2023/07/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にメレンさんが現れました。
メレン > 冒険者ギルド職員の日々は忙しい。
ギルド職員たちで結成した調査隊の作戦会議が済めば支給品の手配を進める眼鏡娘。
自然地帯で安全とされていた調査済みの探索区域で中級冒険者も痛手を負う事態が多数報告されている。

魔族の影響で生態系に歪みが生じた線も危惧されており、現在のハザードマップと現実の乖離が大きいと
有望な冒険者たちを危険な目に遭わせてしまう。

「対象地域の依頼書は全部剥がしておいてくれる?注意喚起の看板を掲示板のすぐ隣に立てておいてね」

若いギルド職員にてきぱき指示を行いながら、机に置いた地図と依頼書をにらめっこしながら
要調査区域が対象となっている依頼の回収およびクライアントへの連絡手続きを進めていく。

「気を付けてね。行ってらっしゃい」

武装した数人の職員……その辺の冒険者よりずっと強そうな同僚たち数名を見送れば自身はそそくさと
事務作業へ戻る。

そこからしばらく経過して……

「っはぁ~……。やっとお昼ご飯」

そこそこ人気の少なくなったギルド。カウンターの向こうのテーブルで、そっと昼食であるサンドイッチを頬張る。
臨機応変さが求められるのは依頼を受けて実際に現地へ赴く冒険者だけではなく、彼らに仕事を斡旋する
ギルド職員もまた然り。

一応、冒険者がやって来ないかちらちらと入口の方を気にしながら昼食を摂り続ける。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からメレンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にレベリオさんが現れました。
レベリオ >  
平民地区の酒場。
平民が普段使いするには少しだけ値段が高めで
貴族が日常使いするには僅かに格が落ちる。
実入りの良かった冒険者が打ち上げに来たり、ささやかな祝い事に使われる。
要は“今日はちょっと良いものでも飲み食いしようか”という目的で使われる見せ

夕食時を少し過ぎた、夜中というにはまだ早い刻限。
今日も、この店はそれなりに賑わっていた。
テーブル席には武勇伝を語る冒険者の一行や、記念日を祝うカップルめいた二人。
そんな喧騒を、カウンターの隅から深紅の瞳が眺めていた。

「今日は、少し賑やかじゃないか?」

笑み交じりに店主に向けて言葉をかける。
常連とまでは言えないが、何度か通って店主と会話くらいはできる間柄だ。
決して不快ではない喧騒を味わいたいときに足を運ぶ店。
年季が入っているが、丁寧に磨かれたカウンター席も心地が良い。
『お客さんの景気はどうですか?』と問いかけてくる店主に肩を竦めて。

「良くもなく、悪くもなくだな。
 今度、遺跡に調査でも行こうと思っているんだが、誰か護衛を紹介してくれないか?」

なんて、当たり障りのない言葉を交わす。
手に持っているのは琥珀色の酒を注がれたグラス。
この店に通っている理由のひとつ。特製の蒸留酒だ。
強い酒精と、芳香を流し込みながら、また視線を店内に巡らせて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 「護衛なら、彼女なんてどうです?」――半隠居の商人へと店主がそう声をかけた。手のひらを上に向けた先に、テーブル席にて仲間とごちそうを囲む褐色肌の小柄な少女の姿。
「今は曲者揃いの冒険者ギルド”片羽根ニンフ”所属でお客さんの護衛をこなせるだけの実力は保証できるかと」店主は、そうとも続けた。


――カウンター席で店主と何やら言葉を交わしながら店内を見回す、筋肉質で四肢の長い体躯の人影。血やワインを連想させる深紅の瞳と目があって、一度睫毛を弾ませてから。小さく目元で笑う会釈を見せた。
この平民地区の酒場の客において、彼の分類に従うのなら。
自分は”実入りの良かった冒険者”になるのだろう。
テーブル上には肉と野菜と肉と肉とパンとフルーツが盛られ、同行したパーティメンバー達は次々とそれを口に収めている。そんなテーブルの真ん中には、レッサードラゴンの大きな角が周囲に見せつける形で置かれていた。

口にしていたブドウを飲み下した。
何やら、店主と件の大柄な男の人との会話に依頼の気配を感じると。
椅子から降り。音もなく、椅子の足に立てかけていた得物の曲刀を鞘入りで腰に収める。ここまでひと動作の滑らかさだ。

「こんばんは、隣人さん!
……強いスピリットを飲む時は気をつけて。
妖精さんが、お腹の中からいたずらしちゃうかも。……冗談だよ!
さっき、マスターが僕を指さしてたり、何かお話してるみたいだけど。
もしかして、お仕事の話?」

