2023/07/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルプランさんが現れました。
■ルプラン >
炎天下を避けたギルドの建物内、一階の壁の一面を埋め尽くす掲示を前に、
女は右手を腰に、左手を口許に宛てがい、気難しげに眉根を寄せて、
じっと掲示された依頼の数々を睨みつけていた。
「んん、ん――――… あんまり、良いの、無いなぁ。
これなんかどう考えても、生きて帰って来られなさそうだし」
戦闘になった場合はまるで役に立たない女が、受けられる依頼はそもそも多くない。
ぴら、と一枚の依頼を親指と人差し指で摘み、勇ましい文言が並ぶそれに双眸を細めて、
尖らせた唇からひと言、無理、と呟く。
「おいしいことばっか言ったって、帰って来られなきゃ意味ないもんね。
かといって、あんまりしょぼそうなのは……うーん」
金払いの良い依頼はそれなりに危険も付きまとうだろう、
しかし安全性の高いものは、当然、報酬も安い。
それだけではない、女の場合、重大なハンデがある。
出来ることなら、男ばかりのパーティの案内役、などというのは、
避けて通りたい依頼、ナンバーワンなのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にラディアス/ルディウスさんが現れました。
■ラディアス/ルディウス > 「はぁ~~~~…… あっぢぃぃぃ」
「雨期を過ぎた後のこの暑さは堪えますねぇ」
新たにギルドに足を踏み入れたのは二人の青年。
金髪金目に長身瘦躯、褐色の肌には拭っても拭っても流れる汗を垂らして、この炎天下の被害にあっていたのがよくわかる。
同じ顔に同じ声、着ているものと装備と服装が違うだけ。
双子の冒険者というのはこのあたりでは珍しいだろう、必然その名も噂としてよく通っている。
曰く、学院に通う貴族籍を持つ双子の冒険者。
学生冒険者によくいる駆け出しからは抜きん出た実力を持っているとか。
二人揃って好色、女が好きでよくナンパをして持ち帰っているだとか。
実は淫魔であるだとか。どれも事実をから来ている噂だ。冒険者であれば聞いたことがあるかもしれない。
双子の冒険者に気をつけろ、と。
そんな双子のうち片割れ、兄のラディアスが依頼掲示板の前に立つ目立つポニーテールの女性を見る。
「あれぇ? 冒険者やめて案内人になった子じゃん」
「おや、こんなところで会うなんて奇遇ですね」
数ヶ月前まで冒険者の一人として活動していたと記憶している女性だ。
この双子、可愛い女の子や綺麗な女性を見ればその素性をしっかり覚えているタイプである。
彼女が冒険者を辞めた経緯についても、淫猥な理由が絡んでいたという事情も救出チームから流れ尾ひれ背びれのついた噂ぐらいには知っている。
彼女は双子のことを知らないかもしれないが、双子にとっては面白そうな事情を抱えた"獲物"。あるいは"玩具"。
まるで知古に合うような気さくな笑顔と素振りで近づいて、「元気~?」なんて声をかけながら、双子は彼女の左右に立って挟み込むように絡みに行く。
■ルプラン >
扉が開けば、来訪者と共に熱風が吹き込んでくる。
けれど反射的に戸口を振り返った女の顔が、本格的に顰め面になったのは、
現れた二人の男―――同じ顔、同じ髪の色、瞳の色、背格好も同じなら声も同じ、
実際に組んだ事こそ無くても、噂だけは嫌と言うほど聞き及んでいる、
そんな彼らと行き会ってしまった不運のためだった。
取り敢えず、関わりたくないので素早く顔を背けた。
気づかなかったふりでやり過ごし、可及的速やかに退散しよう。
そう思っていたのに――――。
「――――――… チ」
思わず舌打ち。
振り返りたくないけれど、彼らの方からずんずん近づいてきて、
左右から挟み込むようにされてしまっては、顔を背け続けるのにも限界がある。
それでも暫し、無言で壁を睨みつけていたが、仕方ない、とばかり、深い溜め息を吐いて。
「ご覧の通り、至って元気にしてるわよ。
そちらは、……そちらも、はた迷惑なくらいお元気そうね」
聞いてるわよ、いろいろと。
そういう意味を言外に込めて、左へ、右へ。
等分に睨みを利かせ、牽制をしたつもりだ。
■ラディアス/ルディウス > 「あっはは、そんないやそーな顔しなくてもいいじゃん。えーと、今なんて名前だっけ?」
