2016/05/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/安酒場」にレスターさんが現れました。
■レスター > 夜も更けて、酒場はまさにこれからが稼ぎ時という刻限。
冒険者やならず者、あるいは仕事帰りの兵士が集まる喧騒の店内の片隅、二人がけのテーブルに腰を下ろしていた。
手元には、つまみのナッツと、強い蒸留酒。それと、陶器の灰皿に置かれた煙草。
「あー……この一杯のために生きてるな……」
感慨深く、酒を口元に運んで、グラスを満たした琥珀色の液体を喉に流しこむ。
芳香や、味云々よりもとにかく酔えれば良い、そんな味の酒だが贅沢は言えない。
いや、言わない。まさにそういう酒を飲みたくて此処に座っているからだ。
■レスター > 一口、二口、三口目でグラスを空にすると店主に告げる。「もう一杯」と。
酒を待つ間は手持ち無沙汰にナッツを口元に運ぶ。
コリコリと栄養価は殆ど期待できないが、食感だけは良い。
「さて、酒、メシとくれば――」
あとは女だな、なんて店内を見渡す。
そういう店に相応しく、商売女も何人か見える。
金を払えば宿を兼ねた二階の部屋でそれなりに楽しい時を過ごせるだろうが。
「――……無い袖は、触れねェよなー」
そんなぼやき。深刻味の薄い声が毀れる。
現在の財布の中身ではどう頑張っても安娼婦ですら買えそうに無い。
というか、そもそも今夜の宿代も無い。
旅のものを売った金と昼間ちょっと稼いだ金は全てここに注ぎ込んだ。
この一杯のために生きてる……先程の台詞は訂正しよう。
この一杯を飲むくらいしか生きる糧がない。
「仕事、探すかなー」
コン、とそんなぼやきにおかわりのグラスが置かれる音が重なった。