2023/06/17 のログ
グァ・ジャミル > (届いた料理をがっつりと頬張り、咀嚼し、噛みしめながら飲み込む。
 それらを半ば流し込むようにエールを傾けて喉を鳴らしながら飲み干して、ぷはぁと息を吐いて。
 スライスされたチーズとハムを切れ込みの入ったパンにはさんで、
 ザワークラウトを詰め込んで、八重歯の覗く大きな口でがぶりと噛みつく。
 うめー、と尾っぽをご機嫌に揺らしながら、エールをおかわりする。

 そうして満腹になったら代金を置いて、大きく伸びをし、店の外へ。
 そのまま夜の街へ、軽い身のこなしで姿を消していった──。)
 

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグァ・ジャミルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアデライードさんが現れました。
アデライード > ぽくり、ぽくり、のどかに歩を刻むロバに横座りで乗り、
辿り着いた広場は、あちこちで荷下ろしをしている者あり、旅装を整え出立しようとする者あり、
修道院暮らしに慣れた身には、少しばかり気が引けてしまうくらい賑わっていた。
数年前までは、この王都で暮らしていた娘だが、その頃、親しんでいたのはこの界隈ではない。
もっと静かで、取り澄ましていて、その裏にどんな醜いものが渦巻いていても、
綺麗な布で覆い、煌びやかに飾りつけ、見えなくしているような場所だった。

道端でロバを止め、その背から降りて、労うように撫でてやりながら、
好奇心を隠し切れない瞳で、周囲の様子を楽しげに眺める。
こういう活気、賑わいは、決して嫌いではなかった。
修道衣の上から羽織ってきたマントの懐に左手を入れ、大切に携えてきた紙片を取り出す。
折り畳んだそれを広げ、さて、と声に出した。

「え、と……とにかく、王都にはついたわけだし。
 何よりまず、お使いを済ませなきゃ」

ロバの背に括り付けて運んできた届け物を、王都の、院長の旧知の人物に届けなければならない。
無事にそれが済んだら、少しぐらい、久しぶりの王都を楽しんでもいかも知れない、などと、
呑気な考えも頭の片隅で転がしつつ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にユナさんが現れました。
ユナ > 「ねえ」

その背後から、肩に軽く指先をふれさせる者がある。
擦り切れた安物のコートに、決して見目よくない量販の剣を腰に帯びた。
夏の日差しから守るようにフードをかぶっているのは、活気を裏切る治安の悪そうな傭兵然としていて。
しかしその肩にふれた指の細さに加え、つくりもののような造作の生白い顔がその下から覗く。
ぽつんと活気のなかで浮いているような幽霊のようでいて、
賑わう行き交いがだれひとり気にもとめぬ、奇妙なものだった。

「きみ、修道女さま?」

静かな声で続けて質す。
神の慈悲を乞うものか。
羽織ったマントの下から覗く裾に見覚えがあったか、蒼い瞳がじっと少女をみつめる。

アデライード > 「ひゃ、 はい?」

びく、と大きく肩を震わせて、奇妙に上擦った声を洩らし。
弾かれたように振り返ったとき、娘の瞳は大きく見開かれていた。

ふつうなら、驚くような声のかけ方ではなかったと思う。
しかし、娘の意識は手許の紙片に集中し、その上いくらか油断して、
だから突然声をかけられて、びく、となってしまったのだ。

ともあれ、振り返った視界に映ったのは、傭兵か、あるいは冒険者の類か、
いずれにしても、娘にはあまり馴染みのない人種であるような。
けれど、彼我の身長差がこの場合、幸いしたと言えるだろうか。
やや下方から仰ぎ見る角度のために、フードの下から覗く端整な顔立ちが、
娘から当初の警戒心を取り除いた。
同時、派手な反応をしてしまったことに、ほのかに頬を赤らめて。

「え、あ、はい、……いえ、っ、
 まだ、正式には、違います……でも、
 あのっ、見習、でも、よろしければ、……なにか、お役に立てるのでしたら、」

修道院で暮らしてはいるが、まだ、若輩の身である。
けれどももし、相手が修道女と見込んで声を掛けてきたのなら、
せいいっぱいお役に立ちたい、と意気込んで。
傍らに佇むロバの手綱を握る手に、胸元できゅっと力が籠る。

ユナ > 振り向いた顔の目鼻立ちをみて、声をかけた側も眼を瞠った。
しかし次になにかが気に召したようで、薄っすらと瞳を細めて、
薄暗がりに赤々とした唇がやわらかく笑みを象る。

