2023/06/27 のログ
影時 > 「どーも、かたじけない。つまみは……と」

回転率の高い酒は、どうやらすぐに出せるように準備していたらしい。
もとより、在庫があるものは早めに捌かせて新しいものを仕入れる魂胆でもあったのだろうか。
そう思わせる手際の良さ、早さで次のエールを満たしたジョッキが運ばれてくる。
同様に注文していた者たちに、手早く振る舞われている。高めの酒に目向きさせない狙いでもあるのか?

読んでンじゃねえだろうなあ、と思いつつカウンターの方に目を遣れば。

(……読んでるンじゃねえぞ、ったく)

目が合った酒場の主たる初老過ぎの男が、己の視線を読んだような仕草で明後日の方向を見るのである。
さながら、トロフィーよろしく飾られた何十年物のドワーフ仕込みの蒸留酒に、手を付けてみたいと思ったのに。
渡さん、飲まさんと言わんばかりの断固たる意志を感じつつ、受け取ったジョッキに口を付けよう。
見回せば深酒が過ぎて、寝こけ始めたものも何人も出始めている。
相方や仲間が声をかけて、定宿に連れて行くのかどうか。動きが無ければ、声をかけに行くか。そう思いながら呑み続け――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区:冒険者ギルド兼酒場」にケストレルさんが現れました。
ケストレル > 「はぁ」

日も暮れ賑わいを見せる冒険者ギルドに併設された酒場
その片隅で一人、男は酒の注がれたグラスを片手に物憂げな表情を浮かべていた
本来であれば今日この時は連れが居るはずで、持参した酒と酒場の肴で一杯やろう、という約束だったのだが

「……馬鹿野郎が」

つい昨日、約束相手は護衛の依頼を受けてる最中に野盗に襲われてこの世を去ったとのことだった

俄かには信じられず、こうして約束の時間に赴いてみればひょっこり顔を出すかも、なんて淡い期待を持ってはいたのだが
向かいの席は変わらず空席で、否応にも現実を直視させられる
グラスに自ら注いだ酒に口をつける気分にもなれず、ただただ果実酒の水面に浮かぶ自身の顔を見ては溜息と悪態をただ繰り返すのみだ

ケストレル > 先週あったばかりの顔が二度と見られなくなるなど、紛いなりにも冒険者を名乗っていればそう珍しい事でもない
言ってしまえば、この稼業には依頼中の落命など“付き物”である
ケストレル自身もそれは重々理解しているし、何も今回が初めてというわけでもない
朝まで夜通し飲み明かした相手が、別れてそのまま音信不通になることもざらだ
生きているにせよ死んでいるにせよ、限りなく一期一会に近い間柄――むしろ今回は訃報を受け取れただけでも“マシ”な方だろう

「せめてうまい酒の一つでも奢ってから逝けってんだよなあ」

舌打ち混じりに吐き捨てて、意を決したようにグラスの酒を呷る
ケストレルが贔屓にしてる酒屋の自慢の一本、なのに今日は前に飲んだ時ほど美味いと思えなかった
口の端から零れた雫を手の甲で拭い、酒の香りの混じった息を深く深く吐き出す

「あーやだやだ、辛気臭いったらねえや
 こうなりゃ軽くナンパでもして、あの野郎があの世で悔しがる様で溜飲を下ろすか」

というわけで心機一転、見目麗しい淑女でも居ないかと店内を軽く見まわすことに

ご案内:「王都マグメール 平民地区:冒険者ギルド兼酒場」にティカさんが現れました。
ティカ > 「――――………は? 死んだ? あのやたらと軽薄そーな奴が? マジで……?? そ、そっか……護衛依頼中に雇い主をかばって……そっか……」

そいつは小剣使いだった。
訓練場でいきなり声を掛けて来て、へらへらと薄っぺらな笑みなど浮かべているからタダのナンパ野郎だと思って軽くあしらっていたのだけども、それは長剣から小剣へと武器を変えるつもりで訓練していたティカに対する先達からのアドバイスだった。
訓練場で会う度に近付いてきては聞いてもいないのにあれこれ偉そうに《先輩からの助言》なんつーもんを垂れ流し、どさくさ紛れにべたべたと身体に触れてきながらも彼は確かに小剣の扱い方というものを教えてくれたのだ。

