2016/10/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に砕華さんが現れました。
■砕華 > (マグ・メールの町並みは、既に夕暮れに差し掛かっていた。
寒くなり、空気が透き通り始めた季節、太陽の光が当たる場所は、以前よりもより、鮮やかに映える。
夕暮れ時気なると、それが更に赤みがかかり、カラスの鳴く声とあいまって、どこか寂しく感じられる。
しかし、マグ・メールのメインストリートは、それを払拭するかのように、居間が正にピークであった。
買い物客はもとより、速目の仕事上りとなったのか、工夫たちが雑笑しながら、酒場のほうへと向かっていく。
馬車の往来も多く、パッカパッカと、馬のひづめが、石畳を叩く音も響く。
八百屋の主人である、ヒゲ面の恰幅のいい男が、大声を張り上げて客を呼び込み。
魚屋の主人もまた、負けじと自慢の大物を担いで、買い物客を呼び止める。
正に今が、かき入れ時の時間帯であった。)
「……はい、確かに受け取りました。
ご贔屓にしてくださって、感謝しますと、ご主人様にお伝えください。」
(メインストリートの入り口でもあり、出口でも在る場所。
その場所に『紅一朝』を構えている砕華には、周りの喧騒など、関係あるはずがなかった。
薬屋が、大声で客を引き込むなど、考えるだけ無駄だし、手作りで薬を作っている故に、そんな時間があるなら、ひとつでも多く薬を作りたい。
目の前にいる、メイドという家政婦の制服を着た、眼鏡をかけている、頭にお団子を取り付けたような髪型の女性に、やんわりと頭を下げた。
昨日、受け取った薬草採取の依頼。
その期日である今日の夕方、約束どおり、貴族の下で使えている家政婦が、薬を受け取りにやってきた。
その金額を記入した羊皮紙を渡し、薬草の内容と金額を確かめてもらうと、納得したかのように、メイドが頭を下げた。
金貨が詰まった袋を、カウンターのテーブルに置くと、砕華が中身を確認する。
ずっしりと重たい金貨袋には、金300が詰め込まれていた。
それを数えるのに、かなりの時間を要した。
1時間ほどかけて、間違いが無いように金貨を勘定する作業をようやく終えて、開いているのかいないのかわからない目を、メイドに向けた。
頭を下げ、薬を購入してくれた礼を言い、薬草の粉末を小分けにした小袋を手にして、紅一朝を後にするメイド。
それを見送るために、砕華は店の外へと出て、その背中が見えなくなるまで、夕暮れを見届けていた。)
「さて、時間もそろそろいいくらいかな?」
(沈んでいく太陽を確認して、店仕舞いの時間を考える。
夕方、太陽が沈むころに、紅一朝は店を閉める。その時間が、刻一刻と迫っていた。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にカリギラさんが現れました。
■カリギラ > 大きな声が響く道をのんびりと歩く
どこの店の主人も声を張り上げ客を呼び品物と金が行き交っていく
もうすぐ夜になるこの時間が一番騒がしく活気に溢れていてこんな空気も嫌いではない
そんな中目的の場所は静かで客引きなんてする気配もない
「媚は売らず、しかしきっちりやっていけている手腕にはいつ見ても感動ですね」
自分も贔屓にしている薬師砕華に声をかける
もうすぐ店仕舞い、そのタイミングを把握した上でこうしてやって来たのはいつもの事
睡眠薬の出来の良さから最近は薬が必要になればここを訪れている
「砕華さんもついに貴族のお気に入りですか…注目していた踊り子が世に羽ばたいた気分です」
先程去って行ったメイド
服の仕立てを見るにかなり良い場所に仕えている様に見える
そんなメイドの主に気にいられるなんて…と感動の笑顔を浮かべた
■砕華 > (客層は、一般人から貴族まで、それこそ幅が広い。
一部、何も買わずに去っていく客がいるのは、砕華の服装が目当て、であるらしい。
