2022/12/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアッシュさんが現れました。
■アッシュ > 平民地区のはずれ、少し行けば貧民地区も近いような場所、ごちゃごちゃと建物が密集する一区画。
とある二階建ての建物の、外側から直接二階へ上がれるようになっている階段を上から降りてくる。その一番下へ腰掛けて、男が独りパラパラと書類をめくり始めた。
「いやぁ、気づけばこんな時間か。ま、そういうもんだ」
立ち並ぶ建物の隙間から見えた月の位置で、今の時間は概ねわかる。深夜も深夜、あと暫くすればむしろ新しく日が登ってくるような頃合いだ。
建物の二階は自分の事務所なのだが。ずっと何か作業でもしていたのか、気分転換に少し外の空気を吸いに出て、しかし手持ち無沙汰なのもと軽く目を通す途中の書類は持って出てきて。
階段に座り込んでいても、自身に用事が無ければその階段を通る者は居ないし、道行く者も、何を急ぐのか足早に通り過ぎるような者たちを稀に見かける程度だ。
不審がられようとも自分の事務所……兼、家の前で座っていて文句を言われる筋合いもなし。
■アッシュ > 「ふむ。思ったより……整理が大変だな、これは」
依頼をこなす為に資料を漁ってもいたのだが、いかんせんモノが古い。
時系列に組み替えるのも大変だし、同じ項目が複数重複しているのを取捨選択していくのも面倒だ。
そもそもの量が多いと、どれが必要でどれが不要かと判断していくのが大変で、ついどれもが必要な気がしてきて本当に必要な部分が埋もれがちになってしまう。
「うんむ。優秀な助手でも欲しくなる所だが――ま、そう思う度に、そういうわけにもいかんのだって所も思い出すんだよなぁ。いやはや、おじさんは孤独だよ」
単純に探偵事務所助手、なら居ても良い気は時折するのだが、自身が実の所は探偵だけをしているわけではなかったから、その方向で折角助手が出来ても色んな意味で安全を保ってあげられないだろう、と思うに至る。
やはり孤独が似合うのだ。寂しくなることはあるが。
■アッシュ > 暫し、書類と格闘し続けた後。
ある程度見切りがついたようで、ため息ひとつ漏らしてから立ち上がる。
「さぁて、遅い夕飯にでもするか……いやもうある意味朝食か?」
やることの区切りがついたら、なんだか空腹を感じるような気もしてきて。
食料は何があったっけな、と考えをそっちへ向けつつ、階段を上がって戻って行った。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアッシュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 道具屋」にムツキさんが現れました。
■ムツキ > 【待ち合わせ待機中】
ご案内:「王都マグメール 平民地区 道具屋」にレキ・キドーさんが現れました。
■ムツキ > 知る人ぞ知る的な道具屋を表で営んでいる、平民地区の一軒家。
実際に冒険用の道具や、薬草、ポーション等や、魔道具も簡単な物なら売っており、店番は数人の人間が交代なのか日によって違って。
そんな道具屋の奥、無断立ち入り禁止の札が掛かった一室、案内が無い限り入室禁止の部屋。
合言葉を告げるとその部屋の中へ案内される、部屋の中には奥への扉に、机と椅子が4脚、左側には棚があり、其処に幾つかの箱。
右側は縦長の長櫃が幾つか並べられていて、今くぐった入り口と奥の扉以外では、天井間近にある空気取りの窓だけが開口部らしい。
そんな中、ランプの明かりの下で、一人の青年が左の棚に置かれた小箱からだしたのか、指輪を確認しながら、入って来た相手を見て、少し驚いたような気配を見せる。
何かを確認するような視線を送りながら、指輪を鍵の付いた小箱へ戻して。
「いらっしゃい、此処を紹介されたって事は、呪いとかの関係で何か調べてるのかな?」
王都にきて呪物の情報などを集めていて聞いた、情報屋の中ではかなり呪いなどに詳しい相手が、目の前にいる青年らしい。
此処に張入る為の合言葉も、青年の事を尋ねたときに売られたもので、その情報含めて確かだったらしい。
根拠としては、部屋に張られている結界が、無理にはいれば一寸した不運を受ける呪いがかかった物であった事、当然扉も開かない。
