2022/11/26 のログ
■ドラゴン・ジーン > 誰かの手が触れた。元々が不定形である事による絹のような柔らかい手触り。店員を呼ぶ声が聞こえる。不幸な誰かは試着を行うらしい。
そのまま着せつけられたトルソーから外されて、試着室にへと運ばれるその合間において、ぎょろりと造花意匠の薔薇の花弁の中より、くゆる触角が見上げていた。
立ち入る足音が試着室の中に滑り込み、シャッ、と、音を立てて閉じられるカーテンによって完全に遮られ。
もう、その薄幕一枚の向こうで何が起きているかは誰にも解らない。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からドラゴン・ジーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアンジェラさんが現れました。
■アンジェラ > 平民区、メインストリート。
帰り道を歩きながら、アンジェラは少し長い溜息をつく。
あー、やばいなー。
ぼんやりとそう思う。
ここ数日、忙しなさであまり自分の時間がとれていない。
正直なところ、溜まっている実感がある。
帰ったら…と考えながら歩いていく。しかし、無防備さの裏返し。
ちらちらと娼婦には目をとられてしまうし、
何ならそういう種族には精の香りをまき散らしている事だろう。
目を付けられても仕方がない。そんな状態であった。
■アンジェラ > あぁ、もう。
そんなちょっとアンニュイな気分を振り払いながら足を早める。
無事家に到着できたかは…。
また、別の話。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアンジェラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシルニアさんが現れました。
■シルニア > 学院からの帰り道。主要なこの道は遠出していた冒険者たちや、授業を終えても熱心に学習や鍛錬をしていた学生たちが自然と集まる街道であり、それに伴って栄えた繁華街でもある。
今日もそんな若者たちを自らの店へ誘い込もうと、威勢のよい客引きの声が飛び交っていた。
「うーん、疲れたですし、お腹も減りましたし…お外で済ませちゃいましょうか。」
自宅で料理を作るには、都合の良い食材も無いし、それほどの活力がない。何より空腹感が強い。
いつもなら食欲よりも自炊による倹約を優先するのだけれど、今日の私は…その…。
…むらむらするのである。私は決して性欲は強くないし、寧ろそういった行為には積極的ではないどころか、億劫な方だ。だけれど、ミレーとしての動物の性質が強く顕れているらしい私には、発情期のようなものがある。
本で知ったことだけれど、雌の猫の発情期は本来は決まった時期におこるものであったが、街灯や室内の灯りによって不定期になる例があるらしい。
多分、私もその例あてはまるらしく、不定期な発情に悩まされていた。
勿論、私は獣ではないので理性で抑え込むことは出来るのだけれど、発情期による不調は気分だけでなく、集中力の減退や魔力の流れの異常など、おんなのこの日と同じくらい悩みの種となる。
…だから、沢山食べて紛らわすのである。
──性欲なんて知らない。食欲ですっ。
「むむぅ。びーふ…ふぃっしゅ…さらだ…」
しかし、今日は食べたいものが思い浮かばない。お腹は減っているのに、ピンとくるものがない。そんな日は、きっと私だけじゃなくて皆あると思う。
よく訪れる、石榴のジュースが美味しいお店に寄ろうと考えていたが、こういう日に限って店に灯りが灯っていない。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にクレイさんが現れました。
■クレイ > 学校で面倒ごとを押し付けられ、それらを終わらせた帰り道。
夜の宿でも探すかと歩いていた繁華街でそれは見つけた。
パッと見れば別に何てことの無い姿かもしれない。だが学生服という点、そして傭兵の勘。つまりは困りごとの匂いを嗅ぎつけたともいえる。
そっちに歩いて行って。
「どうかしたのかよ。んなボーッとして」
そんな風に気楽に話しかける。
困っているのはなんとなくわかっても、流石に発情期だとかそういう事に関しては感知できておらず、全くの自然体で。
「サイフでも落としたか?」
そして学生ならば逆に教師としての彼を知っているし知らないかもしれない。
少なくともこちらは学生とはわかっていてもそれ以上は知らない様子である。
■シルニア > 空腹感、その他諸々のマイナスの感情に押し流されながらも、店を物色。
こうなったらすぐ食べたい。栄養的にはよろしくないけれど、屋台のフィッシュアンドチップスでも──
「~~っ。」
突如飛んできた…ええと、一言で言い表すならば"楽観"とでも言うべきか。一人を除いて、私以外は誰もいない。
私に向けられた声だと理解して、ピンっ、と帽子の下の猫耳と制服の下の尻尾が立った。窮屈な状態で急な動きをしようとしてしまった尻尾が少し痛い。
人気の多い所とはいえ、警戒心を少し強める、が。聞いたことのある声、そして振り向いて目にした彼の顔は見たことあるような…気の所為のような…。
「あっ…えっ…ええと…センセ!」
思い出そうとして、吃るような挙動不審な吐息にも近い声を漏らす。
初めて目にしたのは、学院の見学をした時。確か戦闘学応用のクラスだっけ。剣術を一通り出来る前提のクラスだと判断して見送ったけれど、その後も学院内で何度か目にしたっけ。
だけれどそんな彼の名を覚えている程の記憶力はなく、曖昧に"センセ"と彼を呼んだ。
