2015/11/22 のログ
カレリア > 「(なにかあるならこの辺りですわね…)」

路地裏のかなり奥までやってきた
辺りは表通りと違い静けさに包まれ建物の影のせいか薄暗い
そこでふと声をかけられる

「おじょ~さん、ちょっといいかなぁ?」

三人組の男達、肥満ややせ細った者はおらず三人とも鍛えられた身体にニヤニヤとした笑顔
そして隠す気もないのか腰元にはまだ抜かれてはいないナイフ

「ちょっと俺達困ってるんだけど、相談に乗ってくれないかなぁ?」

一番前に居る男がそう言いながら近づいてくる
店から出てきた自分を尾行、そしてちょうどいい場所に入ればこれ…
分かりやすすぎてむしろ滑稽に見えてきた

カレリア > 「そうですか…なら困り果てたまま路頭に迷ってくだされば幸いですわ」

冷たい視線で見つめながら呟く

「……ハッハッハ!
冗談のきついお嬢さんだ、そんな事ばっかり言ってると怪我しちゃうよ?」

威圧のこもった声音で語る
世間知らずの子供にそんな事を言われて腹を立てないわけがない
むしろ良く手を上げなかった方である

「冗談?全て本音ですわ、子供相手に数に頼るような貴方達の頭では理解できなかったのでしょうか?」

きょとんとした表情で首をかしげる

カレリア > 「………下手に出てたら調子にのりやがって…」

男の目の色が変わる
ガキ相手にここまで言われても笑顔でいられるほどこの男は我慢強くなかった

「大人の怖さってもんを知らないんだろうなぁ…じゃぁ、俺が教えてやるよ!!」

振りかぶった拳をそのままカレリアの顔面へと打ち込む
痛みと恐怖で怯え許しを請うカレリア…
持ち物や衣服は全て奪われ凌辱の限りを尽くされる…

カレリア > ここまでが彼の思い描いた展開だった

「大人の怖さ…生憎そんな物は知りませんが貴方が中途半端な小物と言うのは知っていますわ」

男の振るった拳をその小さな手で受け止める
男は訳が分からず一瞬の判断が遅れ…

「これから貴方が知るのは…女の怖さですわね♪」

ギジュ!と異音が響き…男の拳は挽肉になった

カレリア > 「は…あ……あぁ、あぁぁああぁぁぁあ!!??」

突然の事に理解が及ばず痛みすら遅れてやってくる
何が起こったのか理解する余裕はない、これまでで感じたことのない痛みとショックが男を襲い半ば発狂しかけたころ

「五月蠅いですわ♪」

目の前の笑顔の少女がにこやかに男の股を蹴り上げる
何かが弾ける感触と共に男はその意識を手放し膝から崩れ折れた

カレリア > 何が起こったのか、それを後方に居た男達は考える
今しがた目の前で起こった出来事…ともに馬鹿をやりながらも仲間としては信頼できる男
少し熱くなりやすいがそれを含めても良い仲間が叫び倒れた
何が起こったのかよく分からないが一つ言える事は…

「ふふふ…1人目は少し暴力的にやってしまいましたわね♪」

倒れた仲間を見下ろし笑顔を浮かべるあの子供
あれが危険という事だけだった

「さぁ、貴方達はどうしますか?
逃げますか?
それとも仇討ちですか?
どちらでも好きな方を選んでください♪」

まるで鼠を前にした猫、笑顔を浮かべているが恐怖しか感じない
隣にいた奴は声をあげ後方へ全力疾走していくがなぜか自分は足が動かせない

カレリア > 「賢い判断ですが…速さが足りませんわね♪」

少し膝を曲げ力をためる
走り出した男に狙いを定め溜めた力を一気に解き放ち…地面を蹴る!

「はぁ、はぁ……ぁっ…!!??」

逃げ出した男は三人の中では少し度胸の少ない男だった
目の前の光景が信じられずいつも頼りになった男が倒れた現実を逃避し逃げ出す
仲間には悪いが恐怖には勝てない、このまま表通りまで逃げ切り誰かに助けてもらおう…
そう考えていたはずが何かが後頭部にあたりすさまじい勢いで倒れた
それが男の最後の記憶だった

「まったく…きちんと洗ってますの?
髪がベタベタで匂いも酷いですわ…」

パンパンと手をはたきながら物言わぬ男に尋ねる
石畳の地面にめり込んだ男の顔、超スピードで追いつきそのまま地面に叩き付ける
全て魔力強化で跳ね上がった身体能力のおかげである