「驚かせちゃったね、ごめん」

女が這い出してきたのは、ちょうど路地裏からだったらしい。
喧騒がわだかまる中、そこから隔絶されたように、建物と建物の間の隙間。
入り込むと、少し入り組んでいるらしい。

「主の助けが必要でね。聖句を詠める子を探していたの
 私は不信心者だから……お祈りはできる?」

その手を、そっと差し出した。
来てくれるなら、この手を取って。
現在のこの国であれば。そうでなくとも、取ってはいけない手合だ。
この女は自らの身分を明かさず、しかしその言葉だけに真実味を持たせられる手合い。

アデライード > 育った環境、境遇のわりに、この娘の精神はとても健やかだ。
はじめに激しく反応してしまったことを、無意識に負い目に感じたせいもある。
そして何より、娘は、誰かに頼られることを嬉しいと思う性分だった。

だから、目の前の彼女がどこから来たのかとか、
その素性であるとか、裏があるのでは、とか、
そんなことは考えずに、ただ、彼女の言葉を聞いて。
投げかけられた問いにこくん、と頷き、屈託のない笑顔を向ける。

「いえ、ええ、そういうことでしたら、もちろん、喜んで…!」

差し伸べられた白い手に、手綱を持ち替えて空けた右手を気負わず預けた。
どちらに行けばよろしいでしょう、などと、相手の口上を微塵も疑わぬ物言いで。
自身の用事は後まわしに、人助けを優先させるべき、と、決断はほんの一瞬だった。

ユナ > 柔らかな指先が少女の手を受け入れた。
そっと絡めると、エスコートをするように軽く引いて。

「ありがとう、修道女さま」

穏やかな声音が、感謝の言葉を向けた。

「主のご加護というのもあるものだね」

薄闇に招く時に呟いた言葉は、どこか奇怪な言葉であった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からユナさんが去りました。
アデライード > 触れた指先、掌の感触も、娘の想像を裏切らない柔らかさ。
修道女さま、と称されると、はにかむように頬を緩ませて。

「いえ、わたし、まだ見習の身ですので……
 どうぞ、アデライードとお呼びくださいませ」

そんな台詞の残滓を広場に残し、娘は美女に誘われて、
路地の薄闇へ姿を消し―――――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアデライードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアデライードさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアデライードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にユナさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からユナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にステイラさんが現れました。
ステイラ > モコモコとした独特な衣服と幼く可憐な容姿のステイラは、今日もひっそり王都で遊んでいた。
とはいえ、平民地区のにぎわいの中にちょっと混ざって、そのにぎわいを味わうだけだ。
ミレーの里には無い雑多な王都のにぎわいは、ステイラにとっては新鮮なものだった。

「あ、もうこんなじかん……」

けれども、そんなにぎわいの中で、ちょっとだけ遊び過ぎてしまったらしい。
気が付けば日が陰り、空の赤みが増していた。
普段ならば暗くなる前には王都を離れ、帰路の最中の街道や森の中で野営をして一夜を明かす。
王都の中で日を明かす、ということを可能な限り避けていたのだ。

ステイラ > こうなれば、少しでも早くこの場を跡にするか、あるいは宿を取って一夜を過ごすかだ。
安全面で言えば、本当ならば前者がいいのだろうが、あいにく真っ当な金銭が無い。
なにより幼い子供一人、宿を取るには少々手間がかかるし、そもそも泊めてくれるかどうかすら怪しいものだ。

「やっぱり、もういかにゃいとかなぁ」

何とも名残惜しく、ついつい立ち止まってしまう。
後ろ髪を引かれる思いとはまさにこの事だった。
けれども仕方ない。そう自分に言い聞かせて、ステイラはゆっくりと歩き出そうとしていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > ふらりふらりと散歩道、今日を歩くは人の行き交う大通り。
少女は必ずしも、屋根の上を伝うなんて事はしない。
まぁ、今日は食べ歩きをしていたのだから、屋根の上なんて居る訳はない、と言うのが答えだが。

「いやはや、やはり歩きながら食べるのは、良いものじゃ。
これで、何かあれば、もっと良いん…ん?」

満足気な様子での歩み、さて、これから戻るかどうするか。
そんな事を考え、歩いていれば、ふと目の前に見えるのは…

「おや…おばんじゃな?」

見覚えのある、そんな人影。
見知った相手には、とりあえず、挨拶を。
そんな感じに、立ち止まっているか、歩き出そうとしているか。
そんな相手へと、ひらりと手を振ってみせるのだ。

