2022/10/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にクレイさんが現れました。
■クレイ >
今日この場にいたのは本当に偶然。路地裏という場、それはお世辞にも治安が良いとは言えない。けれど、それ故に集まれる人もいるわけで。
小さい時にこういう集まりで飢えを凌いでたなぁなんてフラフラと参加していたのだ。とはいえ、何をするでもなくボーッと火を眺めているだけだったが。
周りの人達の目線が動いたので釣られる様にそっちに目線を、目を向けた先には。
「……」
学校関係者。声をかけるか少し考えたが、場所が場所だ。あんな子が1人でいれば何が起きるかもわからない。
まぁこの集まりは所謂弱者の集まりだから変な事はそうそう起こらないとは思うが念には念だ。
そっちに軽く歩く。
「こういう場に参加するなら制服のままってのは色々と不用心かもしれねぇな」
なんて声をかける。もしかしたら学校で姿を見ているかもしれないし見ていないかもしれない。
色々と噂は流れているかもしれないが。
もし知らないのなら腰に剣を付けた明らかに剣士といった男が話しかけてくる事になるわけだが。
軽く顎で隣を挿して。
「隣良いか、1人ってのも暇でよ」
■シャル > 腕を気にして伸ばしていたら、撫でていく風がやはり少し冷たく感じて。ケープの中にそっと引っ込めている間に、ふと近づいてくる気配がひとつ。
半ばぼんやりしていたのが、警戒しているような困っているような、普段のやや話しかけにくい無表情に戻るけれど。
傍に現れた男の、制服、と言う言葉に何か思い出したような気もして。
「……ええ、少し、迷いましたけど」
ケープの隙間から少し伸ばした指先、示す先には何か編み物をしているような女性の姿。篝火に照らされたその姿に目配せもして、この場に居るのが怪しい集団であれば、ああいった人はたぶん、居ないから。
だから今すぐ危ないと言うことはきっとないのでしょう?と言葉には出さずに視線を傍の男へ戻す。
「隣、大丈夫ですよ。……なんだか、学院でお見かけしたことがある気もします」
座ろうとすることには頷いて、そう、制服と言えば、と思い出したのはそんなこと。確信はなかったけれど、記憶の端に覚えている姿のような気も、少ししたから。
■クレイ >
「正解、学園じゃ先生やってるよ。だからどうしても気になってな……戦闘学応用。まぁ色々と悪名の方がひろまってるかもしれないけど」
なんてケラケラ笑う。
許可を受ければ座って。少し黙る。
そしてポツリと。
「夜の散歩ってには少し奥まった場所まで来たな。あれか、少し冒険してみたいって感じか?」
態々学生服を着ているということは根はそれなりに真面目な人物なのだろう。
そう思った時ここにいる理由を色々と考えたら。少し冒険したくなったが1番しっくりときた。
「何となく気持ちはわかるけどな。最近涼しくなってきたし。歩きやすくなったもんなぁ。これ以上寒くなられると結構困るけど」
と一蹴顔が険しくなる。
冬の戦場は夏以上に地獄になる。食料は取れない防寒着忘れたら死に直結する。色々と思い出してしまうのだ。
■シャル > 「ああ、先生でいらしたのですね。それは……失礼いたしました。ラフィーナ爵の娘のシャルと申します」
時が時、場所が場所だけに、そこまで改まる必要は無いだろうけれど。相手が教師ともなれば、小さく、けれど丁寧に頭を下げて。
悪名は――悪名の広まっている学院関係者、がむしろいくつも浮かんでよくわかりません、などと少し笑う。
「冒険、と言うよりは……なんとなく、寝付けなくて。そのままぼんやり考え事だけをしていると、一日がそのまま何もないまま終わってしまうから」
散策するには、言われた通りもっと寒くなってからでは少々、つらい。
