2023/05/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にインビジブルさんが現れました。
■インビジブル >
平民地区のとある路地。そこで最近騒動が起きている。
曰く、霧に飲み込まれた人が帰ってこないとか。霧の中で正体不明の魔物に襲われたとか。
「お姉ちゃん性格わるーい」
元気そうな声がする。
「ホントにねぇ」
ウフフと笑う優しい声がする。
「……効率考えただけ」
冷静な声がする。
あえて今回は一部の人を逃がしていた。その為噂が広まり怖いもの見たさだったり調査だったりで多くの人が来る。
まぁあんまり強いのが来たら面倒なのでそろそろ狩場を変えるかとか考えているわけだが。
しかしまだ狩は続く。その噂の路地には今日も深い霧が立ち込めていた。
■インビジブル >
そうしてしばらく待っている。
新たな獲物がかかるのはいつのことか。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からインビジブルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にサウロさんが現れました。
■サウロ > (平民地区の路地裏を歩く、似た服装の青年が二人。
騎士風鎧を着用した剣盾を持つ金髪碧眼の青年と、軽装に腰に細剣を持つ黒髪の青年。
白生地のジャケットに黒インナー、ベルトやズボンにブーツというのは同組織だと分かる。
自由騎士────国や都市に属することのない国境なき騎士団を称した集団。
サウロ達が所属する隊は、王都を拠点に活動している為、
憲兵が回らなさそうな、何かと犯罪が起きやすい路地裏などを巡回するようにしている。
「腹減ったなぁ」と、黒髪の青年がぼやく。
魔力で隠しているが、彼は猫ミレー族の魔法剣士だ。
サウロよりまだ若く、自由気ままに動く節があるので、生真面目なサウロがバディとなることが多い。
集団で活動する以外には、こうして一緒に見回りをする。)
「昼食の時にサンドイッチを買ってなかったか?」
(サウロが尋ねると、黒髪の彼は「もう食べちまった」としょんぼりした顔で答えた。
いつの間に、と呆れながらも、それなら後はこの任務が終わるまでおあずけだ。
青空と太陽。日差しは高く降り注いでいるが、路地裏は建物も高く、日差しが陰りやすい。
治安がいいとは言い切れない場所だ。警戒するようにと伝えながら、歩を進めて行く。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にナナカマドさんが現れました。
■ナナカマド > 穏やかな晴天と陽気とは裏腹に、路地裏は陰りも多く白昼堂々、不埒なことをするにはもってこいでもある。
自由騎士の二人が、さらに路地裏を警戒して歩いていくと、先の方から
「は、離してください!」
という、悲痛な叫びが聞こえるだろう。
二人がもし駆けつけるなら、叫び声のもとには
どうやら酔っ払っているらしい赤ら顔の中年男性が一人、
少女か少年か判然としない、小柄な長耳の子供を捕まえてさらに暗がりへと連れ込もうとしている最中である。
周囲の家々は厄介事に巻き込まれたくはないのか、助けに入る様子はない。
二人の姿を目にすれば、半べそをかいたエルフの子供がすがるように
「どうか、お助けください!この人、酔っていて……!」
と、助けを求めるだろう。
■サウロ > (先にその嫌がるような"声"を聴いたのは、今は不透明に隠した猫耳を動かした黒髪のミレー族の方だ。
ほどなくサウロにも聞こえただろう。視線を合わせてすぐ、先導するサウロとその背を追う青年。
駆けつけた先には、小柄な子供にも見えるエルフを連れ込もうとする酔っ払いの姿だ。
この街ではよく見かける光景であり、そして憲兵でさえよく見逃す光景だ。
すがるように助けを求める声を、自由騎士は聞き捨てることはしない。)
「ジャミル、水だ」
『酔い覚ましにキくいい奴な!』
(息の合った呼吸を見せて、剣はまだ抜剣しないままサウロは大盾だけを構えて前に出る。