キモノと呼んでいる服装は、マグ・メールでは、滅多にお目にかかれる代物ではない。
砕華の服装を一目見ようと、最近では仕立て屋ですら、この紅一朝を、尋ねてくる始末。
あまり、いい気分はしなかった。
服装を見るだけでも、来てくれるのは嬉しい。
しかし、その服装を見て、寸法を測り、どういう服装なのかを、しつこく質問してくる。
そういう客は、正直に言えばあまり、願わしい客ではなかった。
それなら、風邪薬の一つでも買って行ってくれる、貧民地区の子供のほうが、まだお客として扱える。
中には服を脱げなどと、言ってくる客もいるほどだから、本当に困ったものだ。
いずれ、この服装も、変えなければいけないかもしれないが、故郷の臭いを感じられるこの服を変える気には、ならなかった。)
「あら、いらっしゃい。
言った筈ですよ、媚を売ってまで、薬を売りたいわけではない、と。」
(砕華の心情でもある、老師の言葉。
『薬が必要なものは、必ず買う。媚を売って売る薬は、決して薬にはならない』。
薬が必要にならない人間は、絶対にいない。
だから、媚を売る必要はなく、いい薬は絶対に売れて行く物だ。
ここで店を開いて1週間、客が来なかった日は、休日以外では、今のところはない。
もっとも、キモノ姿の女主人という珍しさから、客足が絶えないのではと、質問されると、答えに詰まってしまう。
その通りとしか言えないが、それを認めてしまうと、薬を作っている意味があるのか、と自問自答したくなるから。)
「お気に入りといいますか、先日依頼された薬を、定期どおりに届けたら、今後ともよろしく、といわれたので。」
(顧客情報にかかわるので、内容は伏せた。
ただ、仕立てのいいメイドを寄越すことから、かなりの貴族であることは明白。
薬の代金として支払ってもらった、金300。
これを即金で支払える、と言うだけでも、その大きさは圧して知るべし、だろう。
砕華は、カリギラの視線をよそに、暖簾を外し始めた。
この青年は、決まって閉店間際にやってきて、薬を注文していく。
あまり大声では言えないような、砕華でも慎重にならざるを得ないものも、時に含まれる。
だからこそ、閉店を待って、この青年はやってくる。それならいっそ、店仕舞いしてしまったほうが、砕華も気が楽だった。)
「今日は、何を入用ですか?贔屓にしてくださっていますし、お話は聴きますよ?」
■カリギラ > 開口一番商売人としては微妙な
薬師としては褒められた事を言ってくる彼女
媚を売らないにしても笑顔位浮かべればいいのにと思わない事は無い
まぁそこは彼女の考えや誇りが有るのだろうからしつこく口出しはしないでおく
「えぇ分かってますよ。
実際に媚を売らずに立派に商売をしているんですから文句なんてありません」
媚を振りまかずその腕だけでここまでやってこれたのだからこのままで問題はないだろう
自分にとっても彼女の腕を信頼し頼っているのだから何も問題はない
強いて言うなら一度くらいは彼女の自然な笑みというのを見てみたいが
「調薬を頼んで今後もよろしくって気にいられたと取るべきですよ?」
態々調薬をさせるのだからそうなのだろう
ただ売っている薬を買うのとは違いそれ相応の手間賃を払ってまで彼女の薬を欲する
その内お抱えの誘いが来るかもしれないと想像するくらいはできる
「用が無ければ来てはいけないんですか?寂しいですね……って嘘ですよ」
そのまま来てはいけないと言われそうだったので慌てて否定する
彼女には冗談はあまり通じない
「いつものように特別性を、まぁ今回は少し趣が違いますので食事でもどうです?」
真面目な仕事なのでおちゃらけた雰囲気を一旦拭う
■砕華 > (笑顔は、浮かべているつもりだ。
開いているのかいないのか、分からないような細眼ではあるが、口元はにこやかな弧を描いている。
人によっては、それがまるで能面のようで、恐怖を覚えるというが、幸いというか。
