2016/07/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」にアリアさんが現れました。
アリア > なんだかんだでカジノのディーラーとなってしまった身の上だが、今は王都にある平民地区の広場に居た。
まだ港湾都市から出た事が無く、王都なんて大きな場所があるなら行ってみたいと許可を貰ったのだ。
来てみれば、なるほどと納得する。さすがは王都。
今日は一日使って色々と歩き回った、本当に色々とあるものだと思う。
色んな意味で、色々と。

「しっかし、品種で言うたらやっぱあっちのが豊富やな。
上等なモンを探すならこっちって感じやろか?」

広場にあるベンチに腰掛けながら、空を見上げて独り言。
回ってきたのは主に商店、どんな物が売っているのか見て回ってきたのだ。
結果は、今まさに呟いた通りだ。

アリア > 陽は高く昇っており、今座って居るベンチの辺りみたいに日陰になってないと堪らない暑さだ。
時間的には昼過ぎといった頃合だろうか?
服を摘んで、ぱたぱたと手を仰ぎ風を迎える。日陰と言えど暑いものは暑い。

「ほんまに、ちょーっと顔隠してくれたと思たらまたこの調子や。
お天道さん、もっと隠れてくれててもええんやで…?」

恨めしそうに木陰で今は見えない空を仰ぎ見る。
のんびりと寛いでいる中、視線の端に駆けている子供達が見える。
ここは広場だ、当然なのだが…どうしてああもお子様ってのはこんな糞暑くても元気なんだと、思わずにはいられない。
その先に目を向けてみると、ふと荷台の側に立つ男性が見える。
なんとも古めかしいものだ、広場の隅に停まっており、何かを売っている様子だ。
別の子供がそこに居て、受け取っている物を見た途端、がばっとベンチから立ち上がった。
売っているものは…どうやらアイスらしい。

アリア > 古めかしい手で引くタイプの荷台、渡していたアイスはそんな上等という物でもない。
子供でも気軽に買えるような値段、そうくれば自家製のアイス売りかと分かる。
こういうのはアタリハズレが激しいが、何人かの子供が買っているところを見ると、少なくともハズレは無いらしいか?
そんな事はどっちでもいい、こんな場所でせっかくアイスを見付けたのだ…買うしかない。
駆け寄って並ぶ子供達の後ろに立ち、立っていた看板を見る。
売り物の名前と値段、そのまんまアイスだ、値段は安め。

何人か前の子供が、親の分とかもあるんだろうか、いくつかをまとめて買っていた。
次の子供も、似たようなものか買う数が一つではなかった。
ちらりと荷台を見る、あんまり大きくない、売れてるペースとアイスの大きさから考えて…買い損ねるかもしれないとか考えてしまう。
目の前の一人が最後の一個なんてオチは見たくないが、可能性が…

アリア > そんな調子でアイスは売れていき、列は進み、そろそろ自分の番だ。
目の前の最後の子供がアイスを手に去っていき、いよいよアイス購入の瞬間がやってきた。

「ようおっちゃん、繁盛しとるようやな?
うちのアイスまだ残っとるん?一つ欲しいんやけど」

まるで知人であるかのように、しゅたっと手を上げて明るく挨拶。
売り切れはまだ出てない、自分の分は残っていたと安心すれば自然と笑顔になるものだ。
その言葉に、あいよ、と返って来る言葉、荷台の中を漁って…その手が止まる。
その視線が、自分の後ろで並んでいた子供に向けられた。
あれ?このパターン、なんか嫌な予感する。そう思わずにはいられない。

案の定、自分の分で最後だったみたいだ。
すまんね、これで売り切れだ。男性は後ろの子供に声を掛けた。
ちらりと後ろを見てみる、居たのは子供一人。
男性の手にあるのは一本のアイス。
後ろから痛いくらいに感じる視線。

…悪いのが誰だという訳でもないのに、なんだろう、この罪悪感。

アリア > いや待て自分が一体何をした?
ただ自分のアイスを買おうとしただけなのに、何この仕打ち。
支払おうと握っていたゴルドだが、非常に渡し辛い。
まだこの相手が子供でなければ、平気な面して支払い去っていっただろう。
生意気に騒ぎ立てるような子供でも、似たようなものだ。
だが後ろにいた子供は、そんな騒ぎ立てるような真似はしていない。
手にしたゴルドを見て、アイスを見て、こちらを見て…沈黙。
うっわ、この沈黙めっちゃ痛いんやけど!?
叫びたいけど叫べない、そんな状態。

額をたらりと流れる汗一筋。
男性を見遣り、くるりと振り返ると、ぽんっと子供の頭に手を置いた。

「ええわ、そのアイスこの子に譲ったる。
ほれ、うちは大人や、こないな事に拘ったりせーへんわ」

その言葉を聞いて、ぱっと顔を明るくする子供。
確認の言葉を向ける男性に、お礼を言ってくる子供、ひらひら手を振ってその場を後に、ベンチに戻る。

アリア > 日陰で寛いでいたのに、わざわざ日の下に出た結果がこれだ。
来た時のようにベンチに腰掛けながら、服を摘み手で煽ぐ。

ああちくしょう、うちはアイスを買うたかっただけやのになんやこの仕打ち。
長々と歩いてやっとの休憩、日照りの暑い中を歩き続けていたから辛いったらありゃせーへん。
あの子供のせいで余計に暑くなるわ、結局アイスは買えへんわ、堪らんで…!
大体あれや、そういえば子供に並ばせて自分の分も買わせてた奴も居たな。
自分は並ばずにアイスを手に入れようとか…云々。以下長々と愚痴が続く。

心の中での愚痴を零し続けている間、ずっとベンチで手を煽いでいる格好だ。
見た目だけなら、ただ寛いでいる少女と見えるだろう。

アリア > まだ日は高い、暑い、どうするか?
昼は過ぎている、昼食がてらに冷たいものでもたらふく食べてやろう。
そうと決まればと、ベンチから再び立ち上がる。
ざっと歩いていただけでも食べる場所ならば結構見掛けていた。
出来れば無駄に派手でなく、小さくも美味しい隠れた店とか発見したい。

目的は決まった、では行こう。
そうして広場を後にするも、これといった良い店は見付からず、普通に昼食を取ったのは後の話である。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」からアリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 大通り」にイニフィさんが現れました。