2022/11/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 王都マグメールの平民地区、商業を執り行うエリアの一角を利用した夜市が開かれている。日が暮れなずみ、代わりに昇って来た銀星の天体の明かりよりも尚も眩く、職人芸を凝らしたランプの照明が昼をも欺かんばかりに地上を照らし付けていた。
突然の風雨除けに色取り取りの染料で染めた簡素な天幕が張られて各露店は陣取り、その商店主や店番達は競い合うようにして自らの商い品を売ろうと十人十色のビジネストークを披露して。
更に軒先には諸国情緒の溢れる調度品を飾り付けて個性を出し、少しでも区分けられた路上を行き交う雑踏の気を惹き付けようと努力している。
冬の足音すらも聞こえて来た夜の肌寒さもそこのけに、物流に寄せられた人々の人口の密度の濃さから発露される活気の熱の御蔭か、少しばかり賑やかな温かさすらも体感的には感じるかも知れない。

…こんな場所で最も警戒すべきは人混みに紛れ込んだスリ窃盗や、消費者を騙し虚飾された売り物を販売する詐欺師たちであるという意見も在るだろう。だが、今のこの場所では寧ろ売り物そのものに注意する必要がある。
例え店主に悪気が無かったとしても。日中に採れたと思しき新鮮な青果品がごろごろと陳列された店の中で。一つぐらい果物が増えたとして、それに気づかぬ事ぐらいは在るだろう。
ババ抜きのジョーカーの如くに多くの安全札の中に一つだけ、忌むべき怪物の影が潜んでいる。即ちは大振りの葡萄の房に擬態して。

ドラゴン・ジーン > 何故そのように扮しているかといえば、以前において採取した遺伝子の中に擬態能力の心得がある人物のそれが存在していたからだ。我が身の内にへと取り込んで学習した知識と技術をこうして実験の為に実践している。少しでも平穏な街の風景の中に溶け込む為の一手段として。

店先に並んでいるのは何処からどう見ても、ころころと丸く粒の揃った深い暗紫色の果実だ。隣にも居合わせている葡萄(本物)と比較しても少なくとも外観上の差異は殆どないと言ってもいい。
香料すらも創意工夫し、葡萄の皮などを食んで抽出した香りすらも酸味を含んだ香り高さを立たせている。こうして何気なく売り者達に混ざっても、即座にはまだ露見していないのは、まだ周囲を騙せているという事だ。
だが、それを口にしようなどとは考えない方がいい。

「………」

時々に眼球のように、ではなく実際目の代替となる知覚器官として果皮が一瞬剥ける都度に、その果肉に模された透き通ったエメラルドグリーンが外気に露出する。
だがその汁気を孕んだその粒はあやしい光を煌々と湛えている。周辺をちらりちらりと左右に窺い。

ドラゴン・ジーン > 「………」

このまま誰かの手に渡るというのも、十分に起こり得る出来事だ。そのまま懐に入り込んで運ばれるならば、その人物が何処かプライベートな空間に立ち入った際に正体を現し牙を剥く事も出来る。
しかしながら今、この場でバレるというのは大変に拙い。前述の盗人などを筆頭にした犯罪者に対応する為に、市には衛兵の姿も見受けられる。寄って集られれば此処で全てが終わりになるリスクも在り得るだろう。
瞬間的に皮の向けた奇妙な葡萄はその所作がバレない内に、直ぐ様にまた閉じられる。
そして後は踏み鳴らす人々の足音、喧々囂々と交わされる日常の営みを揺り籠にして寝転んで待つばかりだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 【入室が重なってしまってごめんなさい。当方が後なので退室しますね】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタピオカさんが去りました。
ミンティ > いつもなら家でのんびりと過ごしている夜の時間。けれど今日は商人組合からの招集があり、夜市のための雑務を今まで任されていた。
やっと交代の時間になって、あとは帰るだけ。ひらかれているお店を眺めながら、気になる品物があれば足を止めたり、混雑しているようなら遠巻きに眺めていたりした。
そしてもうすぐ夜市の端というところまでやってきて、ふと目にした青果店へと引き寄せられる。よく実った葡萄のふさがとてもおいしそうで、陳列されている品物を、じいっと観察。
もし、この場で眼鏡を持ち上げ、裸眼で見ていたなら一つだけおかしなものが混ざっていると気がつけただろう。けれど、今はそんなに警戒を必要とする場面でもない。

「一つ、ください」

幸か不幸か選んだのは、なにかが擬態をしている葡萄のふさ。
それを清潔な紙で包んでもらうと、しっかりと胸に抱き。夜の闇の向こうへ、またのんびりと歩いていって…。

ミンティ > 【移動です】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。
ドラゴン・ジーン > 間も無くしてその時が来た。誰かの手により買われたのだ。
幾何の貨幣と引き換えに所有は商店から人間の手にへと渡る。
商店の主の愛想を振りまく声が聞こえた。なんと憐れなる哉…。
後日においてこの果物を買い付けた人間から、酷いクレームを受けるかも知れない。
…遠い未来のことは不明瞭であるが、しかし一つ拭えぬ事実も此処に存在する。

「………」

それは葡萄を買い付けた人間が、この直ぐ後に酷い憂き目を見る事に他ならない。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からドラゴン・ジーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 宿酒場」にレナードさんが現れました。
レナード > ギルドで依頼の達成報告を終えてギルドを後にし、今夜の飲み歩く店を、明かりが灯り出した店の前を歩みながら物色と選んでいたら
いつの間にやらやってきていたのは娼館街に近い宿酒場。
場所が場所故か、安宿も兼ねた酒場は所謂連れ込み宿のようなもの。
一先ず店の扉を潜り、バーカウンターの席に腰を下ろせば適当に1杯酒を頼む。

「――ま、偶にゃ行きずりってのもアリっちゃありかねぇ。」

酒場には同様にか今夜連れ込もうと娼婦を口説く同業者や
反対に良い男を物色している女性の姿もチラホラと。
カウンターに置かれた安酒を取れば、入り口の扉に意識は注視をしながらチビリと飲みながら、今宵の出会いを気長に待つスタンスで酒を愉しみだした。