砕華の物腰で、それは微笑み、と受け取られているようで、あまり恐怖は感じられることは無かった。
暖簾を外し、店の中に片付けて、青年を招き入れる。
棚の上には、いくつかの薬が、まだ残っている。所謂売れ残り、だ。
これは、明日までおいておいても大丈夫な代物なので、回収し、カウンターの奥で様子を見よう。
もし、腐ったり虫が湧いたら、売り物どころか毒にしかならない。
窓の外から丸見えの、その棚の上に、売れ残った薬があると知られると、衛生面で悪い評判が出る。
老師の教え、『常に薬は新しくせよ、新品ほど信用されるものだ』を、忠実に実行する。
両手一杯に、薬を抱えて、カウンターの奥の、日が当たらない場所へ、売れ残った薬を片付ける。)
「さあ、どうでしょうね?」
(気に入られたと、そう取られると、実際にその通りだと答える。
しかし、どこかはぐらかすように、砕華はカリギラに背を向けたまま、そっけなく一言で答えた。
実際のところは、数日前に、薬草の調合を頼まれ、それを納品したときから、ほぼ毎日の付き合いになっている。
時には、難しい調合も依頼してくるが、やれない仕事は請けることもない。
幸い、出来る仕事しか頼んでこないので、依頼を受注する確立は、今の所10割だ。
勿論、しっかりと悪用されないように、じっくり話を通してから、受けるかどうかを吟味する。
毒草を調合し、これを使われて、明日憲兵が店に押し寄せてくるなど、砕華はごめんだった。
失うものは多い、だからこそ、慎重に仕事をするかどうかを、熟考するのだ。)
「嘘なら、あまり口に出すことは、お勧めできませんよ。
食事ですか?…普段は自炊で、一人で食べているので…今日は2人分、作ることになりそうですね。」
(外食というものを、砕華はほとんどしなかった。
外で食事を磨るくらいなら、薬を作る合間に、ニギリメシでも作ったほうが、楽しいし安上がりだ。
住居にしている二階に、カリギラを案内磨るかのように右手を伸ばし、先に砕華が二階に上がる。
木造の、質素な居間は商談の際にも使用されるため、中央においてあるテーブルの脇に、椅子は2つ用意されていた。
マグ・メールでは、あまり見かけないキッチンの脇に、鉛製のストーブが設置され、奇妙な形の金属製のポットが一つ、その上で煤をかぶっていた。)
「どうぞ、先に掛けて置いてください。魚と肉、どちらがいいですか?」
(鍋一つと菜ばしと包丁。それが、砕華の料理道具だった。
食料棚を開けば、其処には野菜と肉、魚がきっちりと分別され、しまわれていた。)
■カリギラ > 彼女の笑みは自分にとっては人形のそれに近い
顔に仮面が張り付いているような…普通の客はそれでも満足かもしれない
が、常に人形の様な顔の彼女の笑顔
気になっても仕方ないだろう
まだ残っている薬を片付けていく砕華を他所にそんな事を考えながら
「分かりますよ、誰でもね。」
明確に否定しない所を見るに本人も自覚はあるのだろう
貴族お抱えの高級薬師
そんな事を想像すると思わず小さな声を漏らして笑ってしまう
考えた二つ名は砕華に妙に似合っているように思えた
「あら辛辣、本当にそう思っていたら口に出してもいいんですか?」
嘘なら、そう聞くとそう返してしまう
実際用が無くてもここに来るのは面白いので吝かではない
それに一応の仕事での協力者ではあるのだから砕華とは良好な関係を築いていたい
例え明日には崩れてしまうような縁だとしても
「…あーえっと…私は魚が良いです、砕華さんの手料理なんて期待が高まりますね」
2人分作ることになりそうと聞いて自分の耳を疑った
彼女が料理を振舞うなんて…それなりに信頼はされていたのかと嬉しく感じながら椅子に腰かけた
■砕華 > (表情を、あまり動かすことは、好ましいことではなかった。
人に表情を読まれ、その顔で、何を考えているのか読み取られて、客の機嫌を損ねないように。