「ルプランさんでしたね。今の登録名」
「そーそー、ランちゃんね」
彼女を挟んでテンポのある会話をする双子は、深いため息を吐いて牽制する女性の対応に愉しそうに笑っている。
左右に睨みを彼女とは20㎝以上も身長差がある。故に見上げるように睨みを聞かせるようになるだろう、上目遣いにも等しい凛々しく棘のある表情は、双子の嗜虐心を擽るだけだ。
豊かな胸元、身体のラインを強調するような服装に、ショートパンツから覗く肉感的な臀部から脚の付け根。
彼女の雄の劣情を煽るバランスの良い体を舐めまわすように双子の視線が無遠慮に這う。
「ま、元気は元気だけど、このクソ暑い中歩き回って汗だくでさぁ。ランちゃんもこんな首までぴったりした服じゃ汗すげーんじゃね?」
「ブーツも暑さで蒸れるでしょう。女性は特に、胸周りが大変そうですね」
とセクハラまがいなことを言って、彼女の肩に腕を回して首筋をなぞりながらハイネックの首の部分を軽くずらしたり、腰周りを撫でたりと手まで出し始めて。
■ルプラン >
「いやそーな顔、だってわかってんなら…… っ、
勝手にひとの名前、略して呼ぶのやめてくれる?」
そんな親しい間柄じゃないし、なるつもりもないし。
それにしてもこの二人、無駄にスタイルに恵まれているのが腹立たしい。
左右から見降ろされている、というのは、それだけでイラっとするものだというのに、
向けられる視線のいろがまた、鬱陶しい、うるさい、煩わしい。
「いやなら歩き回らなきゃいいでしょ、あんたたち、金に困ってるわけでもあるまいし。
―――――― ちょっ、ちょっと、やめ、触んなっ、てば!」
馴れ馴れしく肩を抱いてくる、ハイネックの襟元を勝手にずらしてくる、
逆の方から伸びてきた腕が腰に絡まり、臀部の丸みを楽しみ始める。
寒くもないのにぞくぞくと、背筋が粟立つのを感じて、大きく身を捩りながら声を荒げた。
――――――途端、どくん、と、鼓動が跳ねる。
「っ、――――――… は、 く、んっ……」
だめだだめだだめだ、今、こんな所で醜態をさらすわけには。
必死に呼吸を整え、昂りかけた神経を鎮めようとするのだが―――
まず、この双子の囲みから逃れなければ。
このカラダが、女自身のいうことを聞かなくなる前に。
■ラディアス/ルディウス > 「えー、いいじゃん、仲良くしよーよ。俺はラディでいいし、弟はルディでいいぜ? ほら、これで平等」
「あなたみたいな綺麗な女性に、そんな風に邪険にされてしまうと悲しいです」
疎ましそうに嫌がる様子から、彼女への心証が底辺に落ちているのはわかっているからこそ遠慮のない行動に出る双子。
好感度が低いほどそれ以上は落ちないだろうということ。
冒険すんの楽しいし? お金はいくらあっても困りませんよ? なんて彼女の体を撫で回し、許可もなしにべたべたと触りながら彼女の激高を誘うようにセクハラを続けていく。
彼女が冒険者を辞めざるを得なかったという噂の一つを確かめるように。
身を捩って荒げた声に、途端に艶めく色が乗れば、双子の金の目が楽し気に細められた。
「へえ?」
「おやおや」
何も言っていないのにとても愉しんでいるのが伝わるだろうか。
彼女の体に起きている異変を、娯楽を楽しむかのごとく見下ろす。
呼吸を整えて落ち着こうと、昂る心情を鎮めようとする彼女の左右の耳に、双子は揃って顔を寄せる。
内緒話でもするように、その鼓膜に低く囁くように、甘い声音で──。
「素っ裸になってオナニーショーでもするか? スケベ女」
「本当は痴態や醜態を見られたいのでしょう? 変態女」
彼女の羞恥と感情を怒りで揺さぶるように、嘲りにも似た揶揄で彼女を挑発する。
■ルプラン >
「う、る、さい! あたしは、あんたらと、仲良くなんかしな、い!」
間違っても、相性で呼び合うような仲になどなりたくない。
べたべたと無遠慮に触ってくる手を叩き落とそうにも、左右から二人分の手が同時に、
あちらへ、こちらへと伸びてくるのだから始末が悪い。
はじめは怒りのために赤らんだ頬が、次第に、不自然な熱を帯びて色を増し、
触れる掌、指先に伝わる肌の熱が、震えが、明らかな『異状』を悟らせてしまうだろう。
「っ、っ、――――――――~~ っっ、っ!!」