ステイラ > 「ふにゃっ!?」

びくんっ、と思わず隠していた尻尾が飛び出しそうになるのを抑えつつ。
くるりと咄嗟にふりむけば、其処には見知った着物姿。

「こ、こんばんはだにゃ?」

ちょっとどもりつつも、なんとか挨拶をするステイラ。
なんとも色々な意味で心臓に悪い出会い方である。
相手は特に気にした様子も無く、軽いあいさつと言った様子であったが。
みたところ、食べ歩きの最中、といったところであろうか。
ちょっとだけ空腹なお腹がキュウっと鳴ったような気がする。

タマモ > 軽い挨拶だったが、どうやら驚かせてしまったようか。
確か…そう、種族が種族だけに、仕方なかった…と、一応は、記憶に残っていた。

ただし、名前は覚えていない。

「こんな場所でとは、珍しい…だったじゃろうか?
元気そうで何よりじゃが、今日はまた、どうしたんじゃ?」

そんな理由あってか、見掛けるのは、外であったと思うのだが。
今、ここは王都の中である。
不思議そうに、かくん?と首を傾げるも。
ふと聞こえた、空腹の音に、くすっと笑う。

「夕食は、まだのようじゃな?
ならば、夕食前に、軽く入れておくか?」

するりと隣へと歩みよれば、ぽんぽんと頭を撫でて。
もう片手に持った、肉饅頭の入った袋を、揺らしてみせる。
とは言っても、中に入っているのは、残り1個なのだが。

ステイラ > 「ええっとええと、ちょっとあそびにきてて」

わたわたと、身振り手振りで説明するステイラ。
語るのは大よそザックリ、拙い説明ではあっただろうが、隠すほどの事でもない。
ひっそりここに遊びに来ていて、ちょっと遊び過ぎてこんな時間になったこと。
泊まる場所もないから、そろそろ王都から出て行こうとしていたこと語るのだ。

「ふにゃ、いいの?」

そんな中で尋ねられ、差し出された肉まんじゅうにきょとんと目を幼子は丸める。
尚更にお腹が鳴りそうなのを感じながらも、それでも疑問を口にするのも致し方ないだろう。
正直な所、じゅるりと唾液が出て来そうなのだが、流石に少しばかりまだ警戒はあるのだ。

タマモ > 「ほほぅ、なるほどなるほど、気持ちは良く分かるぞ?
遊んでおると、時間を忘れるものじゃからのぅ。
妾も、ちょくちょくとやってしまう。
…泊まる場所なんぞ、どこでも…
いや、あー…そうか…ならば、適当に選ぶが、妾と同じところに泊まるか?」

うん、遊び過ぎて時間が過ぎる、それは良くある。
納得した様子で、うんうん頷くも、続く言葉に、軽く思案する。
種族的なのもあるし、年齢的なのもありそうだ。
ならばと、そんな提案をしてみようか。

「夕食前に軽く、のつもりが、案外腹に溜まりそうでな?
むしろ、食べてくれるとありがたい。
そうそう、ついでに、その宿で夕食もどうじゃろう?
行くならば、どちらも妾は構わんぞ?」

まぁ、少年がどう答えようと、押し付ける気満々か。
ごそごそと肉饅頭を取り出すと、食え、と手渡す。
そして、宿も含めた夕食の話を出し、その答えを待つ…
事はせず、返答が遅れるか、承諾するならば、空いた手を掴み引っ張って行こうとするのだ。

ステイラ > 「うん、きがついたら、ゆうがたになっちゃって。
かえるなら、もういかないとだったから――はにゃ、いっしょに?」

それは思いもよらぬ提案だった様子で、ステイラは驚いたように声をあげる。
まさに渡りに船な話で、目の前の相手なら、甘えてしまっても良いかもしれない。
とはいえ、躊躇いというものはどうしてもでてしまう。
二つ返事で、おねがいしますと言えるほどに、図々しくもなれなくて。

「じゃ、じゃあ…いただくにゃっ」

だから、肉まんじゅうを貰うにもわざわざ一言、今みたいに断りをいれてしまう。
押し付けられたそれを、そういうことならと受け取るのなら、まあいいかなと思えるから。
あむあむと頬張りつつ、隠した尻尾をふりふりと嬉しげに揺らしながら、こくりと一つうなずく。

「にゃぁ!?」

そしてそんな折の最中に――パシッと手を取られて、引っ張られてしまう。
真っ当な返答を返すよりも前に、強行されれば断りようもない。
小さな幼子は、よろめきつつもパタパタと連れられて行ってしまうのだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からステイラさんが去りました。