そんな《教え》が実戦で上手く働き、これまでに無く見事にコボルトを討ち取る事が出来たのだと喜び勇んで報告しに来てやったというのに、受付嬢から伝え聞いた彼の居場所はあの世なのだという。
思わずきょとんとして何度も聞き返してしまった。

冒険者の死なんて物は日常茶飯事だと理解していたはずだったのだけれど、これまで近しい相手というものを作って来なかった物だから、それなりに言葉を交わした冒険者仲間の死というのはティカにとって初めての経験だった。
未だ理解が及んでいないようなちょっとぼんやりとした顔のまま、どこかふわふわとした足取りでギルド併設の酒場に足を向け、とりあえず手近な椅子に腰を掛けた。
そのテーブルに、何やらきょろきょろと店内を見回す先客がいた事にさえ気付いていなかった。

ケストレル > ナンパをすると息巻いてみたものの、実際のところノープランにも程がある状況

さてどうやって声を掛けようか、そもそも一人しか居ないテーブルにグラスが二つ、どう説明したものかと算段を立てつつ
大抵の場合、“佳い女”というものは機微を察する能力に長けていると相場が決まってる、とはケストレル本人の談
連れにすっぽかされたと見受けられればその程度の男とフルオートでこちらの価値が決められてしまうと彼自身は思い込んでいる

故にこの勝負、今まで以上にボロは見せられない……とか勝手に意気込んでいたのだが、

「―――お?」

何やら心ここにあらず、と言った様子の少女がふらふらと歩いて来て、ケストレルの居るテーブルの空席に腰を下ろした
元から二人分として用意されていたテーブルだ、元々居たケストレルと合わせてぴったり2人、納まってしまった

「ああ、ええと……よく見りゃ見覚えがあるな、アイツがよく先輩風吹かせてた……
 名前は確か……ティカ、だっけか?」

少女に見覚えがあると気付くと、少し考えた末に故人が親しくしていた少女であると思い出す
年下趣味かと酒の席で揶揄った覚えがあったが、その少女が何の縁か本来彼が座る筈だった場所に居るというのも、面白く思えて

「何度か訓練場で見掛けただけだが、ぼやっとしてるなんて珍しいな……さてはギルドでアイツが死んだ事でも聞いたか?」

言葉は軽く、しかし穏やかな口調で声を掛けて

ティカ > 「――――……あ? あ、あぁ、悪ぃ。ちょっとぼんやりしてた」

席についても女給に注文を入れるでもなく、床の一点を見つめていた少女戦士は声を掛けられて始めて先客の存在を認識したのか、猫を思わせるつり気味の紅目をまたたかせ、やはりぼんやりしたまま生返事をして席を立とうとして――――ぴたりと動きを止めた。

「………てめぇ、なんであたしの名前知って――――っ!? ……………あんたのいうアイツってのが、やたらへらへらしてて締まりのねぇ細身の小剣使いのことなら……そうだ。今さっき、護衛でヘマってくたばったって……聞いた」

思えば名前さえ聞いてはいなかった。
あいつのおかげで初めての小剣戦闘が上手くいったのだし、先輩のおごりで酒の一杯でも飲んでやるのも悪くない。
そこで互いに今更ながらの名乗りを交わすなんてのもいいか。
そんな風に考えていたのに、その機会はもう二度と訪れない。
涙をみせる程の感傷は無い。
別にそこまで親しかった訳でもないからだ。
それでもちょっと、クる物があった。

だからこそ、ティカよりも余程あいつに近しいと思えた青年の対面に座り直し、今度こそ真っ直ぐ紅目を向けて言葉を返した。

ケストレル > 「そーそー、ソイツの事よ
 あの野郎、飲みの約束すっぽかして先逝っちまってな
 全くトンデモねえ友達思いの馬鹿野郎だぜ」

自分へと紅玉の様な瞳を向ける少女に対し、ちょいちょい、と彼女のそばに置いてあるグラスを指しながらケストレルは笑う
彼女が故人と特別な親交があった、という訳では無いのは承知している
どうせ互いに名前も知らない様な間柄だろう、思い返せば自分が他の冒険者に名前を聞くまで知らずに先輩風を吹かせてたのだ