まだ夜空の下に居られる間だから、こうして外へ出てみようと思えるうちに出てみた方がいい。
「自室にこもってただ眠って終わり……の毎日が続いてしまうよりは、目的は見つからなくても散策ぐらいはしてみようか、なんて思って。――制服のままなのは、なるべくこの格好でないと私が私である意味が無いような気がしたからです」
前者はそのままの本心。後者は、少し何か謎めいた悪戯心のようでもあって、片目を少し細めていて。
■クレイ >
「んなかしこまるな。別に敬意を示される立場じゃねぇし。生徒のお陰で金貰ってるんだぜ俺達。いわばこっちが雇われてる側ってな」
なんて元も子もない事を。そりゃ先生というのはそういう職業とはいえ色々と言い方があれなのは傭兵であるが故だろう。
悪名に関してはたしかにと笑うかもしれない。実際は授業が過酷とか戦場に対する夢をぶち壊したとかそういう方向だが。
その後の彼女の話を聞けばふむふむとうなずいて。
「なるほどなぁ……結構そういうので悩む奴って多いよな。毎日が同じだとか。そういうの」
俺達傭兵からすれば今日生きてるってすげぇ事なんだけどと少し笑って。
だけど彼女は彼女で悩んでいるのだろう。少しだけ考える素振りを見せる。
「でも、そういう悩みって難しいよな。人によって目的とか、生きる意義っての? そういうのって色々だし。なんか本とか経験とかでこう……心が揺さぶられたとかねぇの?」
そういうのがきっかけになったりするしなんて。それらしい事を。
実際自分がそれで傭兵という道を進んでいるのであながち的外れでもないのだが。
■シャル > 「その考え方は、私個人としては……わりと、好きかもしれません」
生徒が居てこそ教師を名乗れる。例えばお店とかもそう、買う人がいなければ売る意味もないのだし。
本当はどちらも対等なはずなのに、とまっすぐ頷くけれど、たぶんそこまで真面目に考えているのは自分だけ。
貴族として領民と対等で居るには――とも少し考えたけれど、その考えは表に出すわけにはいかない。
「日々、平穏な日常が過ぎていくのは幸せなことではあるのだと、思うのですが。ただ、そのままだと……何と言うか、何も起きない……?のが、たぶん釈然としないのかもしれません」
他者との関わりが、何も起きなければいつもの事務的な関わりのままになりそう。
それはたぶん、とてもつまらない。
「そうですね、最近すこし。今まで知らなかったことをやってみると、新しい感動を覚えたりする、と言うのは、体験としてありますね」
あまり表立って言えないこともあるけれど、こうして外へ出てみて、話したことのない相手と話す機会が生まれる、と言うこと自体が心の経験になっている気がする。と言うのは答えになっていないのかもしれないけれど。
■クレイ >
「うっへぇ、中々に欲張りな」
何も起きないのが釈然としないといえば冗談っぽくそんな風に言って笑う。勿論それも人それぞれだから馬鹿にする意図等全くないわけだが。
その後の話はなるほどとうなずいて。
「そういう経験あるならわかりやすいじゃんか。感動したなら同じことをしてみるとか、もしくは新しい事で感動を覚えたって事なら他に感動する事があるかもしれねぇし次々新しい事に挑戦してみりゃいい。失敗した時にはその時だ」
なんて言ってから、そちらに目線を向ける。
「とりあえずはやってみない事には何も始まらねぇしな。出来るうちにやっとけ、貴族なら卒業しちまったら新しい事に挑戦する時間もねぇんだし。ということで……その体験したことでも良いし、本で読んでやってみたい事でも良いし。今興味がある事を1度上げてみろよ。その中で俺が手伝えそうな事があったら手伝ってやる」
内容によっては依頼料貰うけどなと。そこは傭兵モード。