その後ろで剣を柄を逆手に持ち、杖のような持ち方で触媒にするミレー族の青年が二言、三言詠唱する。
────程なく、此方を見て喚き出した中年男に、サウロが告げる。)
「その子を離してください。──話は酔いがさめてからしましょう」
(次の瞬間には、男の頭上に水球が浮かび、バケツをひっくり返したような流水が男の頭から注がれる。
一瞬でびしょ濡れの状態になった男だが、傍にいた少年には何の影響もなく、それが魔法であることも知れる筈だ。
武装した騎士風の二人を見て男がどういう行動に出るか、警戒しながらサウロが少年に「此方へ」と、
自分たちの方へ退避してくるように促した。)
■ナナカマド > この都市の憲兵であれば、ただの酔っ払いがいい思いをするだけのことに
いちいち目くじらを立てて、追求したり、まして異種族の子供を助けようとまではするまい。
だが若き二人の自由騎士はさっそうと現場に現れては、この酔っぱらいのならず者と子供の間に割って入った。
ミレー族の青年が唱えた魔術によって、男の頭上から大量の水がぶちまけられる。
だがそれほどの水量であっても、傍らの少年には水滴一粒さえかからず、絶妙な魔術的コントロールがされているのがわかるだろう。
水をぶっかけられた男は目を白黒させていたが、自分と子供の間に割って入る騎士風の美丈夫に冷静に声をかけられると
逆にこちらは怒りをあらわにして、何事かを喚き立てる。
曰く『俺が先に目をつけていたんだ!』『兄ちゃん達もそいつが目当てなんだろう?』などと、
難癖ともつかぬ戯言を喚き散らす。
その間に子供はそっと男の手から逃れると、サウロの後ろに匿われるようにして身を縮めた。
普段であれば騎士風の二人組の男に喧嘩を売ることなく、捨て台詞だけ吐いて撤退するだろう男も、
酔った頭では冷静さを欠いていているらしい。
ふらふらの足取りでニヤリと笑うと、サウロの顔を殴りつけようと右拳を突き出して殴りかかる。
■サウロ > 「目当て? 年端も行かない子供に対していい大人が何を言ってるんですか?」
(割って入り、酔い覚ましの水流を喰らってもまだ酔いが抜けることなく、
顔を真っ赤にして激怒する男に、サウロは一体何を言っているのかと真面目に問い返した。
避難してきた少年の顔を見たミレー族の青年が、こりゃ確かに上玉、なんて呟く。
少年とも少女とも見て取れる美しい顔立ちはエルフ特有の血でもあるのだろうか。
「何歳?」と暢気に少年に尋ねていたりする。
一応、エルフは見た目と年齢がイコールではないので確認だ。)
「……暴力は話し合いではありませんよ」
(一方、殴りかかってきた男の拳を、サウロは盾を少し上にあげることで防いだ。
盾は……盾である。外からの攻撃を防ぎ守るためにある。
右拳、ということは、向かい合うサウロの左頬を殴ろうとしたのだろう。
そしてサウロの盾は左手にある。
つまり、鉄製の盾に思い切り拳を打ち付けた男は、当然の痛みが返ってくるはずだ。)
■ナナカマド > 真っ当な言葉を告げるサウロの冷静な行いにますます男はテンションを沸騰させる。
その裏で、ミレー族の青年が年齢について問いかけると、小さな声でナナカマドは
「わ、わたくし、一応エルフの里で成人はしております…!」
と抗弁するように言うけれど、どう見ても普通の人間種族からみればまだまだ幼く見える。
ガツン!と激しくものがぶつかる音が路地裏に響く。
鉄製の盾と、酔っぱらいの男の拳がぶつかりあった音だ。
盾を少し上げただけで、男の力量と攻撃を見きったサウロに対し、
男の拳は骨まで染み入るような殴打の痛みを抱えることになる。
じん、としびれるような防がれた攻撃の反動が、男の体を貫くと
ようやっと男は分が悪いと悟ったのか、じり、と後退しては『覚えてやがれ!』と捨て台詞を吐いて
右拳をかばいながらほうほうの体で路地裏から逃げ去ってしまった。
男の姿が見えなくなった頃、エルフの子供はホッとした様子で二人の後ろから出てきて、
丁寧に深々とお辞儀をして礼を述べた。
「危ないところを助けていただき、ありがとうございました……!