そして、目の前でいじっていた指輪にも呪いの気配が感じられた事、結界か何かで抑えているのか、感じたのは弱めだったが、呪物なのは確かに感じられた。
それらに気づければ、ある程度以上は呪術などに詳しそうだと、結界等を使える点から実際に使う事もできそうだと思えるだろう。
「んー、しかし…そちらさん、俺と合うの初めてか、なんか前にあったような気がするんだけど。
あ、ナンパ目的の台詞じゃないぞ…ともあれ、名前を教えてもらってもいいか、偽名でも構わないけど、呼び名が無いと不便だし」
入って来た相手に、そう声を掛けると、部屋の中にあった椅子に座る事を勧めて。
自分は反対側の椅子へ腰を降ろす。
■レキ・キドー > 現在進行形で世に生み出され続ける、宿敵の枝葉たる呪物を個人で闇雲に探し続けるのは無理がある。
情報屋は懇意にしていきたい職業だけど、
求める呪物と同質の呪いによって形作られている『魔人』といった身では、関われる相手は限られた。
この国にあってそんな事は気にかけなくても良い事かもしれないが。
孤立無援。 我こそ最後という戦いで、おまけに時間の制約から解き放たれているような節があると、慎重にもなれる。
今日訪ねる情報屋を紹介してもらえたのは偶然だ。
持ちつ持たれつの仕事仲間にちょっと信頼される事をして、紹介しても間違いの無い客として、
一見では入手できない合言葉と一緒に渡りをつけてくれた… と思っていたが、どうもそこまで話は通っていないらしい。
対面した情報屋という男の口振りからそう察して、アイツ大丈夫かなと、
仕事仲間の信頼に差し障りがありやしないかと眉根を寄せた。
ちなみに私の信頼は少し損ねている。
レキちゃんだから教えてあげんのよと恩着せがましくした上できっちり謝礼まで取ったくせに、
無断で合言葉を教えただけかと。 いや、それが許される感じなのかもしれないけれど。
「――ああ、特定の神さんがせっせとこさえて回ってる呪物を潰したい。」
胸中の些事もろもろは口にせず、相手が気にしない素振りで尋ねてくれるならビジネスライクに用件を切り出そう。
「あなたはそういう探し物を得意にしていると…」
見た目と中身が一致しない事などままある界隈で、自分もその一例だけど、
情報屋だという男の風貌には、若いな、と思ってしまう。
そうしてしげしげ見つめていたら、そう、相手が切り出したように何か見覚えが。
「……あ。オマエ。」
獲物の太刀は案内にでも預けているだろうか。
だとしても、シェンヤン的な東国の民族衣装は、相手がこちらを思い出す助けになるだろう。
黒一色の袴着はかつて故郷で巫女の護衛役として務めていた頃と変わらないスタイル。
彼とはその頃に会っている。
彼の一派は人類に敵対的でなく、明確に害となる種でもなく、境界線を引いて棲み分けがなされているような関係だったか。
あるいは棲み分けまで至っていなくても、
幼いころの彼が巫女候補達を覗きに来ていたのは、こちらにとっては近過ぎる行為だった。
今にして思えば目くじら立てる事でもなかったのかもしれないと思うけど。
あの頃の私は真面目な神職で、よくコイツを追い回したものだ。
『敵』とまだそう相まみえる事のなかった子供の頃。
いつしか鬼ごっこが楽しくなっていたのを、今なら素直に認められる。
楽しむ、と言うには、いささか捕まった場合の仕打ちが暴力的に過ぎた可能性も否めないが。
「軌道、礫。
ここで事を構える気はないよ。
オマエだって知らないで来た。」
母国のイントネーションで名を名乗り、名乗った事あったかなと思うが、名乗りくらいあげていたか。
この異国で子供の頃のような振る舞いをするつもりは無いと言って、
変わり果てた我が身を思い、店内眺めるふりして目をそらす。
隠ぺいというか封印というか制御というか、抑え込まれているが、ここに立っているのはもう落第巫女などではなく。
他者の魂を糧として収蔵し人外の力を振るう、呪物のような何かに転換された元人間だ。
■ムツキ > 「礫…軌道 礫…って、あの暴力巫女かっ?!」
名乗られて、口の中でその名前を繰り返し。
次に出たのは驚きの響きを持った言葉、もう一度相手の少女を見直して。
その服装、体格、顔かたちをじっと見つめた後で。
「確かに、そうみたいだな…気配がなんか違ったし、気のせいかと思ったけど。
うん、相変わらず、”無い”んだな」
嘗て巫女候補を覗きに行き、少女に追い回されながら放っていた言葉。