「ここにこうして座ったのは偶然でも何かの縁だ
 どうだい、アイツの代わりに飲んでかねえか? お前さんならアイツも代理としちゃ悪い顔もしないだろうしよ」

そう嘯きながら二人の間に置かれた果実酒の瓶を示す
一人で空にするには度も強いし、何より少々傷心では味気無い
ただ、故人が目を掛けていた後輩と飲むのなら――まあ多少はマシにもなるだろうと、ダメで元々と誘いを掛けてみる

ティカ > 「――――そっか、これ、あいつの分の……」

期せずして相席となった先客の存在に気付いたのがつい先程なら、眼前に置かれていた酒盃に気付いたのも今この時。
それが彼との飲みを約していたアイツのために注文された物だと言われれば、普段はむっつりと不機嫌そうな少女戦士の童顔も少々複雑な物となる。

「…………そう、だな。ああ。本来ならアイツに……小剣使いの先輩に一杯奢ってもらおうって考えてたんだ。だったらこれをあたしが飲んでも文句を言われる筋合いはねぇよな」

知人が死んだばかりだと言うのに妙に軽い男の言葉。
それこそが冒険者の流儀なのか、それとも死んだアイツと類友なのか、その辺りは分からぬ物の、ティカも彼に合わせる事にした。
見るからに年上の、目つきの鋭さが潜ってきた数多の死線を感じさせる眼前の男もまた、冒険者としての先輩なのだろうから。
そんな訳で酒盃を手に取り、そこに注がれていた一杯をぐいっと一気に干した。

喉を焼く上品な甘みは、ティカがこれまで飲んできた安酒とはまるで別物のようだった。

「えっと………もう知られてるみてぇだし必要もねぇだろうけど……。あたしはティカだ。名乗りを上げる前にくたばりやがったあの小剣使いの代わりに名乗っとく」

ケストレル > 「おう、ティカで合ってたか。 俺はケストレル、だ。一応アイツとは同期――たまたまこの街のギルドに登録したのが同時でよ。そっからの腐れ縁ってとこだ
 ……アイツに絡まれて鬱陶しかったろ? まあ大目に見てやってくれよ」

彼女の名乗りを聞いて、俺に名乗られてもなと思いつつも雲の上の故人に届く様に復唱し、その後自分も名乗った
良い飲みっぷりだな、と感心しながらもやはりその席に居るはずだった故人を思い返し――訓練場でやたらと彼女に絡んでいた姿を思い浮かべる

「ヘラヘラと俺に負けず劣らずナンパな野郎だったが……一度邪険にされりゃ大人しく引く奴だったんだけどな
 どうも、故郷の妹に似てて放っとけなかったらしい」

自分のグラスに酒を注ぎながら、問われていない事をぺらぺらと口にする
自分だけしか知らない話だが、自分だけが抱えているのも肩が凝る。 だったらこの機会に当の本人に言ってしまおう、という腹積もりだった。死人に口なしとはよく言ったもの

自分に注いだ後は空になった彼女の酒盃へと瓶を向ける
遠慮は無しだ、と笑顔で無言の圧を掛けるのが若干タチが悪いが

ティカ > 「そっか、同期か……。 おう、あいつは最初から妙に馴れ馴れしくてさ、もっと腰を入れろとか訳わかんねぇこと言いながらあたしの尻やら腰やら撫で回して来やがって……ま、次の一杯でちゃらにしてやるよ」

思った通り、ティカよりも余程に深い関係だった。
そんな彼がこれだけ明るく振る舞っているのだ。
名前さえ知らぬ、ほんの一時のすれ違いでしかないティカが妙にしんみりするのも間違っているような気がして、少女戦士は空にしたグラスを彼の前にとんと置いた。もう一杯注げの意。遠慮するなという笑みを向けられたにせよ横柄な後輩であった。