えっと……、騎士様……がた……?」
二人の服装をしげしげと眺めてみる。
けれど王国の騎士にしては装備が比較的揃っておらず、色合いも違う。
ましてやこのような場所に憲兵は寄り付かないはずなので、
偶然に合わせた二人組に対してナナカマドははて?と首を傾げた。
■サウロ > (エルフで成人、ということはまだまだ若いんだろうなぁとミレー族の青年は思う。
そうこうしている間にも、サウロの盾を殴った男は分の悪さを悟ったか、
拳をかばいながら路地裏から逃げ去っていく姿にサウロが盾を降ろして、あっ、という顔をした。)
「待て、話はまだ……!」
(止めようとしたがすでに遅く、男の後ろ姿は見えなくなっていた。
ミレー族の青年が「いいじゃん別に、助けたし」と、少年が無事であったことを伝えれば、
サウロもまた盾を背に戻しながら渋々と言った様子で頷いた。
そして二人の視線は、出てきてから深々と頭を下げる少年へと向けられる。)
「いえ、君が無事でよかった。
僕たちは【自由騎士】の一員だよ。僕はサウロ、こちらはジャミル」
(黒髪のミレー族も軽く手をあげて、気さくに「よろしく」と言う。
装備が違う理由も、理解できるだろう。
とは言え、公にはなっていない私的組織団体だ。もし自由騎士を知らなくても不思議ではない。
それより、とサウロは周囲を軽く見渡した。)
「ここは治安が悪い。よければ表通りまで送るけれど、何か用事があったのかな?」
■ナナカマド > 「じゆう、きし……?まぁ、では本当に騎士様なのですね。
サウロ様とジャミル様。わたくしは、ナナカマドと申します」
あいにくと世間知らずのエルフは【自由騎士】という団体を知らなかったが、
騎士、という言葉にはひときわ強く理解したようで、微笑んだ。
それこそおとぎ話に出るような悪を正し弱気を助ける正義の騎士、といった様子の二人組みに
心から感心し、同時に感銘を受けたような眼差しを向ける。
サウロから表通りまで送ると申し出られると、あ、と口を開けてナナカマドはこれまでの経緯を話し始めた。
「そ、そうでした。わたくし、冒険者ギルドの依頼で、この裏通りまでお薬を届けに来たのでした。
お薬の必要なお家までは無事届けられましたが、帰りにあのおじ様に連れ込まれそうになって……。
お恥ずかしい限りです……、用事は済みましたのに危ない目にあうなんて。
そのう……、あの騒動で表通りまでの道を忘れてしまって……。
よろしければ、連れて行ってくださいませんか?」
方向音痴を自ら白状するようで、とても恥ずかしい思いをするのだが
無事に冒険者ギルドまで戻るためには仕方ないと、騎士たちに助けを求める。
■サウロ > (ナナカマド、と名乗った少年が大きな瞳をひと際輝かせるように見つめてくることに、
ジャミルは照れ臭そうに笑いつつ、サウロは嬉しそうに柔らかく微笑んだ。
改めて事情を聞けば、どうやら冒険者らしい。
巫女風のローブに杖といった風体から神殿に属する者かと思ったが、どうやらそうでもないようで。
そして表通りまで連れて行ってほしいと言われれば、二人は頷いて見せた。)
「勿論、こちらから提案したことだからね。君は冒険者なのかい?」
(このような裏通りを一人で入る勇気はあれど、絡んでくる相手をいなすような力量があるわけでもなさそうで。
ジャミルが「でもあと数百年もしたらこの子も……」と言いかけて、サウロに脇腹を小突かれた。
どうかしたのかと尋ねられることがあれば、なんでもない、と誤魔化しただろう。
──あまり広さがある路地でもないので、ジャミルが先導し、サウロがナナカマドの隣に立つ形になる。)
「人通りのある表通りまでそう遠くはない。