巫女候補に比べて、薄い胸を指しての軽口、何度も捕まり、殴られたりしながら反撃の様に告げ。
その分打撃が増えたのは言うまでもなく。
「まぁ、そんじゃレキでいいな…こっちも仕事だからな、昔の事で今更とやかくはいわないだけの分別はあるよ。
そういや、きちんと名乗って無かったか…六月だ、正確な名前は、俺の場合は呪に関連付けてるから、簡便してくれ」
此方も東方風の発言で返し、きちんとした名前は知られるのはまずいからと、謝って。
そうしてから、先ほどの言葉を思い出す。
特定の神が作っている呪物、呪物自体は強い思いを持ったまま死んだ時に、偶然出来る物もあるし。
特定の誰かが作り、使っている物もある、呪術を使う人間なら、まじないレベルの物なら反動を抑えるなり、反らすなりで幸運を引き寄せるお守りなどと言って作る事もあるが。
ちなみに、幸運にはなるが、その分近くの人間が不幸になったりするので、嘘ではないが事実は言ってない、そんな売り物の一個。
そして、本気で使うなら、反動をある程度受ける覚悟で高値で作る品などもあり、その反動で術者が死んだ時にに、使っていた道具が呪物になる事も多い。
それら以外に遺跡から発掘される物や、魔王クラスが作る物など様々だが。
神が作っているとなると、そこら辺とは別物、上は持っているだけで祟りでも受けているのかと思えるほどの不幸を受け。
下でも、行動制限を受けたり、何かしらの五感を奪われたりで、碌なものではない。
「呪物関連は、情報も品もかなり扱ってる方だな…ちなみに、その神ってのは、つかさどる系統とか、シンボルとか判るか?
此処じゃなくてもっと強い結界の場所の方みてみるから…呪術使えるなら、そっちに案内しても良いけど…一応別料金貰うぞ」
この部屋の棚にある小箱や、長櫃に入っている物もたいがいが呪物であり、一番強く結界を張ってある部屋の上である此処に置かれている。
此処にあるのは、一種の売り物であり、効果は様々、付けると特定感情を強くし、他の感情の変化を打ち消すアクセサリーや。
マイナス効果の代わりに、ある種族に対する特攻がある武器だったり、どうしても必要とする相手に、そのマイナスを許容しても必要だというなら売っていて。
此処の部屋の下には、表に出せない様な呪物等を仕舞い込んでいる、呪物庫ともいうべき場所もあり、神レベルんであれば、そこにあるかもしれない。
相手の神の系統や、そのシンボルが判れば、そこから探せるかもと、問いかけて。
■レキ・キドー > 『暴力巫女』は目を瞑ろう。しかしそんな風に呼ばれると、暴力を申し訳なく思う気持ちがあっさり開き直りに傾いた。
だってお前、やっぱりアレは近付き過ぎだし、しつこかったしと。
とはいえ口にはしない。 もうオトナなのだ。
なのだが。
「うっさいよ。オマエは大きくなったの似合わないね。ガワだけか。」
無いとか言われると、立派なナリになったくせに発言はそんなのかと半眼で見上げる身長差。
腰に手を当てふんすと鼻息。 なんか非常にやり難いし帰ろうかなと思うが、
霊的ななんやかやを感知できると、並ぶ品々でここが一応確かな仕事をするらしい事が知れる。
だから紹介されたのだし、ムツキも名乗ってくれるなら、ここで立ち去るのは惜しい気がした。
「いいって通り名で。断り入れてくれなくても。」
縛る気も無いし、もはや真の名を知ったところで縛るような術は使えまい。
そういう話はし難くてぶっきらぼうに。
「――色欲と、負の感情。
シンボルはイチョウやギンナン。その意匠が入ってるか、素材にイチョウの木が使われてたりする。
派手にやるヤツだから、おかしくなった人がいるとか、人が消えてるとか、そういう話の傍に転がってるかも。
場合によっては生き物の場合もあって、物の種類も強弱の程度も、性質までピンキリかな。
……そうか、情報屋として頼れるのとは別に、ここにあるかもしれないのか。」
そういう店か、と少し感心したように。紹介してくれた仕事仲間とムツキの株をいくらか上げた。
「私がまじない使えるかって事なら出来ない。
だけどまだ解るし、さばくくらいは一応できる。
そんじょそこらの物にはなびかないと思うけど、同行するのが怪しいなら待ってるよ。」
バックヤードに興味はあるが、入れるかの見極めはムツキに任せると。
その姿勢は、別料金については当然の事として問題にしていない。
なおそんなにお金持っているわけじゃないのだが。