2015/10/09 のログ
ご案内:「路地」にリィン・レイヴィアさんが現れました。
■リィン・レイヴィア > 白いスカートに軽めの皮の鎧。その上から旅人のマントを羽織った少女が路地を歩いていた。
先程まで大通りを歩いていたのだが、人の多さのため目的の場所に行くことが困難に思われ、道を一つ逸れたのだ。
大通りを歩いている際には、ミレー族が奴隷として引き立てられていく様を見て、「ああ、神様……」と小さく声を漏らした。
今すぐに助け出したいところだったが、現在のリィンではどうしようもない。
「……とにかく、まずは冒険者のギルドを探さないと」
銀の髪を揺らす。今回は後ろで結っている。
王都であるため、自分の事を知っている人間がいないとも限らないためだ。
そして、リィンは道に迷っていた。王都で暮らしていた時は王城地区の中以外ほとんど出たことがない。
「どこかな……」
キョロキョロとあたりを見回しつつ歩く。
宿屋や武器や、あるいは娼館など様々な店が並んでいる。
■リィン・レイヴィア > 人に聞けばいい、といえばそうである。
しかし、リィンは王都を去って3年ぶりにここを訪れた。
自分のことが果たして庶民や役人に知られているのかどうか、わからなかったのだ。
リィンも政争が続いて自分の家の事などはその一つに過ぎなかったことは理解している。
しかしそれでも、用心してしまう。
旅人のマントを着なおし、フードを被る。
フードを被るのはミレー族の特徴を隠す手段の一つなのだが、リィンは顔を隠すことに精いっぱいでそこまで気が回らなかった。
リィンは混血であっても、ミレー族の特徴はない。故にこれで怪しまれたとしても問題はないのだが。
「……これは、違う。あれも、違う……」
とぼとぼと歩くが、冒険者ギルドがどこかわからない。
酒場などもあるが、子供が近づけそうな雰囲気ではなかった。
■リィン・レイヴィア > 歩いていると、時折路地裏などに目が行く。
そこではミレー族の女性、他にもこの王都の市民と思われる女性が男に連れて行かれるのが見えた。
何をするのかは何となく想像はできる。
他にも、ミレー族が奴隷のような扱いを受けていく様も、数多く見ていた。
そんな場面を見ると、ごめんなさい、と心の中で呟きながらリィンは速足で去っていく。
「……何だか、見られてる?」
速足で歩いていると、主に男性の視線を集めている気がしていた。
それが救世姫の魅了の効果であるということを、まだリィンは知らない。
どこか欲情した瞳で彼らはリィンを見つめてくる。
少し身を震わせ、リィンは駆け足で、キョロキョロとあたりを見回す。
冒険者ギルドはどこだろうと。
「――あっ、あれかな」
暫く駆け足で歩いていると、冒険者らしい者が集まる建物が見えてきた。
あれがそうだろうか、とリィンは速度を緩めていく。
少し疲れてしまったのだ。
■リィン・レイヴィア > 「……ここが、そうなんだ」
冒険者ギルドの一支部の近くまで来ると、リィンはそれを見上げる。
冒険者ギルドのマークが看板に掲げられ、窓の向こう側では中では屈強そうな男や、手練れらしい女性の魔術師などの姿が見えた。
とても子供が入って行けそうな雰囲気ではない。
「……冒険者って、こういうものなんだ」
リィンはフードを深くかぶりながら呟いた。
救世姫として覚悟を決めてきたとはいえ、魔物などと戦ったこともない。
ここは上級者向けの場所なのだろうか? などと思えば、中々中に入ることもできない。
リィンは元王族だ。冒険者になるなど、数年前までは夢にも思っていなかった。
ギルド前の掲示板を見て、どのような依頼があるのかと眺めていく。
■リィン・レイヴィア > 「――よし」
暫く眺めているものの、リィンにはよくわからないものだった。
覚悟を決めてリィンはいくほかない。
幼い少女であっても、冒険者にはなれるはずなのだから。
扉を勢いよく開けて、リィンは冒険者のギルドの中へと入った。
視線が一挙に集まっていく――
「あの……冒険者に、なりたいんですけど」
こうして、リィンの冒険者としての日々が始まったのだった。
ご案内:「路地」からリィン・レイヴィアさんが去りました。