2022/11/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロブームさんが現れました。
■ロブーム > とある冒険者ギルドの酒場で。
この場に似つかわしくない、高価そうなタキシードを着た太った男が冒険者と話していた。
その冒険者は見目麗しい女性であるが……どこか困っている様な、後ろめたいような、そんな表情をしていた。
「仕事はどうだね。昨今の情勢を顧みるに、大分増えていると思うが、あまり無理をしてはならないよ。
……君は、私にとっても大事な人なのだからね?」
彼女は頷くが、しかしぼそぼそと歯切れ悪そうに何かを言う。
それは、この冒険者を知る者からすると、とても珍しい事だと解るだろうか。
「ああ、君の仲間は壮健だよ。妹さんの学費も、取り合えず私が負担している。
問題はない。君が少し"頑張れば"、それで問題なく返せる範囲の事だ」
何故、彼女の仲間の事を彼から教えるのか。どうして、妹の学費を彼が負担しているのか。
そもそも、彼女が"返す"為に行う"頑張る"とは、何なのか。
よく考えれば、そんな疑問が浮かぶ会話ではある。
だが、同時に彼は、その具体的な事については語らず、遠回しな表現の実で会話している。
この会話だけでは、彼が悪魔であるとも、彼女の仲間を拉致しているとも、妹の学費を盾にしているとも解らない。
但し、
「……はい。ありがとう、ございます」
女冒険者の表情から、何かを読み取れるような、そんな人物であれば、何か怪しさを感じ取るかもしれない。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロブームさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からロブームさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にバルゴラさんが現れました。
■バルゴラ > 今夜はいつもより少しだけ早い時間に散歩中である。
此処は王都マグメール平民地区にある大通り。
偶にはストレスの発散にお金をパーッと使いたいと、あまり縁がないとも言えなくなってきつつある平民地区の通りを歩く、時々気になる店があれば覗き、露店が有れば冷やかし、ただまあ盲目の婆さんの露店には嫌がらせに多めにゴルドを握らせて、一番うまそうなりんごを奪ってやった。
と、ちょっとだけ格好をつけながら、りんごを齧る。
カシッと歯を受け止める果肉に深く歯をえぐり込み、真っ白な果肉を食いちぎればモグモグと行儀悪く歩きながら咀嚼する。
これからが美味しい季節なのか、それとも逆に時期ハズレなのかわからんが、齧ったりんごは非常にすっぱく、眉間にクワっとしわを寄せるが、これはこれで林檎本来の味がしてる?気がして、まあよしとする。
カシュと噛み付いて、バリッと噛み砕く。
微かな果汁の飛沫と甘い林檎の香りを広げながら、今夜はどうしようか、と思案しながら足を止めずどこまでもどこまでも、面白そうなものを探して通りを歩く。
「………実家で食う奴より質が悪いんだろうけど、悪くないなこれも………。」
95点、何て脳内で点数をつけて、林檎を齧り続ける。
これは実家の屋敷でやるとまず怒られるので出来ない、だがそれが楽しくて仕方ないのだった。
■バルゴラ > 真っ赤で瑞々しい林檎ではあるが、サイズは小ぶり。
なので直ぐに芯だけになるまで食い尽くしてしまい、最後には人影がパラパラとしかいない通りではあるが、左右を見て一目を気にしながらも、芯を先端からするっと口の中に放り込むと、バリバリと芯も種も丸ごと噛み砕いて、周囲に甘い香りを撒き散らしながら林檎を完食。
「おっと、少し優雅らしさに欠けたか?」
貴族である、が同時に魔族でもある。
性格としてはなるべく貴族たらんとするのだが、欲望には素直であって、今は食欲に素直に林檎を余すところなく頂いた。
それにしてもこんな時間だというのに賑やかな事である。
辺りは……そう調度酒場や冒険者ギルドからは楽しげな声が聞こえ、食堂などからは遅い食事を取る人間が多いのか、肉の焼けたいい匂いが広がってくる。
確かに、確かに実家や学院の食事は美味しい。
だが、よく考えたい……ナイフとフォークで頂く料理と、骨付き肉を齧る喜びと、どちらが美味しく見えるかを。
当然ながら後者。
骨付き肉、どこか露店で焼いてないものか?
と視線をあちらこちらに向けて、注意力散漫で歩く。
すると当然あるわけだ――…誰かにぶつかる可能性が。
■バルゴラ > ……ぶつかりそうになったが、ひょい、と当然のように回避。
それが出来るくらい学院の授業で鍛えられている。
代わりにかわし際に相手の背中に蹴りでもいれたくなったが、林檎が美味しかったので今夜は見逃してやろう、と舌を出して相手を小ばかにした後に、顔を引き締めてまた歩く。
焼肉の露店、或いは古書でも扱ってる露店。
ああ、でも何処かに寄るのも楽しいかもしれない。
まだ入った事が無い、見たことが無い店に足を踏み入れることを検討しつつ、またのんびりと平民地区の通りの散策を続ける。
行き交う人々の数も減り、皆宿泊施設や家に帰宅するのだろう、その背中をどこか羨ましそうに眺めながら、一回だけ大きく深く冷たい空気を吸い上げた後に……。
「どうするかなぁ、寮に帰るには早い気がするんだよなー………。」
と、盛大なため息の後に独り言を吐く。
行き交う人が減れば露天商も早々店じまいか、先程まで賑やかだった分余計に周囲が静かに感じるのだった。
――…寒い。
人の行き来が減れば当然熱気は無くなり、静けさは余計に寒さを生む。
軽く身震いをすると露店巡りも止めて、寮の方に向けて歩き出すのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からバルゴラさんが去りました。