「ええと、その…そんなおおごとじゃなくて…ただお腹減ってるのに何食べるか決まらなくて、迷っていただけなのです…。…ぅ…。」
少し高めていた警戒心は一気に緩む。学院の先生ならば信用できるだろう、と。
彼の心配するほど困っている状況でないと伝えるために、正直に告げるけれど。空腹であることを口に告げると、空腹を意識してしまって、きゅる、とお腹が鳴った。
羞恥心から顔を俯かせる。
■クレイ >
「ああ、悪い驚かせたな」
彼女の反応的に驚かせてしまったのは事実なのでそこは素直に謝罪をする。
彼女の警戒が解けるまでは一定の距離にいて、警戒が解けたところで歩き出す。
だが、腹の音を聞けばブハッと少しだけ噴き出すように笑って。
「なるほど、そりゃ一大事だな。でもこんな時間だとあっちこっち込んでるだろうしな」
すぐに食べられる店は冒険者や学校帰りの生徒で埋め尽くされる。
となれば、そうだなと少しだけ考えて。
「パンとシチューで良ければすぐ食える店を案内するが。どうするよ」
近くにある店で1番早く食えそうな店を提案する。
歩く時間があるが、それを加味してもこの辺の店よりは早く食べられるだろうと。
「そこまでも我慢できねぇなら。とりあえず屋台で適当に買うのも手だけどな。買いすぎると食えなくなるから注意だけど」
■シルニア > 「むー、笑わないでくださいー…」
うつむいたまま小さな声で抗議する。そんな中でもまた小さくお腹が鳴ってしまうのは止められない。両手でお腹を抑えて、お腹を引っ込ませるように力むけれど、無駄な抵抗だ。
「そ、ですね。どこも混んじゃってますし…
穴場の店ってやつでしょーか。そーゆーの気になるですし、是非お願いするです。
屋台は、いま屋台にしようと思っていたですがあまり身体に良くないと思うのでー…なのでちゃんとしたご飯がいいと思うです。」
うつむいたまま会話するわけにもいかないだろうと、おずおずと顔を上げ、彼の言葉乗り気であることを伝える。
彼に一歩近寄り、だけれどそんな動作はすぐに出発するように急かすようだな、と過剰な心配をして一歩離れる挙動不審。
■クレイ >
「そりゃ無理だ、可愛らしい音ならしてたしな」
笑うなと言われてもケラケラと笑いながら。
先生らしいという雰囲気はない。元々先生というキャラでもないので当然と言えば当然だが。
屋台が体に悪いと聞けば肩をすくめる。
「1食くらい変わらねぇよんなの。てかそれで体に良くねぇなら酒と肉がメインの俺なんて大変な事になっちまう」
ケラケラと笑いながら歩く。
と歩こうとして。
「ああ、そういえば先生ってのは知ってたみたいだけど名前は知らないよな。クレイだ、よろしく」
とサクッと自己紹介を済ませる。
しばらくテクテク歩く。道の前にたって人込み等の盾になるようにして。
「てか、こんな時間にそんなに腹へるとか、あれか。昼食えなかったのか?」
金の問題だったり時間の関係だったり。色々と理由はあるがそういう事なのかと。
■シルニア > 「よろしくです。クレイ先生。
私は、剣術科に通ってるシルニアというです。」
ぺこりと挨拶しつつ、人混みに揉まれて彼からはぐれないようにとぴったりくっついて歩く。
「お昼は食堂で食べたですがー…」
嘘でも食べたといえばよかった、と後悔した。けれど口にしてしまったからには撤回するわけにもいかず、言葉を連ねる。
「え、えっと、最近お腹が減っちゃうのですよね。えへへ…。授業で運動しているはずなのにお腹もお肉ついちゃって。だから屋台のご飯は億劫なのです。」
直前の屋台の話に逸らして誤魔化しておこう。正直に発情期の性欲をごまかすため、だなんて言えるはずもない。
■クレイ >
「剣術科か。結構近い学科なんだな」
へぇと声を出して。近いといえば近いのだが、こちらは文字通り戦闘を教えるクラス。不意打ちだまし討ち何でもありの時点で近いようで正反対なのかもしれない。
その後の話を聞けば笑う。
「まぁお前くらいの歳ならどんだけ食っても問題ねぇよ。むしろ細すぎだ、もっと食え。で体うごかしゃ勝手に良い感じになるだろ」
剣術使うならそれくらい必須だとカラカラと笑う。
彼女の様子も気にかけ、歩調を合わせるようにしつつ。そして人込みの盾になるようにするのは続ける。
傭兵の仕事でたまに来る護衛の仕事で培われたテクニックである。
しかし、ピッタリとくっついている上に発情期であるのならこの男のもつ雄としての匂いに少し反応してしまうかもしれない。
元々鍛ええ続けそれらが多い上に今日は1日体を動かした後なのだから。
「あと1つ曲がれば店だ。元々はパン屋だったんだが。宿屋も兼業で始めたらしくてな。それでパンに合うシチューを作ったんだとさ。宿探しのついでだから丁度良かったぜ」
■シルニア > 「そですね。だから見学したときにクレイ先生の顔を覚えていたのです。剣術を学びたくて入学する程度の私が戦術"応用"なんてとてもついていけないな、と思ったのでして…。
そーでしょうか…。もっと身長が欲しいですが、伸びなくて悩んでるのですよねえ…。」
両手で剣を振る仕草をし見せたり、
自らの頭に手を当てて、身長はコレくらいはほしいかな、なんて頭の上に手を伸ばしてみたり。
それら様子は彼の目に入ることはないだろうけれど。
それでもジェスチャーをするのは、私の気を誤魔化すため。
ただでさえ劣情が湧き上がるのに、彼の後ろにぴったりくっついていることで彼の汗の匂いや体臭…要は雄の匂いが鼻腔をつついてくるのだ。
別に恥ずかしいこともしてないし、運動もしていないのに私の頬にどんどん朱色が浮かんでくる。
「えぁっ!?つ、ついたですか?
