2016/05/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 高台公園」にレーゼさんが現れました。
■レーゼ > 高台に位置する小さな公園。
ここからならば街の全景がある程度まで把握できる。完全に把握しようとするのならば、それこそ塔にでも登らねばかなわぬだろうため、散策ついでにというのならばこのような場所が一番手っ取り早い。
「お昼寝の後は散歩に限るわ」
だが言うに事欠いて昼寝、と断じたこの娘。もはや夕刻どころか夜半に足を突っ込んでいるというのに…!
ところどころに設置された小さな街灯が心もとない灯りとなって周囲をぼんやりと照らしている。
眼下に広がる街並みも、軒並み夜の風景に塗りつぶされている。
■レーゼ > そんな寝坊娘は現在、街灯の光がぎりぎり届くあたりに設置されたベンチに座っている。
光そのものに近いと羽虫が大変なことになるのだ。
この位置でもそこそこ飛んではくるものの、景観を確かめる邪魔になるほどではない。
悠然と脚を組んでは、ぐう、と腕を伸ばして寝すぎて固まった体をほぐす
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 高台公園」にヘクター さんが現れました。
■ヘクター > 黒いシルクハットに黒のペストマスクで完全に顔を隠した銀髪の人間が公園の前を歩いている。
公園そのものには取り立てて用はなく、直ぐにでも通り過ぎるつもりであった。
「おお…。」
だが、不意に足を止めることとなる。
なぜなら、ベンチの上で体を解している女性の姿が目に入ったからだ。 帯剣している以上は戦士であろうか。 しかし、それにしては服装が豪奢である。 余程の家の貴人であろうか。
どちらにしろ、興味を持ってしまった。
故に、女性が座っているベンチの方へと近づき、声をかけた。
「こんばんは、今宵も良い月ですな。」
■レーゼ > 「ふう」
伸びを終えては改めて一息。
基本装備は宿に預けてきてあるため、現在はごくごく普通の町娘装束、念のための帯剣だけがいささか目を引くことになろう。
その違和感ゆえに、声をかけられたのだろうか。娘はそう判断した。
「あら、今晩は。そうですね、高い建物が少ない場所ですし、夜空がよく見えます」
声への返答。
高台ゆえ、この場所で影となる建築物はほとんどない。あったとしても離れた場所にある塔やそれに類するものくらい。
そのために、男の告げた通り浮かんだ月が良く見える。言葉をつづける前に一拍、首を傾ける仕草。
「あなたもこちらへお散歩に?」
■ヘクター > 「左様ですな。 いつもは通り過ぎるだけなのですが、今日は思わず足を取られてしまいました。」
女性が腰掛けているベンチの前で足を止め、首の角度を上げる。
マスクの中から感嘆の息が漏れている。
「こちらにはいつも仕事で来ております。 こう見えても行商の類をしておるのですが、近ごろは治安も悪く難儀しております。 どこぞで腕の立つ方を雇えればよいのですが。」
ため息交じりに答えると、女性の顔と腰の剣に視線を向ける。
どこまで腕がたつか知りたかったからだ。
■レーゼ > 「今日は過ごしやすい涼気ですし、その気持ちもわかります」
ふと口元に笑みを浮かべ。
日中暑かったり湿っぽかったりするが、この時間になれば多少の風さえ吹いてくれれば、ずいぶんと過ごしやすい空間となる。
特に遮るもののない場所など、籠るべき湿気が動き、ちょうどいい涼しさを提供してくれるのだ。
加えて見上げても星空、見下ろしても星空だ。
「行商ともなれば、不埒な輩にとっては格好の餌食でしょうね。
……ギルドやそういったところに依頼を出してみるのはいかがでしょう?」
報酬次第ではありますが、腕自慢が集まりますよ、との補足を続ける。
なるほど向けられた視線からある程度のことは察した。
が、此方としても腕を売るのは仕事である。
きちんとした書面なりなんなりで条件や期間、それに報酬のほうの明記と証明が大事なのだ。
うっかり植えて泣きを見るのは駆け出し時代で済ませるべき通過儀礼。
■ヘクター > 「ええ、いつも今日みたいな天気だと助かるのですが。
しかし、このように星だらけだとどれがどの星かわからなくなりますな。」
魔族の己にとっては多少の天候の変化はそれほど気にはならない。
一番気になっているのは目の前の女性。
星空を見上げながらも、マスクの中の金色の瞳は時々、女性の顔へと向けられる。 豊かな髪が月の光に反射し、麗しい色をしていた。