左右から、同時に、吐息が掛かるほどに寄せられた顔。
鼓膜を嬲るように甘ったるい声で囁かれる言葉は、
彼らが女の、一刻も早く忘れたい過去の汚点を、知っている、と伝えるもの。
女は耳朶から首筋まで朱に染めて、声にならない悲鳴とともに、
がくん、と膝を折り、その場へへたりこんだ。
「な、な、なん、で…… なんで、そん、あんた、たちが、
………し、知って、……ウソ、嘘っ、あっち、行ってよ、ぉっ、」
両腕を腰に回し、我が身を抱き締めるようにして、
しゃがみこめばますます高い位置になってしまった彼らの顔を、もはや、
怯えきったような表情で仰ぎ見、見比べながら。
いやいやと小刻みに頭を振り、うわずった声はたどたどしく、
乱れ打つ鼓動を鎮める術もわからず、噛み締めた唇の端から零れる吐息さえ、
すっかり熱っぽく震えていた。
■ラディアス/ルディウス > 顔を真っ赤にして、膝を折って座り込んでしまった彼女が見上げる怯えたような目に、見下ろす双子の目は猛禽のように獰猛で、嗜虐的で、非情さものぞかせる。
身体を抱え込んで発情期に入った色香を見せる彼女の様子に、ラディアスが膝を曲げてしゃがみ込み、彼女の顎を掴んでぐいと自分の方へと上向かせて、愉悦に笑う。
「そういう話大好きだからさぁ、俺ら。……なぁランちゃん、俺らと仲良くしよ?
そしたらその身体の熱も全部発散させて、めちゃくちゃ気持ちいい体験させたげるからさぁ。
────もし断られたら、俺らこの噂について大声で言いふらしちゃうかもしんねえや」
そんなことをしたらどうなるか、なんて彼女も想像がつくだろう。
整った容姿に肉付きの良い身体、女として彼女に手を出したい男なんていくらでもいるはずだ。
自分たちの相手をしてくれないなら、代わりに色んな男をけしかけてやるぞという脅しにも近い。
貴族特有の傲慢さを覗かせながらも、座り込んだ彼女の背後からルディウスが手を引いて立ち上がらせよう。立ち上がれないなら、肩も貸すだろう。
「ともあれ、ここでは目立ちますね。場所を変えましょうか?
嗚呼……あまり暴れないでくださいね? 間違えて、貧民地区に入ってしまうかもしれませんから」
彼女が頷くにしろ嫌がるにしろ、一度ギルドを出て彼女を連れ込み宿まで連れていくつもりだ。
そこで暴れるなら、ここよりも治安の悪い場所に発情中のその身を放り出すぞという脅し。
さて、トラウマを知られて怯える彼女の反抗心は折れてくれるだろうか。
■ルプラン >
「ひぁ、っ――――――…!」
ぐ、と顎を掴まれただけで、甘ったるい悲鳴が上がってしまう。
不意を衝かれて堪え切れなかった声は、きっと居合わせたほかの客たちの耳目も集めてしまうだろう。
仰ぎ見た双眸はもう、熱に浮かされたように涙にけぶり、
こころなしか、唇の色までが不自然に朱くなっていた。
「ゃ…… い、やだ、だめ、いやっ、今は、 ぁ、あぁ、っ!」
いや、だめ、と繰り返す声は嗚咽交じりで、けれど逃げ出す余力は既に無く。
背後から助け起こされれば、なんら性的ではない筈のその接触にも、
耳を覆いたくなるような悲鳴が零れてしまって。
もう、自力では歩くどころか、立っていることさえ覚束ない。
彼らの提案には未だ、ふるふると頭を振って拒絶の意思を示していたが、
「っ、や……… いや、ぁ、ぁっ……、
たす、―――――… だれ、か、―――――――――…」
彼らの腕を振り解いて、あるいはせめて大声を出して。
そうすれば逃げられたかも知れないが、女にはもう、どちらもかなわなかった。
おどおどと見回した視線が、周囲の誰それとかち合えば、その中にも好色な光を認めてしまう。
助けてくれるどころか、もっと酷い目にあわされるかも知れない――――そう、逡巡するうち。
元は冒険者だったとはいえ、女は決して膂力に恵まれているわけでもない。
小柄な体は長身の青年二人に挟まれ、まるで人形のように無力なまま、
彼らの望む場所まで運び込まれてしまうだろう――――――。
■ラディアス/ルディウス > 『移動』
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からラディアス/ルディウスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルプランさんが去りました。