はぇー。や、宿、ですか…。」
思考がぼんやりしてきた頃に、到着したとの報告に妙に驚いてしまった。
そして続く彼の言葉…。
──宿…宿に連れ込まれている私、ってことですか!?
そんな邪な妄想、普段しないのに。
■クレイ >
「ああ、なるほどな……応用っていってるが。初心者でも全然良いぞ。ただまぁ剣術覚えたいならオススメはしねぇけど。あくまで俺の学科は戦闘を教える学科だし。それこそ模擬戦で気抜いたら後ろから魔法が飛んでくるぞ」
応用の意味はそういう意味。
だから初心者でも問題はない。あるに越したことはないが。
遠くの方からパンの匂いも同時に香り始めるだろうか。
「身長はまぁ……色々条件あるからな。でも低いのも低いので良いぞ。レイピアとかああいう軽いのでチョコチョコ動き回りながら突き挿されるとマジでめんどくせぇし」
小さいのなら小さいなりの戦い方がある。その一例を出してみて。
ゾゾ地sぴおい青手にかなり苦労した事があるだけにその言葉は深みがこもっていた。
そうして話している内に店にたどり着く。
「ああ、宿っちゃ宿だが。別に変な宿じゃ……顔あけぇぞ」
振り返ったら顔を赤くていたので軽くツッコミを。
暑いって季節でもねぇだろと言いながら扉を開く。
店には2人の夜のメニューなと告げる。酒は流石に生徒の前なので自粛。
「パンとシチューで良かったよな。もうすぐ来ると思うから」
と言いながら席に着く。厨房に目をやれば既にシチューを皿に入れ始めている所だろう
「てか、ホントに大丈夫か。体調悪いとかなら早く言えよ。流石に体調悪い生徒を連れまわすとか色々と嫌だしよ」
■シルニア > 「そーそー、そーなのですよっ!だから最近は細剣や短剣に目をつけていますです。
恥ずかしながら、剣術の授業で腕の長さがたりず模擬剣を鞘から出すことが出来なかったことがあって…。」
会話もして紛らわそう。いやダメだ。彼の声が魅力的に聞こえ始めてしまっている。
耳をふさぐ?いやいやただの失礼!頭の猫耳を抑えかけ、手をはなした。
…普通の人ならばそこに耳はないので私は今とてもおかしな動作をしている人だ。
「べ、べべべべつに顔なんて赤くないのです!」
「体調だって万全です!お腹が減ってるだけなのですから!」
挙動不審なのは相変わらずで、しかし妙に声がでかい別ベクトルの挙動不審。
会話の合間に「あっ、パンとシチューです!」なんてしっかり注文の確認にも答えつつ。
「大丈夫ですから、はやくご飯を食べるのです!」
そうして彼を牽制するようにぽん、とお腹を軽く叩くように小突くのだけれど、そこに感じた硬さにきゅん、と胸が高鳴ってしまった。
──あーもー!!だめだめなのです!えっちなことはだめだめなのです!!
空腹なんて何処かに吹き飛んで、ぐるぐる、いろんな思考が暴れている。ふらふら、頭を揺らして若干怪しい人に。
■クレイ >
「……それお前のせいじゃなくて先生がダメだろ。そいつに合わせた武器持たせないとか」
まぁ剣術のクラスだから仕方ないといえばしかたないが、それでも本人に合わせた長さのを用意するのは当然じゃないのか? なんて思ってしまうのは先生らしくないのだろうか。
挙動不審な様子を見せれば笑うより先に。
「いや、ホント大丈夫かよ」
むしろ心配が先に来てしまうのだった。
食べると言われればシチューが届く。白いホワイトシチューはパンに合わせたという評判の通り少し濃い目の味付けでパンに良くなじむだろう。
そしてそれと同じようにバスケットに入ったパンがいくつか。机の上に置かれる。
「ま、そうだな。とりあえず食ってから考えるか。それこそホントにヤバいなら上の宿で少し休憩してってもいいし」
帰り俺が送り届ければ問題ねぇだろと言いながら自身もパンを食べ始める。
傭兵流は豪快の一言。大口でガツガツと1つのパンを3口程度で食べきってしまう。