カレリア > 「はぁ…楽しい遊びも最後の一人、貴方だけですわね?」

くるりと最後の男に向き直る
本能での危機回避能力かカレリアの追撃を逃れた彼
もはや完全に狩る側から狩られる側に回ったそんな男を

「…あぁ、もう覚悟は決めた。正直化け物相手にするには心もとないがな」

男はナイフを抜き構える
今すぐ背を向けても同じ事をされる、それに友人二人を手にかけた目の前のカレリアが許せない
気持ちを奮い立たせ得物を抜く、刺し違えてでも殺す。そんな決意がうかがえる

カレリア > 「あぁ、あぁぁ…武器を抜くのですね?
何も持たない私相手にぃ♪」

ニタリと笑みを浮かべる
言葉と表情から愉悦が浮かぶ
逃走でも絶望でもなく奮起、そんな彼が愛おしく狂おしく憎らしい

「貴方はどんな風にされたいのですか?
要望があれば可能な限り答えます…貴方の勇気に答えて!」

カレリア > 「じゃぁ、頼むから…死んでくれよ!」

カレリアに向かって駆け出す
姿勢を低くいつでも左右に躱せるように警戒しながら
刺突ではなく間合いに入った瞬間に首を一閃、そこに勝機を賭け男は駆ける

「それはできませんね…では、私は物語に聞いた方法を試させていただきますわ♪」

手を男に向ける、ただそれだけで男は後方へ吹き飛び壁へ激突する
これが魔法なら男は躱せたかもしれない、だが現実はそこまで甘くはない

「目覚めた時にお仲間を協会にでも運ぶといいですわ、殺してはいませんので♪」

スカートの端を掴み一礼
最後の自分に向かってきた男、彼に礼儀を払っての行為
衝撃で意識のない彼だが程なくして目覚めるだろう

カレリア > 「はぁ…何だか今日は気分爽快ですわ♪」

ふぅ、と息を漏らし振り返る
暴力によって相手を捻じ伏せる、自分の一番好きな遊びを終わらせた少女が足取り軽く路地裏を進んでいった

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からカレリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/路地裏」にティネさんが現れました。
ティネ > 平民地区のある裏路地では、幽霊が出るというウワサがあった。
曰く、何か声がするというので恐る恐る覗いてみれば、
みすぼらしい服装の少女がぼおっと佇んでいるらしい。

奴隷が迷いこんだのだろうか、
近づいて確認してみると……なんと、その少女、身体が透けているのだ。
ワッと驚くと、たちまちその少女は消えてしまう。

……というような怪談が、井戸端を賑わせていた。
臆病なものによって安い依頼料で調査依頼が冒険者の宿に出ていたりする。


 *


「うまくいかないな~」

路地裏に置かれた木箱の上に、妖精もどきが座って唸っていた。
その目の前で、人間大の少女のいいかげんな幻がかすれて消えていた。
この怪談騒ぎは、ティネの幻術の訓練の産物だった。
……別に驚かすつもりはなかった。不幸な事故である。

ティネ > 魔法の力というのはこの身体に身についているのだが
術として扱おうとするとなかなかうまくいかない。
幻のような複雑な制御を要求されるようなものはまさにそうだ。
地面やオブジェクトにめり込むことはなくなったが
持続させることがうまくいかない。
そんなわけで幽霊が出来上がってしまうのだ。

「へっくし!」

路地裏に小さなくしゃみが響く。

「……ずっと練習してたら夜になっちゃった。
 どっかで暖取ろうかなあ。酒場はもう閉まっちゃったかな?」

ぶるぶる、と木箱の上で自分を抱きしめる。
夜風はどんどん冷たくなってきた。
暖かくなる魔法とかそういうのを練習するべきなのかもしれない。

ティネ > 独学というのはなかなかうまくいかない。
マグメールの図書館にでも探しに行くべきだろうか。
地下図書院に赴くというケイシーには幻術の本もついでに
頼んでくるべきだったかもしれないなとか思う。

「ふんぬ~!」

もうちょっと練習を続けることにしたらしい。
するとつま先から頭の先の順で、幻の少女が現出する。
ティネが人間ほどの大きさであったら、きっとこれくらいだろう、という。
それぐらい、大きさ以外は彼女と寸分違わない出来だ。

「よしっ! ここ十年で最高のでき!」

ふー、と疲労の汗を手で拭う。

ティネ > 力むのをやめ、集中を解くと、また幻は消え去る。

「……これぐらい美人に作れてるなら、
 さっきみたいにびっくりされて逃げられたりしないだろ!」

なにか微妙に事実を誤認した様子で、
満足気に路地裏を去っていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/路地裏」からティネさんが去りました。