2023/05/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
ミンティ > 大通りに面する比較的大きな道具屋。目立つところには冒険者向けのものや日常生活で使う品物が並んでいるけれど、それよりもずっと奥まった方。
特定の趣味や職業の人でなければ、そうそう必要とする事もないだろう商品がぎゅうぎゅうと詰めこまれるように並ぶ棚の前に、足を震わせながら精一杯の背伸びをする小さな影一つ。
骨董品の手入れ道具が傷んできたので新品を買いにきたのだけれど、目当ての品物が自分よりも背の高い棚の、一番上の段に並んでいた。そんなわけで先ほどから一生懸命手を伸ばしてみているものの、あとすこしというところで届かない。

「もう…ちょっと……っ」

指先に掠めている感触はあるから諦めきれず、一度踵を地面につけてから、もう一度背伸びをする。ついでに、控えめに、ぴょんっと跳ねてみたりもしたけれど結果は変わらずだった。
踏み台になるようなものがないか周囲を窺ってみたりもするけれど、ちょうどいいものは見当たらない。とはいえ、棚をよじ登るわけにもいかない。
社交的な人なら店員を探して頼んだりしているのだろうけれど、自分の性格では、それも難しかった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にユナさんが現れました。
ユナ >  
 その背後から少女の頭上に腕が伸びる。
 上背も腕長もあり、悠然とそこまで届くのだ。
 裾の揺れるコートの姿は間違っても店員ではない。

「どれ?」

 白い指先が、最上段の棚のあたり、彼女が求める付近を左右になぞった。
 なんとなしの親切。たまたま見かけただけ。放っておく理由もなかった。
 そんな当たり前のような調子。少女の顔はみず、棚のほうばかりに蒼氷の視線が注ぐ。

ミンティ > 考え事をしていたり、なにかに集中していると視野教唆に陥りがちなのは悪い癖だった。とはいえ子どものころからずっとそうだったのだから、簡単に改善できるものでもない。
今回も、あとすこしで届きそうな自分の指先と、最上段の棚に見える商品にばかり視線と意識が集中していたせいで、誰かが近づいてきている気配にすら気がつかず。
視界にとつぜん長い腕が割って入ってきた状態に、びくりと震え上がり。バランスを崩しそうになった身体を、あいた手であわてて棚に掴まり、どうにか支えて。

「…ええ…と、その、一番上の…」

言葉短く問われて、おそるおそる棚の最上段を指差す。そこに並んでいるものはどれも同じ商品だったから、場所を教えるだけでいいだろうと。
邪魔にならないようにと横へ避けながら、そこではじめて相手の姿を確認した。

ユナ >  
「ああ、ごめん。びっくりさせた……?
 野兎のように跳ねていたから、ついついね」

 もう片方の手は彼女の細腰に添えられる。
 棚にしがみついているから大丈夫だろうが、転倒させるつもりはない。
 人間ひとりぶんの体重をものともしない体軸が背後にあって。

「これね」

 ひょい、と片手で陳列されていたもののひとつを手に取る。
 それを見下ろして確かめるのはどこか浮世離れしたふうの女だ。
 その眼が捉えるならば、少なくとも人間でないことは判ろうが。
 彼女には未だ手渡さず、ふうん…?なんて調子で品を検めていた。

「ここの店員が苦手とか?」

ミンティ > 普段から口数の多い方ではないから、声をかけられると、とっさの反応ができず。謝罪の声には、とんでもないと首を振る事で、なにも問題はなかった事を伝えようとした。
浮かせていた踵を下ろしたあとは姿勢を崩す心配もなくなり。反射的に棚を掴んだ手から力を抜きながら、そこでようやく、自分の腰に手を添えられているのに気が付いた。
そんな状態だったから、横に避けたつもりでも、さほど距離は開いておらず。

「……ぁ、…はい、それ…です。ありがとう…ございます」

親切にしてもらったのだから、口下手を言い訳に黙っているわけにもいかない。しっかりと感謝の気持ちを声にして、ぺこりと頭を下げた。
自分と同じ女性なのに、自分では届かなかった場所へ簡単に手を伸ばす事ができた長身を少々羨ましく思ったりもしつつ、取ってもらった品物を受け取ろうと両手を差し出し。

「…?…えと、……いえ。そんな事は…
 こんな事で…わざわざお呼び立てするのも…迷惑かな…って、思って」

商品を渡してもらえず、差し出した手はなんとなく気まずそうにふらふらさせつつ。
意外な問いかけに、きょとんと目を丸くしたあと、あわてて首を振った。そもそも、こんな些細な事で助けを求めようという考えそのものがなかったから、誰かを頼ればよかったのかと、今更になって思いあたって。

