2023/02/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 王都マグメール、平民地区のどこかにある、広場の一つ。
大通りから、そう離れていない場所だからか、耳を澄ませずとも、喧騒が少し聞こえてくる感じか。
人通りは…まぁ、場所が場所だけに疎らか。
そんな広場の片隅に、設置されたベンチの一つ。
少し物陰っぽくなっており、目立たないその場所に、少女の姿はあった。
傍らに置かれているのは、幾つもの紙袋。
そこからは、何種類かの芳ばしい香りが漂っているだろう。
言うまでもない、大通りの露店で購入した食べ物である。
焼いた肉を刺した串とか、揚げられた何かとか、パンに果実、後は手に持ったジュース、そんな感じだ。
やはり、散歩には美味しいものが付きもの。
何も起こらなさそうな日には、こうして食べて誤魔化すに限る。
…傍らに、隠すように置かれた釣竿。
そんなものも、なぜか見えるのだが、それが何かはまだ秘密だ。
■タマモ > 「いやはや、今日も今日とて、それなりに…じゃろうか?
やはり、打って出るのが一番じゃのぅ」
ちらり、視線を傍らの釣竿に。
その視線を、すぐに紙袋へと戻せば、ずぼっ、と内一つに手を突っ込んだ。
もぞもぞと漁り、取り出されたのは、肉汁滴る揚げ物だった。
どうやら、何かの肉を揚げたものだったらしい。
あむ、と一口、もぐもぐと味わって食べれば…うん、なかなかに美味。
ずず、とジュースを飲んで喉を潤わせ、残りを口に放り込む。
温かな料理は、この肌寒い時期には、ちょうど良い。
■タマモ > 複数の紙袋、それぞれに、購入した料理が入っている訳だが。
小食の少女が、これらすべてを平らげられるのか?
…まぁ、少女を知る者が見れば、そう思える。
が、実のところ、一つずつしか入っていないのだ。
後はあれだ、大きなのは選んでいない。
当たり前だ、いくら美味しい料理が好きとは言え、己の限界は知っている。
それを超える量は無駄と、分かってれば、控えておくのは当然なのだ。
満足いくまで、美味しいものを食べられるのか、と。
そうした考えで言えば、ちと微妙な訳だが、仕方なし。
と、そんな調子で、串焼きを食べ終え、次にパン、最後のデザートと食べていき。
残ったジュースで流し込み、はふ、と一息。
実に量的には少なめに見えたかもしれないが、少女からすれば満足。
食休み、とベンチの背凭れに凭れ掛り、寛ぎつつも。
傍らの釣竿に手を伸ばし、はし、と掴む。
ぐい、と引き寄せてみれば、その先に付いているものは…
ぱっと見では、そこには、何も見えてはいない。
が、確かに、釣り糸に括られた何かが、そこにあるのだ。
これは何なのだ?と問われれば、まぁ、視覚の阻害を込めた、こんにゃく。
結局は、いつもの悪戯道具であった。
■タマモ > 「さぁて、帰り掛けにでも、軽く遊んで行くかのぅ」
手にした釣竿、ゆらゆらと、軽く揺らせば、吊るしたこんにゃくも揺れる。
驚かすのに定番のアイテムだが、目に見えなければ、その効果は更に増加…と思う。
呟きと共に、ふっ、とどこか勝利を確信した笑みを浮かべれば。
よいせ、とベンチから立ち上がる。
残ったゴミは、片手でわしゃわしゃと握っていき、段々と小さく、小さく…と、したところで。
ぽんっ、と消してしまい。
そのまま、広場を後にして、どこぞにふらりと向かって行った。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > 昼の王都マグメール。昼時の平民地区には多くの店が連なっている。そしてその中には無論において人間達の三大本能の一つである食欲を満たす為の飲食店もまた揃い踏みになっていた。現在は丁度昼食時であり、人気の店を筆頭にしてそれなりに客入りも悪くない、店としてはかきいれ時の時刻だろう。
その中、若干人の通行が乏しき交通の便の宜しく無い一角において或る異変が起きている。全く客が入っていないのに、何となく続いている店、そんな店をきっと見た事があると思う。いかにも寂れ切っており、店構えも古めかしく一切整備の手を広げていない。余り美味しいものを食べさせるようには到底に見えない店内からくゆる湯気と共に芳しい香りが立ち昇り続けている。
「………」
店員すらも見受けられない店のキッチンでは窯に火をかけ続けていた。その魔女の窯と見紛うばかりの大釜の中で煮え立っているのはあたかもコールタールのような黒いうねり。そして今も匂い立っている『美味しそうな匂い』の根源たるや他でもない見目においては食欲の欠片も湧きそうもないその怪物であった。
熱を加えて自らの放つフェロモンのような様々な誘発物質を揮発させ、こうして誰かをおびき寄せようという魂胆であるのだ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からドラゴン・ジーンさんが去りました。