しかし、貴族お抱えの召使は、この顔をいつも笑っている、優しい顔だと褒めてくれた。
だから、この顔でいることは、砕華にとって苦痛でもなんでもなかった。
日常で作っている顔でもないので、無理をして笑う必要も、ない。
カリギラになんと言われようとも、砕華自身の日常を、捻じ曲げることは、誰にも出来ない。)
「そうですか。」
(誰にでもわかる、気に入られてお抱えになること。
砕華は、そんなことに興味があるわけでもなかった。
例えお抱えになったとしても、砕華は、この紅一朝の女主人であり続ける。
どこかに、召抱えることになるなら、このマグ・メールの中ではない、ある場所へと。
それが、砕華の理想であり、最終目標でもあった。
その貴族家と、良好な関係を結ぶことで、生活にもかなり余裕が出てきた。
質素な食事は影を潜め、備蓄している食糧の数は、日に日に増えていく。
食べきれない量は、お隣の八百屋や、雑貨屋におすそ分けして、近所とも良好な付き合いをしている。
おかげで、この近辺の評判は、『シェンヤンから来た、不思議な薬屋』ではなく、『親切で美人の薬屋』と、変わっていた。)
「ご自由にどうぞ、私は、一向に構いません。
ただ、用が無いことなど、貴方はないのでしょう?」
(カリギラが来る、という事は、ほぼ間違いなく、仕事の話だ。
先日、睡眠薬を作成して、それを届けた。
それが、どうやらとても、出来のいいものであったらしく、それから青年との付き合いが、始まった。
事在るごとに、砕華の薬を所望する彼は、いまやこのくれない一朝の、お得意様である。
上客といってもいい付き合いなのだが、砕華は、客と個人的な付き合いを、完全に切り離して考えている。
彼に食事をご馳走するのは、ただ単に自分一人で食べるには、少々気がひけるから、というだけだった。
逸れに、数を減らしていかないと、そのうち食材が腐ってしまう。
青年に協力を強要することで、それを阻止しようという策略も、あったのだ。)
「あまり、期待されても困ります。美味しく作れる保障など、どこにもありませんので。
ところで、手持ち無沙汰になる前に、仕事の話をしましょうか。」
(砕華は、棚の右から二番目の引き出しを開け、魚の切り身を取り出した。
既に、塩で保存を効かせている切り身。それを、更に包丁で2等分に切り分ける。
火を起こし、風を送り込んで大きくすると、その上に置いた鍋の上で、魚を焼き始めた。)
■カリギラ > 「そうですよ。貴女には関係ないかもしれませんがね」
彼女がマグメールの誰かのお抱えになる事は無いのだろう
そうなるのならシェンヤンのどこか
だから彼女はマグメールの誰かに必要以上に肩入れしない
自分ともやっとの思いで協力止まりだ
良き隣人、彼女はその役を完璧にこなしている
「はは、言いますねぇ。ギリギリ正解、とでも言っておきましょうか」
用もなくここに通う、そんな事はしない
だが、それも絶対にという訳ではない
掃除屋として自身の身元が割れ彼女にまで疑いの目が向けられる、そんな下手は打たない自信がある
彼女の許可も得た事だしこれからは用もなく通ってみるのもいいかもしれない
彼女の表情が崩れるその瞬間を探るのも中々どうして面白いのである
「そうですか…注文は3つ、痺れ薬と幻覚剤…尋問に使える物が良いですね。
それと…最後は心を落ち着ける薬なんてありますか?」
前二つは淡々とした注文
最後の一つは有るかも分からないので砕華に尋ねる形になる
魚の焼ける音と香りを楽しみながら料理を続ける砕華を見やった
■砕華 > 「関係在るかどうかは、私が決めることです。
…このまま、この国で誰かに仕えることになるのも、それならば私の運命だと思い、諦めましょう。」
(実際、その選択肢も、無いわけではなかった。
現在、シェンヤンは、九頭竜山脈を巡って、マグ・メールと紛争状態にある。
今は休戦協定を結び、紛争は一時凍結されている。