そのまま冒険者ギルドへ戻るのなら、ギルドの名前も聞いていいかな? 場所もわかる筈だ」
■ナナカマド > ジャミルを先頭に、サウロと並んで路地を進む。
冒険者なのか、と尋ねられると肯定して頷いた。
「はい。本来はエルフの里で巫女としてのおつとめを果たすのですが、
ナナは……、わたくしは長から修行の旅に出されましたので
こうして冒険者として、いろいろな見聞を広めている最中です」
ジャミルが何かを言いかけ、サウロにこづかれるのを不思議そうに眺めながら
嘘偽りなく、今の自身の置かれた経緯について語る。
とはいえ、冒険者としては青二才もいいところだろう、
駆け出しよりもまだ青く、こなせる依頼もそれほど多くないのは見てわかる通り。
ナナカマド自身は頑張っている様子だが、どうにも危うさがあるのは気の所為ではないだろう。
「ギルドの名前、ですか?【風そよぐ七草】亭です。他にも有名なギルドはありますが
わたくしが受けられる依頼はそのギルドくらいだろうっておっしゃられたので……。」
【風そよぐ七草】亭、ならば表通りからそれほど遠くない場所にある酒場兼ギルドである。
初心者向けの依頼を特に豊富に取り扱うので駆け出しには向いているが熟練者には物足りない。
七草が彫られたレリーフが看板として出されているので有名である。
■サウロ > 「なるほど……里ごとに様々な風習があると聞いた事はあるけれど、立派だね」
(エルフの里については、訪れたことがないので知る由もないのだが、
仲間から何度か話のタネに聞いた事はある。
とは言え、このような街で一人で活動するのは危険ではないかとも思う。
年端も行かない子供のように小柄で、純真な様子、エルフという見目の良さから、
先ほどの男のようなならず者にも絡まれるのであれば、危ういと心配にもなる。
薄々察せられるかもしれないが、サウロはいたって真剣に、ナナカマドを子供扱いしていた。)
「【風そよぐ七草】なら、そう遠くはない。大丈夫、安全に戻れるよ」
(迷うことなく戻れるはずだと安心させるように微笑むサウロと、
二人の話を聞いているジャミルが「初心者ギルドかぁ~…」と納得の呟きを零していた。
入り組んだ建物の合間を通り、壁の上を歩く猫が鳴く。
王都内に流れる用水路にかかる橋を越えて、外に干した洗濯物が風になびいている。
そんな景色を三人で越えていけば、やがて賑やかな喧騒が聞こえてくるだろう。
まだ明るい時間だ、僅かに傾いた日差しが行き交う往来の人々や道を照らし、
彼にとっても見覚えのある風景があるかもしれない。
ジャミルが「あっち」と指さした方に、ナナカマドの知るギルドがある筈だ。)
「ここまでくれば大丈夫かな?」
■ナナカマド > 「立派だなんて……!ナナは……まだまだです……!
先程だって助けていただかなければ、どんな目にあっていたか……」
サウロに真面目に褒められてしまうと恐縮したように縮こまって赤くなる。
子供扱いされるのは、慣れていると言えば慣れているのだが
サウロのように物語の王子様のように見目が麗しく、礼儀正しい男性にそのように扱われるのは
また、違った意味で緊張するしなんだかドキドキしてしまう。
うまく言葉が紡げずにもじもじと杖をいじりながら、サウロが微笑むのに「はい」とやっとこ頷いて
ジャミルが場所を覚えていたことも幸いして、のんびりと【風そよぐ七草】亭には到着するだろう。
先程の薄暗くジメジメとした路地とは裏腹に表通りはまだ日がさしていることもあって
賑やかな喧騒と活気があった。
見慣れた看板が遠目に見えてくれば、いくらナナカマドでも迷うことは無いだろう。
「はい!大丈夫です!