ユナ >  
「フフッ。 こういうお店でぴょんぴょんするのは、こんな事、じゃない」

 肩を竦めて、道化めいた。目立っていたよ、と笑う。

「たぶん…それも仕事かなぁ。
 まあ、店によっては、迷惑がるやつもいるね。
 値段が手頃なら文句も言えないか……? 私は親切で、話が弾む店員が好きだけど」

 視線を品からようやく少女に移すと、それを差し出した。
 
「さて、私は君に親切をしたわけだけど。
 これは店員のサービスではないので、さっそくひとつお返しをして欲しい」

 にま、と高い位置で唇が笑んだ。
 無償の親切をする者はそれなりに珍しい。

ミンティ > そんなに何度も跳ねてはいなかったけれど、と言いたい。しかし飛び跳ねていたのも事実なので、たしかに目立ってしまっていたのだろう。
今さらになって自分の状態を客観視させられると、とたんに恥ずかしくなってくる。赤く染まりはじめる頬を隠すように顔を俯けながら、気まずそうに身を縮こまらせて。

「…そういうもの、でしょうか。…あまり…人に、声をかけるのが得意で、なくて。
 だから……あの、本当に、たすかりました。…ありがとうございます」

店員と雑談なんて、よほど通いなれたお店でもないとできそうにない。もしかしたら、それくらいできて普通の事なのか、と考え事に意識が向きそうになる。
それより先に、商品がこちらに差し出されると、はっと我に返った。あわてて、両手でしっかりと受け取って。

「…え…と、お礼…ですか。……あの、手持ちは、あまり…ないのです、けど」

俯き加減になっているせいで、前髪がかかる目元のまま、上目で相手の表情を確認する。
自分にできる事なんてそうそうないから、食事分のお金でも払えば対価としては足りるだろうかと、小首をかしげて考える。

ユナ >  
「可愛らしい娘の歓心は買いたくなる、そういう下心からだ。
 頬に接吻などをくれるとすごく喜ぶし、なんだったらもっと踏み込んでくれても構わないけど。
 場所が場所だからね。これ以上ここに迷惑をかけたくはない」

 腰を抱いていた手を離すと、戯けてみせた。
 とはいえ、まじまじ顔の造作を眺めるあたり、全部が全部冗談でもない。

「んー……?」

 次いだ提案には、首をかしいで顎を撫でる。

「フフフ。確かに私は金がないし、正直困っているし、ありがたいが。
 そういう世話を願うのは金満の令嬢と決めてる。負担にはなりたくなくってね」

 手を伸ばして、棚に並んでいた瓶を手に取る。
 金属を磨くための薬液が満たされたものだ。
 それと、ポケットから取り出した商品の代金を彼女に差し出す。代金ぴったりだ。

「色々あって……本当に色々あってここの店員とは顔を合わせづらい。
 だからー……代わりに買ってきて。ここで待ってるから。
 それで今日の貸し借りはなしにしよう。釣りが出たらとっておいて」

ミンティ > 冗談めかしているようにも聞こえるけれど、あわよくばという気持ちも透けて見えるような物言い。というよりも、意図的に魂胆を伝えてきてくれているのだろう。
顔を覗きこまれると若干身を引いてしまうものの、嫌悪感まではおぼえず。軽口に対して、ぎこちない愛想笑いを返すくらいの社交性を、どうにか発揮して。

「…そんな、大胆な事…できそうに見えますか。
 ……はい。ここ、よく使うお店なので…迷惑をかけたくないのは、同じ…です」

いきなり人に飛びついていけるような性格でないのは、明るい髪色に反し、いかにも陰気そうなふるまいからも伝わっているだろう。
今度はこちらが冗談めかしながら、そう伝え。
お店の迷惑になるような事は控えるべきだと応じる時には、一転して生真面目な顔で、こくこくと頷き。

「…ええ、と、今なら一応…ほんの少しくらいなら…、……?」

たしかに裕福ではないけれど、一食分くらいなら、と食い下がろうとした時。
自分が求めていたものとは別の商品と、お金を差し出され。また、きょと、と目を丸くしたあと。
なにがあったのかはわからないものの、事情は察して。

「…わかりました。では…いってきます。外で、すこし待っていてください」

相手の分の商品を受け取ると、任された、と口を引き結び真剣な表情。実際にはそこまで責任感を出す必要もない場面なのだけれど。
ぱたぱたと足音軽く店員のもとへと向かい、並ぶ商品棚の向こうに姿を消した。

それから数分と経たないうちには店を出てきて、買った品物を渡そうとするだろう。あとには、まだ人出の多い大通りを、ふらふらと危なっかしい足取りで帰っていくはずで…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からユナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にネイハムさんが現れました。
ネイハム > 平民地区の人で混雑したギルドに併設された酒場内。
依頼を終えた冒険者やこれから出発するもの、依頼にあぶれた者だけでなく一般の客もいるので人の数は凄く。
そんな店内でカウンター席に陣取り、少し豪華なつまみとエールを味わいながら酒場内を眺める。

「仕事後の酒はやっぱうまいわ。これでデザートでもあれば最高なんだよな」

見た目こそそれなりに良い少女ではあるが言葉使いは男のそれ。
乱暴に見えるも最低限の品とマナーを守って酒を楽しむ姿は冒険者としてはよくある光景。
ただ酒場内を見回す視線はただその光景を楽しむだけではなく、何かを探し狙うような色も持ち。

そんな風に酒場内を眺めてはその光景を魚としているように見せてエールを飲み進めていく。

ネイハム > しかしお目にかかるのが居なかったのか、飲み終えれば代金を支払い戻っていく
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からネイハムさんが去りました。