にこやかにカウンターへと、彼のところへと近づいて挨拶。
蒸留酒と妖精を同じスピリットと読む冗句を浮かべつつ。
お仕事の気配に瞳輝かせて。

レベリオ >  
まさか、自分の雑談にすぐ心当たりがあるとは思わなかった。
少しだけ目を丸くしてから、店主の促す方向に視線を向ける。
最初に視線を捕えるのは、まるで勝利のトロフィーのように飾られたもの。
上位種ではないが、間違いなく竜種のものと思われる角。
店主が指すのは、活発な印象の娘。
宝石を思わせる印象的な大きな瞳と、視線を触れ合わせる。

「彼女が――」

“幾分若いようだが”と添えかけた言葉を途切れさせる。
此方に向かってくる前の仕草、得物をまるで自分の身体の一部のように扱う様。
それに評価を改めた、というところだ。
少なくとも、にべもなく断る理由はどこにも存在しない。

「初めまして。
 レベリオだ。レベリオ・F・コンスキウス。
 いっそ、妖精に悪戯されてみたいものだな。
 そうすれば、今夜の飲み代だけでなく慰謝料も請求できたのに。」

見た目通りの活発そうな声に、軽く笑って言葉を返す。
王都ではあまり見ない服装がよく似合う少女。
それに、遠慮なく深紅の眼差しを向けて。

「ああ、仕事の話だ。
 遺跡への護衛を一人か二人、探しているところだ。
 興味があれば、一杯奢るから、話を聞いてみるかい?」

第一印象としては、合格といえる。
山岳を走る小さな獣のようなしなやかさは好ましい。
とはいえ、商談がまとまるかはこれから。
こういう場面は心得ているし、嫌いではない。
依頼人と冒険者が互いが互いを値踏みし合うような時間。
まずは、と空いている隣の席を勧めて。

タピオカ > 「あはは!
慰謝料なんて言葉、久しぶりに聞いたよ。
もしかして商売をしている人?
――僕はタピオカ!よろしくどうぞ!」

人にいろんな身分があるように、
同じ酒場の中にだって色んな立ち位置がある。冒険者にも。
手紙を書くのだって羽根ペンではなく大剣でしか書けないような乱暴者たちに囲まれて過ごしていた自分に、彼の言葉遣いはなんだか新鮮だった。
筋骨逞しいながら、紳士的な仕草と物言いにも。
からから笑い、見当をつけた。
「僕が悪戯する妖精になってあげよっか?」そんな戯れも付け加えつつ。

――そして自分は、彼が雇うに十分な信頼を預けられる器であるという事を示すために。深紅の眼差しを向ける相手に対し。
剣士の生命である手を差し出して、握手を乞う。
それを折って無力化するのは容易い。差し出す意味は、金子を扱う人なら通じると踏んだ。笑顔のままで。

「護衛だね。興味ある!
ゴーレムでもガーゴイルでも。レベリオを守ってみせるから。
お話聞きたい!シードルで!」

自信を見せた。
実際、剣の腕やフィールドワークには自信があった。
遺跡なら、野外で過ごしてきた勘も働く。
前のめりがちになりつつ。依頼人をさっそく呼び捨てにする気安さである。
琥珀色の蒸留酒にあわせて、大人っぽい酒精を頼みたいものだけれど。
飲み慣れているりんご酒で手を打ってもらおうと。
勧められた椅子に、音もなく腰をかけて相手を見上げる青緑の瞳。

レベリオ >  
「ああ、古美術品や遺跡の出土品を扱っている。
 もっとも、今は半分隠居しているがね。
 とはいえ、たまには働かなければ黴が生えてしまうからな。
 よろしく――タピオカ。可愛らしい妖精さん。
 悪戯は、歓迎するが中身によるな。」

彼女の問いかけを肯定する。虚言を交える意味は今はない。
冒険者らしい明け透けな物言いは好感の持てるものでもある。
だから、彼女の戯れめいた物言いに、冗談をひとつ返す。
深紅の瞳は、今は輝かずに、あからさまにならない程度の微笑を浮かべ
――と、視線が下がって映し出すのは、差し出される彼女の手。
随分と大胆、最短距離を選ぶものだと、笑声を零して
彼女の小さな手を取る。

――なるほど。
自信満々なだけのことはある。
同じような色合い――自分よりずっと健康的な褐色の肌。指。手。
男の骨ばったそれとは違う、柔らかくしなやかな手の内側に流れる血潮。
その内側には生命が満ちているように感じる。
もし、喉を裂いて、それを味わえばどれ程の美味だろう。
そんな衝動さえも浮かんでくるような感触。