……案内までしていただいたのに、大したお礼もできずじまいで
本当にごめんなさい……」
見慣れたギルドが見えてきたこともあって、ぱぁと顔を明るくするも、すぐに元気なくしおしおとしおれてしまう。
自分に返せるものといえば少ない報酬金とか、ちょっとした怪我病気などを治すぐらいであり
それらは手練の彼らにはそう必要があることとも思えない。
「で、でも、なにかお困りの際は、このギルドを通してナナカマドまで言伝ていただければ
些細な力添えではありますが、ぜひ、お礼も含めて頑張らせていただきます!」
むん、と意気込むのだけは一丁前でそう二人に語る。
■サウロ > (謙虚な言葉でありながら、白い頬を赤くして照れてしまうナナカマドに、
サウロは愛らしい子供へ向ける特有の微笑ましさから双眸を細めて微笑んでいた。
こんな可愛い子を路地の奥へ連れ込んで無体を働こうとしていたと思うと、
やはりこの国は根本的に、危険が多いのだと実感する。
国の憲兵や正規軍による治安維持が、富裕層や見える場所でしか行われていないのも問題か。
考え込んでいる内に出た大通りで、ここからでも一人で戻れるとなればここでお別れだ。)
「気にしないでいいよ。僕ら自由騎士の信条は、困っている人を助けることだ」
『見返りなんて要求しねえからさ』
(サウロ、ジャミルもそのように告げて、揃って胸に拳を添える騎士の敬礼をする。
喜怒哀楽といった表情豊かなナナカマドの意気込みを聞いて、二人が視線を合わせれば小さく笑い。
特別に何を頼むわけでもないが、いつかナナカマドに頼る時が来る時もあるかもしれない。)
「では、友誼を結ぼう。また会えたら、美味しいお店で一緒にご飯でも食べよう」
(食事はサウロもジャミルも好む所。
いいお店を知っているなら教えて欲しいとささやかなお願いを一つして、
サウロとジャミルが拳を出して寄せる。受け入れてくれるなら、拳で応えてくれると嬉しい。)
■ナナカマド > 気にしないでいい、だなんて最後の最後まで恩を着せるでもなく、なんてことがない様子で
返す若き騎士たちに、ナナカマドは言葉に甘えつつも申し訳無さそうにうなだれた。
けれどそれから続く、サウロの友誼を結ぼうという言葉に顔を上げてキョトンとする。
「友誼……そ、それはその、サウロ様とジャミル様と、わたくし、お友達……になれるということですか?
そ、それは恐れ多いというか、ああ、でも、とても魅力的で嬉しいお誘いですっ……!」
慌てて両頬を赤らめてそれを隠すように両手で押さえるも、
二人が気さくに拳を寄せて差し出してくるのなら、慣れない風習ゆえ
おずおずと同じように拳を突き出してこつんと二人のそれに寄せる。
「こ、これでいいのでしょうか……?」
不思議そうにまじまじと己の握った拳を見つめて、ナナカマドは照れくさそうに微笑んだ。
■サウロ > (二人の青年に比べれば小さな拳だが、それがぶつかれば、合っているとサウロが頷いた。
リンゴのように頬を赤らめて嬉しそうにする小柄な少年の可愛い姿に笑みを浮かべながら、
三人の拳がぶつかりあった後に、ジャミルはにっと快活などこか野性的に笑い。)
『よーしナナ、俺達友人になったんだし、様付けとか堅苦しい敬称もなしな!』
「無理強いはしないが、対等に接してくれると嬉しいよ」
(そんな風に言う二人はすでによそよそしさもなく、気さくな様子でナナカマドを見下ろしている。
どういう呼び方にするのもナナカマドの意思を優先させるし、様を付けても縁切りなどするつもりもない。
こうして新たな縁が結ばれれば、また再会した時には先ほどの言葉通り、気さくに声を掛け合うこともあるだろう。)
「それじゃあ、僕らはそろそろ戻るよ。気を付けて……またね、ナナ」
(ナナカマド自身が自分のことをそう呼んでいたことと、ジャミルにつられて、
愛称で呼ぶことに不慣れなサウロも彼のことをそう呼んで。
他に何もなければ、手を振ってナナカマドがギルドに戻る後姿を見つつ、来た道を戻っていくだろう。
道中、どちらからともなく「しかし…」と呟き、
あのエルフの子の性別はどっちなんだろうと、結局容姿だけで判断できなかった
二人の騎士が真剣に話し合っていたかもしれない──。)
■ナナカマド > 敬称は不要とまで言われると、ナナカマドとしては再度慌ててしまう。
見た目としては年上の、それも恩人の二人に敬称抜きというのは流石に失礼ではないかと思うものの、
それを二人が望むのならば、と頷いて
「わかりました、サウロさん、ジャミルさん!」
と気さくに応じるだろう。
自分をナナ、と愛称で呼ぶのも相まって二人に対するぎこちなさは無くなり、
打ち解けられたような気がした。
「本当にお世話になりました。ありがとうございました!」
最後にきちんと挨拶とお辞儀をしてから、きちんとギルドに戻る後ろ姿に、
二人から手を振られれば、こちらも二人の姿が見えなくなるまで手を振り返す。
自分の性別を議論し合う騎士たちのことなど知る由もなく、
ナナカマドは今日あった出来事を、ギルドマスターに依頼の報告とともに語って聞かせたであろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からナナカマドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からサウロさんが去りました。