2015/10/08 のログ
ティネ > 見つかればひどい目に合わされるというのは
完全な偏見であるのだが、それはともかくとして。

どうもここはパンくずしか落ちてこない。
パンしか食べない教の人間なのだろうか?
あと足が臭い。複合的な意味で居続けたくない場所だった。

「肉とか煮物とか落としてくれるところに行こう~っと……」

『あなたの心に直接語りかけています……肉を……肉を落とすのです……』
などとテレパシーで指示できればいいのだが、
それはそれで面倒なことになる。
別のテーブルの陰へと移動を決心する。

「1、2、3……」

給仕がそばを通りかかったすぐのタイミングで
隣のテーブルへとネズミのような俊敏さでさささっと移動……
したのはいいのだが、

「ぐえっ」

そのテーブルの客が何気なく動かした足――サンダルの下敷きとなった。
気付かれないほどに小さい存在は、こういう事故もあり得る。

「ど、どけて……」

まったく動けないし痛くて苦しい。
脳内に直接語りかけるスキルを磨いておこうと思った。

ティネ > 数十分後――
サンダルの持ち主の女性がふいに脚を動かすまでは
ティネはずっとそこに釘付けにされていた。

「はぁはぁ……死ぬかと思った……
 もう死んでいるのかも」

上を見上げる。なかなかの美脚の持ち主だった。
顔までは伺うことができない。

「きょ、今日はこのへんにしとこっと」

この妖精の身体が適当な作りで助かった、と思う。
ともかく、もう少し優雅な食料調達手段を考えなければそのうち大変なことになってしまう気がする。
それを今後の課題として、ティネはこそこそと酒場を脱出した。

ご案内:「酒場『黒猫のあくび亭』」からティネさんが去りました。