「――――あいつ、その妹にも手ぇ出してんじゃねぇだろな……」

妹に似ているといいながら、腰を掴み、まるで背後から挿入しているような格好でぐいぐい腰を入れてくるあいつのいやらしい所作を思い起こして思わずジト目。

ケストレル > 「はっはっは……その辺までは与り知るとこじゃねーや
 ま、でも手は出してねえだろ……アイツがこっち来る前には死に別れてたって話だしな」

男が存命だった頃、酒の席で聞いた記憶がある
はて原因は何だったか、と思い返してみるものの二人とも大分酔いが回っていた所為かどうにも記憶が朧気だ
もしかすると、今回の彼の死因に関わりがあったのかもしれない。あったような気がする
まあ真相はどうあれ、故人が肉親に手を出す様な輩でないことけは確かだと言えた

少女の態度に最初の浮ついていた姿は何処へやらだと笑いながら、酒を注ぐ
軽く掲げてから口へ運ぶと、先程飲んだ時よりも多少は味も戻ってきたようだった

「はぁ……ったく、人に酒だけ準備させやがって
 死んだってのに、恨み言しか出て来ねえ奴ってのもそうそう居ねえもんだなあ」

眉間に皺を寄せ、口を尖らせてみるものの
目許はどこか寂しげで、最終的には溜息が口を突いて零れ落ちた

ティカ > 「――――どいつもこいつもあっさり死にやがって……本当にクソみてぇな世界だよな、ここは」

かの妹までもが既にこの世にはいないと聞いて、ジト目が再び歪む。
舌打ちと共に吐き捨てるのは理不尽な世の中への恨み言。
改めて注がれた高そうな酒を再びぐいと飲み干したのは、そんなあれこれを飲んでさっさと頭から追い出してしまおうと考えたがためだ。
――――大して酒に強い質でもないというのに。

「まぁ、でも……そんなアイツのおかげでこいつを上手く使えたんだ」

ほんのりと朱を滲ませ始めた童顔がちらりと視線を下ろし、太皮のベルトに吊られた小剣に紅目を向ける。
数打ちの安物ではあっても真新しさの目につくショートソード。
訓練所での彼の教えに従った結果、コボルトの手にしたナイフを上手くいなしてあっさりと勝利する事がかなったのだ。

「あのスケベ、ああ見えて小剣の扱いは堂に入ってた。その点についてだけは、ちょっとだけ尊敬してたよ」

再びぐいっと酒を飲む。
少しばかりくらりと酩酊を覚える。

ケストレル > 「ま、そんな世界だからこそ俺らに回って来る仕事があるんだからホント侭ならねえよなあ」

少女が恨み言を吐き捨てたくなる気持ちも理解出来る
自分の杯の酒を飲む先で、景気良く呷っていく姿に俄かに危うげなものを感じ始めるも、
蓮っ葉な口調と態度からそれなりに酒も飲める口なのだろうと判断する
酒の席での判断力の低さをすっかり忘れる程度にはケストレル自身も酔っていた

「ほお、そりゃあ是非とも生きてるうちに聞かせてやりたかったもんだ
 俺も一時期教えを受けた事はあったんだが、センスが無いだ、ガキのチャンバラの方がまだ様になるだ、と散々な言われ様だったしなあ
 それに比べ教え甲斐があるって素面でも言ってたくらいだ。きっと喜んだろうさ」

彼女が得物へと視線を向けたのを見て、ほっこりと頬を緩ませる
スケベなのかどうかはノーコメント。実際故人が彼女をどう思っていたのかは分からない
ただまあ小柄な上背の割に要所の育ちの良い体躯は惹かれるものを覚えたが、酒の所為という事にしておく

ティカ > 「けっ、こんな事直接本人に言えるかよ。あのナンパ野郎、ぜってぇ調子に乗りやがるし」

けらけらと笑いながら故人をこき下ろす後輩冒険者。
健康的に日に焼けた頬をすっかり酒酔いの赤に染めた童顔は、しかし、教え甲斐があるなんて言われていたと聞いて少しばかり照れくさそうでもある。
実際、とある冒険者の助言から元は長剣であったメインウェポンを小剣へと変えたのだけれど、少なくともティカにはそちらの方が合っていた。
その実感をより確かなものへと昇華させてくれたのが、この場にいない小剣使いだった。