「仰る通りで、いつも命がけの旅となります。 …ギルドに頼むのも良いのですが、商売人と言うものは信用が第一でしてな。 多少値が張ろうと信用のおける方と契約を結んでおきたいのです。」
これは男の経験から生じた本音でもある。
ギルドなどの組織に紹介をしてもらうのも確かに便利だが、ともすれば他の依頼主と取り合いになってしまい、意にそぐわない人物が送り込まれることもある。
その点、知った相手に直接頼んだ方が安心と言うものだ。
「こう見えてもわしはひとを見る目には自信がありましてな。 どうでしょう、わしと直接契約を結んでいただくと言うのは。」
そういうと、袖の中から雇用契約の羊皮紙を一枚取り出し、差し出す。
それにはギルドを通して入る相場の2倍の額が書かれている。
■レーゼ > 「空の天気は乙女心と同じですから。……方向を見るために必要な星以外は、どれもきれいだな、でいいと思いますよ?」
山の天気となんとやら、そこまで気まぐれとは言わずとも中々読み解かせてくれないことでは一致している。
レンジャーなど、慣れた者ならば空の表情や風の匂いである程度はわかろうものだが、残念ながら完全という精度は難しい。
なお、美しい天体に向けての感想は中々剛毅というかおおざっぱである。綺麗と思うのならばそう感じたままでいればいい、必要なものとそうでないものの線引きがしっかりなされているということか。
「――傭兵というのは、お金と状況、そして商人の方と同じく信用が第一です。そして信用は一朝一夕で得られるものではあらず――でしょ?」
に、と柔らかな笑みが悪戯っぽいものに変わる。
そうすれば外見よりさらに幼く見えてしまうのだが仕方ない、表情を偽るのはそれほど得意ではないのだ。
男の告げた内容はとてもよくわかるし、納得もいくものだ。直接的な専属契約、この町に名前を登録しているのならば問題にもなろうが、娘は流れの傭兵だ。その点では問題にならない。
「素敵な口説き文句と魅力的な花束ね? でも、この金額は相場を壊してないかしら?」
気になったのはその点。
いくらギルドが仲介料を取るからとはいえ、二倍の相場は少しばかり娘の警戒心を刺激してしまった。
差し出された羊皮紙は受け取り、ざっと契約内容の確認は行うも――その中に、どれだけ危険なところを通るのか、またはどんな積み荷を運ぶのか、など。
することと報酬の釣り合いを確認する意味合いが強い。
■ヘクター > 「実に上手いことを言う。 まるで詩人みたいだ。」
要点だけはしっかりと抑え、細かい点はざくっと捉える。
でも、楽しむ心は忘れない。
女性の言葉から聡明さを感じ、興が乗ったのか、段々と巣の話口へと変わってゆく。
「確かにその通りだ。 なるほど、ならば今度はこちらのことをお話しさせて頂いた方がよろしいかな?」
小悪魔のような顔を見せられ、マスクの中の瞳に光が灯る。
かわいい。
女性の口から返ってきた答えは至極もっともな道理。
信用を求めるなら己も信用に足りる人物であることを示すのは当然なこと。
「相場で安心が担保できますかな? 商人と言うものは価値を認めれば馬鹿げた値でも平気で払うものだ。」
マスクの中からくぐもった笑い声で木霊する。
金額を積み過ぎ、警戒させてしまったことを悔やむことなく、むしろ女性とのやりとりを楽しんでいる。
「私はシンビジューム商会のシンビジュームと言ってな。 この地方を中心に商っている行商なのだ。 そろそろ次の街へ向かう予定なので、街に入るまでの道中の護衛を頼みたい。 ギルドに支払う取り分を回しているのだ、これ位は妥当だろう?」
■レーゼ > 「あらお上手。あなたは女性を口説くのに慣れてるのかしら?」
口調が変わったことに関しては特に何も気にしないらしい、むしろこちらだって最初は表情を偽っていたのだし。
そも、砕けた口調となるということはこちらに対して少々なりとも情報開示を行うための前準備だと察したらしい。
「ええ、お願いするわ。あなたが私の信頼を得るに足る人なのかどうか――なあんて偉そうなことを言うつもりはないけれど――、一方で払う必要のないお金に関しては、おおらかに言えることができるのが商人という人種らしいわ」
笑んだまま男の言葉を打って返す。
価値を認めれば――確かにそうだ。だがそれは真理の側面に過ぎない。
価値を認めぬものを偽り、価値あるように差し出すのもまた商人。そういった意味ではもっとも信頼でき、信用が難しいのも確かである。