「自信満々だが、確かに――と言うしかないな。
 どうやら、紹介してもらった甲斐はありそうだ。
 そうだな――期間はそれ程長くはかからないし、報酬は相場通り出そう。
 経費はすべてこちら持ち、加えて良い発見があれば、報酬に色を付ける。
 ……概要はこんなものかな?」

呼び捨てられる名前を気にするでもない。
彼女との旅はきっと楽しいものになるだろう。
見上げる青緑の眼差しから、深紅の視線は外れることはない。
彼女の注文が差し出されれば、自分のグラスを掲げる。
もし、応じてくれるならば「乾杯」の声と共に二種類の酒精の芳香が弾けることだろう。

タピオカ > 「夢のある商売だね……!
古いものに価値を与えるお仕事って。
ふふー、可愛らしい妖精なんて。ありがと!」

土に眠るものたちに日の目を見る機会を与えるのは、単純な売買よりも難しい。
美術の知識も要る。
依頼人を見る目が尊敬の眼差しに変わったところで、お褒めの言葉に単純に喜ぶ表情。
中身の肝要な悪戯については、ちろりと桃色の舌を突き出して片目を瞑ってみせた。
特に意味はなかった。

触れる手。陽の光をあまり浴びていないのは、彼の商いが主に屋内だからだろうか。
それよりも、少し別のものを感じる。
彼の錆を含んだ低音の声と似たもの。そこから深淵を覗いた気もしたが、
きっと気の所為。握手に応じてくれた大きな手を、にぎ、にぎ。白い歯を浮かせる笑みを見せながら握って。

「ここのマスターにはお世話になってるし、紹介したことで恥をかかせるつもりはないよ!
……うん、わかった。必要経費も出してくれるし、運が良かったら報酬上乗せっていうのは良いね。
”前金”も貰ってる。その条件で引き受けた!」

店主の顔に泥は塗らない。所属ギルドの鉄の掟のひとつだ。
詳しい依頼内容の話となると、少しばかり真剣な横顔になり。吟味する。
好条件に思えた。前金兼、景気づけのシードルも手元に届く。
古美術品を守る脅威や遺跡の罠の危険には十分釣り合うと思った。
金ぴかではなく古のオタカラを探す体験は新鮮に感じる。
注がれたグラスを迷いなく胸の前に持ち、緩く彼へと傾ける。契約成立。

「乾杯!」

今もどこかで眠っているであろう、古き良き輝きに。
乾杯の後にそんな言葉を付け加える。まるで女呪術師のように厳かな声を上げて戯れ。
深紅色の視線に視線絡ませ。小さなぷくんとした唇にグラスの縁をつけ。
小さく干すと、仄かに色を帯びる褐色の頬。

レベリオ >  
「それ程褒められるものでもないさ。
 実際は地味で、手ぶらで帰ることも多い。
 もちろん、その場合も報酬は払うから心配はしなくていいが。」

ころころと表情が変わる少女。
喜色から、尊敬、悪戯な色合いまで。
感情を隠さないその様は、言葉通り悪戯な妖精のようにも
朴訥な山の民のそれにも見える。
だから、少しだけ彼も笑ってみせた――彼女の感じた深淵の気配を隠すように。

握手する手は、商人というには些か鍛えられて見える。
けれども、一般人の範疇を出はしないだろう。
そういう風に“調整”しているのだから。
日の光をあまり浴びていない違和は、どうしようもないが。

「そうだな。流石、プロフェッショナルだな。
 では、まずは仮契約成立ということで――乾杯。」

彼女をどうするにしろ、どうもしないにしろ
“無事に”此処に返すことは間違いない。
想像するような仕事になるにしろ、ならないにしろ。
目的に関しては何ひとつ嘘はついていないのだから。
だから、呵責なく、乾杯の声を告げる。
グラスにふっくらとした唇を触れさせるのを見て――。

「おや?思ったよりも、詩人だな。タピオカ。
 もし、酔っていなければ…
 お仲間には悪いが、場所を変えて細かい金額などの相談をしようか?
 もちろん、日を改めても構わない。
 それ程、日程がひっ迫している訳でもないからね。」

グラスを一気に干すのに合わせて、自分もグラスの中身を空にする。
強い酒だろうと、決して酔うことはない。酒精で酔うことなどできない。
そして、告げるのは誘う言葉。深紅の眼差しを、未だ宴会を続ける彼女の仲間に向けて。