2016/12/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリュヴィートさんが現れました。
■リュヴィート > (――…やれやれ、まさかにわか雨とはねぇ不幸だ……。)
ああ、今思い起こせば確かに昼も夕方もどんよりと重たい雲が空に広がっていたが、明日まで持つと思っていたし、振っても霧雨程度で何とかなると思っていた。
しかし現実には結構な勢いで雨が降り始めていて、不幸中の幸いに配達する物は全て配達し終えているから良い物のすっかりと濡れ鼠になりかけていた。
「……くっしょい…………。」
何はともあれ、まずくしゃみを一つ、続いて被っていた黒いベレー帽を脱ぎながら、一先ず近くの時間的に閉めているお店の軒先に駆けていき、雨露を凌ぐ事にした。で、運よく先客も居らず軒先に避難出来ると、まずは脱いだベレー帽を捩り捻りギューっと雨水を絞り、上下に振り回した後に軒先に飾ってあった観葉植物に引っ掛けて、改めて雨降る夜空を大きく見上げて、大きく溜息を吐き出した……。
ふわりと浮かぶ体温と外気の温度差で生まれる白い吐息、ぼんやりとそれを眺めながら、雨脚が弱まるような雨か否か……考えるのだが、精霊使いでも魔法使いでもない自分にはどうにもさっぱりで、ただただぼんやりと雨降る夜空を見上げるに過ぎない。
それに雨水を飲み込む防寒用のフードローブはすっかりと重たくなっている。
ベレー帽だけじゃなくてこっちも脱ぐべきだった……とか、寒さと憂鬱さに思考がまとまらず……。
■リュヴィート > 水も滴るいい女とか冬なので望めないとは思うが薄い布が雨の重たさで肌に張り付いたり、濡れて透けて下着や身体のラインがバッチリでる美少女や美女は大好物だし、是非ご馳走になりたいところではあるが、ところがどっこい、現実は雨宿りをしているのは寂しくも自分ひとりであり、通りは雨を避けるようにして走る酔っ払いや、雨宿りと称して酒場に戻る酔っ払いや、こんな寒いのに裸になる酔っ払いくらいであった。
――なんと言う不幸であろうか
取り敢えず今夜はもう暫く雨宿りをして雨脚が弱るのを待とうか、雨雲に覆われ雨が降りしきる夜空から視線を下ろすと、寒さで動きが鈍くなっている両手に落とし、その両手をスリスリと擦り合わせて摩擦で熱を作ると、ハァ……と温かめの息を吐きかけて、何とかぬくもりを得ようとし、それが数秒も続かぬうちに、一先ず濡れて重たいフードローブをどうにかしようと、袖から腕を引き抜いて雨に濡れて重たいローブを黒いベレー帽をかぶせた観葉植物に引っ掛けてしまう。
傍から見れば酔っ払いも忙しなく手を擦ったりコートを脱いだりしている自分も似たような物なのだろう……数少ない通りかかる人目がじーっとコチラを見ている気がする。
「……あーもう不幸だ。肉体を持つってマジで不幸だわ……。」
そう元の夢魔の身体であれば雨なんてモノともしなかったし、雨でネガティブのスパイラルに陥る事もなかった筈だと、何とも表現し難い苦味の混じった笑みを薄紫色に変色した唇で浮かべて、ハァ~~…と魂が抜けて落ちそうなほどの溜息を吐くと同時にがっくりと両肩を落す。
■リュヴィート > 「よっし、帰る!かえって温かい風呂にでも入る!」
自らに気合を入れる為に冷たくなった頬を両手でパンパンっと乾いた音を響かせ叩くと、雨で重たく濡れた防寒用のフードローブを肩に引っ掛け、ベレー帽を被り直し、見ず知らずのお店の軒下から飛び出すと、まだ雨脚弱まる気配のない夜の街を走っていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリュヴィートさんが去りました。