それはそのまま傭兵にも当てはまるが。
「この周辺に足を向けたのがつい先日なの、もう少しその商会のお話、詳しく聞かせてもらえるかしら?……あとできうるなら、向かう街の名前と想定してる日数も」
追加情報の提示を求める。
が、それは裏を返せば多少なりとも男の出した交渉に乗り出そうか、という意思の表れだ。
■ヘクター > 「はははは。 こう見えてそれなりに歳を取っていてな。 若い時なぞ色々悪さをしたものだ。」
マスクの中から聞こえるくぐもった笑い声は絶えることがなく。
「聡明聡明。 余程の経験を踏んでいると見える。 ならば、前金でその額の半分をお支払しよう。 初めての取引なのだ、それくらいするのが我々の世界の常識だからな。」
事実、一見の客には事前に商品代を取ることもしている。
しかし、全額払うと後の担保がない。 故に、半金のみの支払い。
「わしの商会はこの国の端から端までを回ることで各地の品を必要な人の手に渡すのが仕事でな。 街の者にでも聞けば多少の評判は聴けるだろう。 目的地はゾス村だ。 あそこにはこの街で仕入れた薬の類を売りに言っておる。 道中が危険な分、良い値で売れるのだ。 道中の日数は君に任せる。 プロはプロに任せるものだからな。」
男の目的は二つあった。
一つは女性に話した通りの行商。
事実、街の外は危険がある為西の物を東に運ぶだけで価値はあった。
そして、二つ目の目的。 それは女性を敢えて危険な場所へ連れ出すこと。 非常事態となれば、男の欲望を突き刺す機会も伺えるというものだから。
どちらに転んでも、男にとってはおいしい結果となる。
■レーゼ > 「経験といえば聞こえはいいけれど、それだけ失敗してるだけなのだけどね、私って」
ぺろりと舌先が唇の隙間から顔をのぞかせる。
ふむ、前金で半分、定石ではあるがそれゆえに確かな一手ではある。
なるほど確かに商人としての動きは間違いない。
「なるほどね、相場の二倍まで出す理由もわかった気がするわ」
そこで一度言葉を切り、な病む仕草。
儲けと危険度、その二つを天秤にかけ、さてどちらに傾くか、と悩み始めたところらしい。
「……ちなみに出立日はいつになるかしら?」
おっと、思考に没頭してしまう前に、それを聞いておくことも大切だ。
すぐに、となれば
宿の引き払い諸々あるため、いささか面倒となる。そして面倒事の数もまた、報酬との兼ね合いに引き出されるものだ。
――なお、もちろんのこと自分が場合によっては抱かれる可能性も加味している。
というか外観からして屈強な男性を選ぶわけではなく、むしろ枷になりそうな女性である自分に声がかかったところからして、最初から頭に入れてあることだ。
■ヘクター > 「失敗、大いに結構。 わしはな、危機に陥った時の対応程信用のできる材料になると常々思っていてな。 失敗をしたことのない奴等あまり信用せんのだ。」
大きく縦に首を振る。
「そう、決して高くはないのだよ。 ギルドによっては君に支払う金額の倍を払ったのにとんだ素人を寄越すこともあるのでな。」
袖の中に腕を入れ、弄っている。
しばらくして、渡す予定の金額が入った袋を取り出す。
女性の表情から、概ね承諾するだろうとの判断である。
「うむ、善は急げというのでな。 明日などはどうだろうか。 勿論、村につくまでの食糧にそのほかの経費もこちらで支払おう。 君はわしから金を受け取ることと旅の安全を考えてくれればよい。」
話しが一歩前に進んだことで、男の声に弾みが生じる。
それはつまり、目の前の女性と閨を共にすることの出来る可能性をも考えていて。 決して派手ではない服に包まれた身体を想像し、視線が下へと下がってゆく。
■レーゼ > 「それは確かに大事ね、失敗したことのない人ほど信頼できない人は居ない」
そこは完全に、もろ手を挙げて同意した。
理論先行実戦皆無、それは信頼できない地雷原の地図を片手に鼻歌交じりに散歩するようなものだ。
気晴らしになどなりはしない。
「――宿に一度声かけておかなきゃいけないか。部屋のキープと食事のストップと…。」
明日即座に、となれば準備を行うならばかなりせわしない。
その分の手間賃やらなにやらは――まあ必要経費として、今回のスポンサー殿にせびっておくことにしよう。その他の経費、ももってくれるそうだし。
「欲を言えば帰りの食費も持ってほしいところよね?」
ちらっちらっ。男の予想通り、意識は諾に向かっているらしい。
まだしばらくはこの町を拠点に顔を広げ、地盤を固めていくつもりなのだ。
