2023/06/30 のログ
■ルイト > しっとりと響く魅了のテノールに、くらりと視界が歪む。
酔いにも似た感覚に、場酔いしただろうかと少し困惑を抑えきれず。
「……いや。俺はいいや。全部食っちまって」
差し向けられれば軽く片手を揺らしてやんわりと断る。
そして店主に水一杯を頼み、受け取ったそれを一息に飲み干した。
「親父。悪ィ、ちょっと変に酔っ払っちまったみたい。少し外歩いて醒ましてくる」
場を離れたのは、魅了を酔いと勘違いしたからだけではない。
隻腕の酔客に近寄った際、鼻先を掠めた甘い香り。それに誘うような雰囲気が滲んでいたからだ。
流石に仕事中。我を忘れて淫行に耽るわけにもいくまいと自制し、立ち上がる。
「……ちょっと散歩してくる。お客さんはこのままいてくれていいぜ。…とは言っても、サンドイッチ食ったら帰るんだっけ」
■ヴェルソート > 「…ん、そうか?…じゃあいただきます。」
もぐ、と…彼が拒否すれば、緩んだ思考はそのままモグモグと…周囲の客もざわつきだすのは、やはり魅了が漏れ出ているせいか。
それを自覚するだけの思考能力はまだ戻ってきてはいないが。とろりと普段から眠たげに見えるはしばみ色は、火照りのせいでとろりと潤みを帯びて少年を写し。
「帰るっていうか、まぁ…眠くはねぇから、迷惑かからねぇ店にでもいこうかなー、と。」
それか散歩…と、もごもごとサンドイッチを咀嚼しながら答えれば、グラスに残った蜂蜜酒と水を、ぐい、と飲み干して…とりあえずの腹はくちた。ゆらりとこちらも立ち上がる。
どちらにしろ、この場を後にするのは、変わらない。
これ以上居座ると、この場が酷い事になると、朧げにはわかっているらしかった。忘れぬうちに、お代をチャリ…とカウンターに置いて。
「散歩ならぁ…一緒してもいいかい?」
■ルイト > 「ま、それがいいかもな。この界隈には割と店も多いし」
酒場から娼館、そしてちょっとした劇場まで。
様々な種類の店が立ち並ぶ。そのごった煮感が平民地区の醍醐味でもあるか。
と──散歩にご一緒したいという相手に瞬き、少し考えた後…
緩く首を左右に振った。
「悪ィ。話し相手がいる散歩は有難ェけど、ちょっとぶらついたらまたこの店に戻ってくるしな。
その短い間にあんたを付き合わせるのも何だし、ここでお別れしようぜ」
そう口にすれば笑って片手を揺らす。「またどこかで」という言葉を残し、止められなければ一旦店を出て散歩に出かけるだろうか。
■ヴェルソート > 「まぁ、俺は売る側だけどなー。」
飛び入りで売りにいけるとこがあると良いけど、なんてへらへら笑いながら、散歩のお誘いをしてみたが、首を横に振ればまあそこまで食い下がる事もなく。
「そっかぁ、あいよ…仕事頑張ってなーぁ。……ん、また縁があれば。」
片手を揺らす彼に、こちらも隻腕をゆらりと揺らせば、お代をカウンターに置いてこちらも店を後にする…さて、火照った体を…どうしようか。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルイトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からヴェルソートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエンさんが現れました。
■エン >
あちらにこちらに行き交う人やあちらこちらに並ぶ露天に服飾店に魔導具店に雑貨屋に――
その一角にある飲食店も昼時もあってか中々の人入りで大通り程ではないが賑やかなもの。
川辺りを臨む店外の一席にやってきた男も店員に、
『場合によってはご相席をお願いする事も』
云々とちょっとした説明を受けては頷き腰掛ける。
「……」
メニュー表を開いては赤いレンズにぼんやりとその羅列を映すが、
目線は献立に向いていても考え事をするように首を傾け耳を傾け。
「じゃあ。この。オリジナルバーガーとハニーレモンソーダ、あとポテト」
少しして改め注文を取りに来てくれた店員さんに結局献立に目を通しているのかいないのかといった有様だったが注文をしてから、背もたれに背を深めに預けて、一息。……フレッシュネスバーガーとかいうのもよかったな、パスタもおいしそう、とは、周りから聞こえてくる美味に舌鼓を打つ客の声であったりレタスを齧る瑞々しく豪快な音を聞いてのぽつりとした内心。
サングラスの中に仕舞われた瞳は店に来る以前からここまで終ぞ閉じたままだった。
■エン > やってきた食事に手を合わせて分厚いパテとバンズを口に頬張りジュースを煽り、
偶に一人頷いたり独り言ちたりしてはしばらくの間食事を楽しんでから席を立つ。
ご馳走様でした、
とお会計を済ませて店を出る。
人混みを縫うように歩いていく。
目が見えている様に振る舞う盲人はそうやって杖もなく人混みに消えていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエンさんが去りました。