いくら学生相手でもそれはそれ、特に貴族の子供ならば変に遠慮する必要はない。まぁ学生料金くらいにはするが。
■シャル > 相手が笑うのにつられたように、ふふ、と少し表情を緩める。
「世の中が変わっていくのは、主に人の欲の所為なのかもしれませんから。良くも悪くも」
停滞した世界には居たくない、と言う言葉が頭に浮かんだけれど、たぶん本当に思っているのはそんなに大それたことではなくて。
みんな寂しいだけなんですよ、きっと、などとまた少し笑う。そっちがたぶん自分の心の中の正解。
「そうですね、やってみたい事はいくつか。ただ……こうして散策に出てみるだけでも、なかなか勇気が要るでしょう?」
夜は、特に。護身ぐらいはできるのだけれど、何の心配もなく出歩けるような土地ではないのだし。
こうして話し相手が見つかっただけでも、手伝えること、と言う意味ではとても有り難いと思っているのは、だいぶ落ち着いた表情を向けていることで、わかるといいのだけれど。
「今、興味があるのは……ううん、いえ、乙女の秘密に関わることでもあるので」
思いつくことは、少々この場で言えるようなことではないらしく。
目を逸らすような泳ぐような、誤魔化すような風な言い回しで指先を口元に当てながら。
■クレイ >
「ちがいねぇ、それが無きゃここまで国はデカくなってねぇ」
と言って、火に視線を向ける。
勇気がいる。といえばうなずく。
「俺ならともかく、お前の場合は勇気がいるわな、まぁあんまり治安が良い街とはいえねぇし」
それこそ女が1人で歩くなんて場合によっては襲われてもおかしくはないわけで。
しかしその後、乙女の秘密。そう言われれば。
「乙女の秘密……」
頭を働かせる。少なくともこの男、傭兵の世界でずっと生きてきた。故に”乙女”などというものにはほとんど出会った事はない。
故に知識が色々とあやふやで。少し考えた後にハッとして。
「なるほどな、いやぁ若いというかまぶしいねぇ。俺も学生とかやっていればそういう事あったのか……がんばって良い恋を見つけるんだな。俺はそれは手伝えねぇから応援だけしてる」
と斜め上に勘違い。
乙女は恋する者。つまりは乙女の秘密ということは恋をしたいとかしているとかそういう事だと誤解した模様。
■シャル > 「行き過ぎさえしなければ、欲は悪いものではないと思うんです、きっと。向き合う勇気は……やっぱり必要ですけれど」
欲も、国も、大きくなりすぎると諍いが生まれるから。
事が大きいほど責任も大きくなって、そこに向き合うのには、やはり必要な勇気もきっと沢山要るのだと思う。
学院生であることが終わったら、とその先を考えると暫し身震いするけれど、今はそれは考えないことにしよう、震えているのも寒さのせい、と誤魔化しておけばいい。
「恋――は、ええ、まぁ……そうですね。まだ私には上手く行かないような気もしますけど。手伝えることも、もしかするとあるのかもしれないので……その時はたぶん、色々お願いすることもあるのかも」
恋と言う意味ではあまり自分の事を当てはめて考えたことが無かったから。
上ずったようなちょっと変な声になった気がしたけれど、そんな様にきっと勘違いされている方が、今はたぶん当たり障りがない気がする。
■クレイ > 「勇気なくただ受け入れれば最後には破滅だからな。職業柄そういうのは腐るほどみてきたよ」
と肩をすくめる。傭兵などそういうのばかりだ、欲をかいて戦死する。欲望丸出しの依頼を出してきた挙句全方位を敵にして殺される依頼主。色々見てきた。
だから勇気というのも何となくわかってしまう。
その後の言葉には少し笑う。
「その話題で俺が手伝える事なんかねぇよ、傭兵に求めるなよ、んなピュアな事」
恋なんて傭兵にとっては真逆の事。今日を楽しく生きて明日の夜など知らない。少なくとも恋などしている傭兵はほとんど見た事が無かった。