しかし、先日のタナール砦の一軒で、シェンヤンでも、もう一度マグ・メールに攻め込むべきだ、との声が上がっていた。
老師、そして両親の手紙に、その事が、こと細かく書かれており、それを理由に、帰省させたいらしい。
砕華は、その申し出を、後ろ髪を引かれる思いで、却下した。
ようやく、異国の地で、自分の店をもてたというのに、それを早々にして、切り上げてしまうなど、なんともったいないことか。
固定の客も衝き始め、これからというときなのだ。
いくら、祖国を愛しているからといっても、そんなことは出来ない。)
(青年との関係は、協力者。
それ以上でも、それ以下でもない。ただ、協力者というだけの、関係だ。
用もなくたずねても、軽く談話をする程度で、さっさと帰らせてしまうだろう。
だが、それでも青年が尋ねてくることを、砕華は拒むことはしない。
彼もまた、大事な”お得意様”なのだから。)
「…またそんな、危険なものをご所望ですか……。
本当に、カリギラさんの仕事は、私の肝を冷やしてくれますね…。」
(睡眠薬も、結局は誰かを眠らせるために、使われたようだった。
彼の言う掃除、というのはほとんど、予想していた通りの仕事だった。
部屋の掃除、屋敷の掃除――――人の掃除。
それらを請け負う掃除屋と知り合いになり、砕華はいつ、自分にも捜査の手が及ぶのかと、戦々恐々している。
仕事を請けるのは、いつものことだが、もう少し穏やかな仕事はないものか、と少しばかりため息をついた。
切り身の表面が、狐色になり始めたら裏返して、もう片面を焼く。
塩をつけたまま焼き上げた表面は、うっすらと焦げ目が衝き、薫り高く、部屋の中に臭いを充満させる。
もう片方の鍋には、既に物を仕込んでいた。
茶色く濁ったスープの中に、ワカメとトーフを入れたもの。それを火にかけ、暖めなおす。
軽く煮立ったところで、火から降ろし、お椀の中へと、なみなみと注ぐ。
ちょうど、魚も焼きあがったので、その片方を、土を焼き上げて作られた、四角い皿の上に乗せ、最後に、別のお椀に白米をよそぐ。)
「心を落ち着ける、鎮魂の薬ならば、作れますよ。
ただ、材料がすこし乏しいので、それなりに時間がかかりますが…。」
(焼き魚定食を、カリギラの前に並べていく。
その最中に、砕華は頭の中で、製薬に必要な時間を計算していた。
採取、乾燥、調合。それらをひっくるめて、およそ4日、というところか。)
■カリギラ > 「諦めると言ってる時点で答えが出てますよ?
貴女の意思としては使える気はないと言うのが伝わってきますよ」
諦めを挟まなければならないほどこの地で誰かに仕えるのは嫌なのかと笑う
シェンヤンから来た彼女はこの地で何をしたいのか
できれば薬師として大成したい等の可愛らしい夢なら喜べるのだが
「危険な事が沢山起こる世の中ですしね
汚れを綺麗に掃除するにはそれ相応の道具が必要なんですよ」
綺麗な掃除、証拠など残さずまるで神隠しに遭ったかのように消え去る
そんな真似ができるのは経験と知識、そして一番大きいのは地震の異能
こんな訳の分からない力が有るからこそ自分は危ない橋も渡っていられる
「鎮魂の薬、ですか…多少高くなるのは構いませんので副作用は無いようにして下さい。
後遺症や依存性、そういった物がないのであれば購入させていただきますよ」
温かな料理を前にそう応える
いつもであれば最初の二つの薬の様に効果だけで注文を終わらせるのだが今回は別
事細かく注文を出し副作用にまで口を出した
自分でも怪しいとは思うがそれでも言っておかなければならなかった
「良いですねぇ、あっさりとしていそうで美味しそうです。」
マグメールとは趣の違う焼き魚定食をみて腹の虫が抗議してくる
いただきます、と砕華に断り橋を進める
塩が効きしっかりと焼き目のついた魚と白米の愛称は抜群で一見妙な色のスープも他の食材とよく合っている
何のスープなのかは不明だが美味しいので良しとしよう