「おぉし、きょーは飲むぞぉ! おい、ねーちゃん。酒のつまみ持ってきてくれ! 肉な! 肉! いいとこ頼むぜ! なぁに払いはこっちの先輩が持ってくれんだ。遠慮なく高めのやつ持ってこい!」

どさくさ紛れにケストレルと名乗った故人の同期にたかるのは、元々の男になんざ遠慮してたまるかという気質もあれど、慣れない酒精に脳がやられつつあるという理由もおおいにあった。
ここでチビの不穏な気配に気付いたとてもう遅い。
下手なことを言った所で

「あぁ? なんらてめぇ、あたしとの酒がのめねーってのか! 男ならばーんといけ、ばぁんと! ちんこついてんだろぉが!」

無造作に伸ばした細腕で馴れ馴れしく肩を抱き、小躯の割りに存外育った双丘の柔らかさを押し付けて、柑橘を思わせる若い娘の芳香をたっぷりと嗅がせながら酔っ払い丸出しな台詞を口にして――――半刻もせぬ内に沈没する。
テーブルに突っ伏して赤ら顔で寝息を立てるティカを放置したならば、翌日には周囲で様子を伺っていた良からぬ同輩にレイプされ、たっぷり飲んだ酒代という借金まで抱えたチビが白濁塗れの半裸で路地裏に転がる事となるだろう。

ケストレル > 「あっはっは、調子に乗るか。そりゃ違いねえや」

いくら妹に似ていたからとはいえ、懲りずに絡み続けたからには下心もあったのだろう
何よりケストレルが他の冒険者から聞いた話によれば、そんな気配は見せないがティカという少女戦士は不埒な目に遭いやすいのだと聞く
そんな相手とあれば、故人が調子に乗る様は容易に想像がついた

そして噂は噂と真に受けなかったケストレルも、遅からずその真偽を知る由となる
酔って気を大きくしているのはまだ可愛げがあったが、呂律が回らなくなり始めた辺りで止めようとしても絡み酒
会ったばかりだというのに馴れ馴れしく身体を寄せて来た挙句、卑猥な単語まで口にするほどの酔いっぷりに、流石にケストレルも閉口しつつあったが

「おぉい、ティカ……? 人の金でさんざ飲み食いして挙句寝た……マジか……」

ダメ押しと言わんばかりに、最終的には無防備に寝こける姿を晒していた
なるほどこりゃあ格好の餌になるわけだ、と時折彼女へ向けられる外野からの視線に一人納得する
――が、折角の奇縁で知り合った仲。 このまま捨て置くのは寝覚めが悪い。悪過ぎるし、何より鬼籍の友人に示しがつかない

「ティカ~……お前こそもっと女なら危機感持てよ。 おっぱいついてんだろ~?」

これで起きれば安心して放っとけるんだが、と声を掛けながら横合いから胸元をつついてみようかと

ティカ > 元々貧乏生活で胃袋も小さく酒にも弱い小娘である。
ティカ同様の駆け出しであれば話は別だが、冒険者として独り立ちを果たすだけの稼ぎがあるなら此度の払いなど大した事はあるまい。
とはいえ、ただ酒ただ食いを好き勝手に満喫した挙げ句、魔力の切れたパペットゴーレムのようにへにょんと寝落ちたチビに対する青年の呆れ顔は当然の物と言えるだろう。
それに対し、くかー…くかー…とよだれまで垂らして寝こける少女は幸せそのもの。
翌朝には二日酔いという地獄をあじわう事となるのだろうけども……。

「―――んむぁ♥ ひゃめろぉ、ばかぁ……」

そんな酔っ払いはテーブルに押し付けられて悩ましく歪んだたわわの丸みを横合いから突かれても、もにゃもにゃと寝言めいた文句を漏らすばかりで抵抗らしい抵抗を示しはしない。
悪戯心を発揮してチビの乳肉をつついた青年は、その指先に信じがたいまでの柔らかさと、それに反した弾力性。そして酒精に侵された少女のしっとりと高めの体温を感じる事が出来るだろう。