出し、半分に破いた。
そして、先ほどと同じように印を切りながら。
「ん、さっきのが事象固定化――簡単に言うと、色々な物を変わらなくする魔法です。
そして次が、事象復元――色々な物を元に戻す魔法です。だから、この紙に使うと――」
破けた紙が独りでにくっつき、切れ目が薄れて消えていく。
そして最後にはただの一枚の紙に戻ってしまうのだった。
「という感じですね――どうでしたか?
ん、アーマー、ですか。もし壊れちゃったりしたら、治してあげられますね!
ボクは、そういう魔法が得意ですから……!」
後の一つは、おいそれと使えない事象改編の術式。
使えば少年は最低でも一年ほど若返ってしまう、対価の重い術式だ。
だからそれだけは、周りの皆に何か大変なことが起きたときに使おう、という意識でいた。
「ん、それじゃ、その、少し自信、持ってみますね?
えへへ、それじゃ、一緒にご飯、食べましょうか♪
……いただきます!」
彼女の促しに答える様に頷いて、楽しい食事が始まる。
それは正しく夢のような楽しい一時で、少年の宝物になったことは間違いない。
結局、たくさんあった食事も二人で食べればたちまちに、空になってしまう。
それを名残惜しいと思うのは、単に彼女との時間が楽しかったからだろう。