宿の引き払いは長期契約の違約金まで発生するので考えていない。
「そのあたりまで考えてくれるのなら――今回のお仕事、受けてもいいわ。ただ引き抜いた剣がさびていた、となっても私は責任とれないからね?」
其処は投資を行う商人の目の責任だ。
もちろん護衛に手を抜くことは一切しない。実際に娘が戦っているところを見たわけではない男が下した判断ゆえ、実力の測り間違えがあったとしても違約金は払えないぞ、という保険である。
もちろんその場合は娘もそこで生涯を閉じるか、もしくは逃げ出しているかの二つではある。
……なおそう告げた際に脚を軽く組んでふくらはぎまでの脚線をみせるのは、男の視線位置を誘導するためである。しっかりと体を目に焼き付ける前に、降りるところまで視線を下ろさせるための。
■ヘクター > 「実践を伴った発言はやはり心を動かされるな。 君に頼んで正解だったようだ。 今回の仕事がうまくいけば今後もわしの仕事も受けてくれ。」
とはいえ、それは今後も受けてくれるかどうかはおそらく己の出方しだい。 そう思うと、どうしたものかと思案していた。
この女は大事な戦力として使えるかもしれないとの考えが芽生え始めていた。
「その辺のことは君に任せよう。 後で紙にでもまとめてくれれば全て支払おう。 手持ちが足りないなら前金を使えばよい。」
冒険者や傭兵を雇う際には毎度支払っている必要経費。
金額もだいたい分かっているので、動じる様子はない。
「そうだな、そこは君の頑張り次第だと伝えておこう。 何なら特別ボーナスも考えてやるぞ?」
報酬に食いついてきた。
金がなければ値交渉へ入るかもしれないが、この男は金には困らない。 それよりも、目の前の女性がどこまでサービスをしてくれるか。 そちらに気が行っている。
「なに、君なら大丈夫であると信じておるよ。」
本来、戦力そのものにはそれほど不安はない旅である。
女性の釘を差す発言にも気の良い返事を口にする。
「ふふ、今日はこのマスクをしているのが惜しいほどだな。」
脚線が露わになると、視線を下げたい所であるがマスクの構造上あまり視線は動かせなかった。 流石に屈んでまで覗くわけにはいかなかった。 何せ、今日は物わかりの良い商人として接しているから。
■レーゼ > 「そうね、お金払いはいいみたいだし、次はどうするか、仕事内容を体験してから考えましょう」
告げると、さてと腰を上げることにしよう。
明日が出立となれば諸々の用意を済ませておかなければなるまい。あとは必要経費をまとめることも必要だ。
もちろん、支払ってくれるからと言って過度に請求することは言語道断だ。
それは自ら信用を落とそうとする行為にほかならず、それはつまり、信頼を利用する仕事の幅が狭まるということを意味するからだ。
必要最小限、しかし逆に必須のものはきちんと。その線引きが大事だ。
「ああ、それとこれも言っておこうかな。――脱がせてがっかりだったからっていう理由での違約金も、支払えないからヨロシクぅ」
こちらはぼかすことなくストレートに告げておいた。
告げた後に、にぃっとまた悪戯な笑みを深めるのだ。マスクのせいで視界が狭いことも計算済み、そのうえで見せるのだ。
結構強かなのは傭兵家業をやっているせいなのかもしれない。
最も今回依頼された仕事は、あくまでも『護衛』だけである。手を出すならその時は――別料金か、あるいは契約破棄とみなされるか。
娘の気分次第、という不確かなところを残したままなのは、こちらの交渉術の一つなのかもしれない。何せ性癖がわからない、もしそういうときに至った折、到底受け入れられないタイプであることを想定しての釘さしだ。
――告げたいことはあらかた告げた。ならばあとはと出立準備のため、宿に戻ることにした娘。
豊かな銀じみた金髪が街灯の灯りを反射し、きらりと一度蠱惑的な光を向けて――準備のため一直線に宿へ向かうことだろう
■ヘクター > 「ふふ、流石に通じたか。 君こそ、わしが変わった男だからと言う理由で断るのは止めてくれたまえよ。」
宿へと向かう金色の髪を見送ってから、男は別の方角へ歩むことにした。
なにせ、久々に良い女性を雇えたのだ。 事前にせねばならぬことはたくさんある。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 高台公園」からレーゼさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 高台公園」からヘクター さんが去りました。