「ま、勇気を鍛えてくれとかそういう事なら出来るけどな。1回戦場に出れば大抵の事は怖くなくなるだろうし」
やりすぎ教育。まぁニヤリと笑う顔からして冗談とは通じるだろうが。
■シャル > 「嫌なものを沢山目にして、それに引きずられてしまう人と……踏み越える勇気に変えられる人と。後者なのでしたら、きっとまだ心配ないんですよ」
目の前の相手を少し見、このひとはまだ前者ではないのだろう、そんな風に思う。
自分自身ではまだ、そこまでの経験は幸か不幸か無くて済んでいるから、散策に出る程度でもずいぶんと大変だったりするのだけれど。
それこそ、戦場に出たりなんてことは自分にはまだまだ早すぎる。
「……そこは気の持ちようと言うか、考え方次第かもしれませんよ?――言い方次第、でもあるのかしら。例えば……ううん。好き、にも形がいくつかあって。沢山の好きがある人でも、ひとつだけ特別、があったらそれはピュアな感情なんじゃないかなって。そういう人とか、思い当たったりしないのです?」
特別守りたい、とか。特別気になる、とか。それは表現の仕方が違うだけで、他者から見たらそれを恋と呼んでもおかしくないことも、きっとあるのだと思うから。
誰か浮かんだりしないのです?なんてちょっぴり意地悪するような視線を向けて、わざとらしく首をかしげて。
■クレイ >
「そうだな、だけどそういうのは自分じゃ中々わからない。なんとも難しい物だ」
と苦笑い。踏み越えたつもりがもがいているだけ、実は駄々をこねてるだけ。色々な可能性があるのだから。
その後の話を聞けばニヤリと笑う。
「先生を試そうとは中々豪胆じゃないの」
というがよっとと立ち上がる。
そちらを見ないようにして。
「でも残念ながらそういうのはいても言葉にはしないし、表には出しちゃならねぇんだってよ……俺の師匠の言葉だけどな、本人にそのつもりがなくてもそれは相手を縛る鎖になる。だから傭兵は誰かを特別にしちゃならないんだ」
というと振り返る。
その顔はどこまでも戦士の顔だった。
「俺達は明日には生きてるかわからない。だからその時に相手を縛るような事はしちゃならない。実際俺は自分の部下、てか家族代わりみたいな奴に対しても仕事以外は好きに生きろって伝えてあるわけだし……ちなみに、これは貴族にも言える事だぜ。貴族も好きでない相手と結婚させられたりよくあるし、場合によっては意味不明な責任を取らされて殺される。だからそういう意味でも今の内に楽しんでおけよってわけさ」
と彼女にさっき伝えた貴族も卒業したら時間なんて無いという言葉に対しての答えを告げる。卒業した時にはもう許嫁がいる。そんな事珍しくも無いのだろう。
■シャル > 「自分ではわからない、と言うことを分かっているのが大切なんだと思います、たぶん、ですけど」
自分に自信しかないひと、は大抵もう何か間違っている。
これでいいんだろうか、って自分を疑えるひと、はまだまだ大丈夫なのだと思う。
「難しい……ですよね」
ふと、振り返る姿が先刻までと随分違って見えたから。
紡がれる言葉に思うことは沢山あったけど、それはたぶん、自分の中だけに仕舞っておいた方がいいような気がする。
特別だから特別にしない、と言うのもそれは真っ直ぐな感情のひとつなのだと思ったけれど、それも今はなんとなく言わないままにして。
「私自身、いつかは――領……民の上にならないと、いけなくなりますし、ね。今のうちに色々と私自身のためにあれこれしておくことに、します」
周りに伝えている、表向き子爵令嬢としての立場、本当はもっと大変なのだけれど。
それでもまだ、今の間はただの学院生のひとりで居られるから。
■クレイ >
「そうそう、今の内にあれこれやっとけ。それと、コネも作っとけ。とりあえず銀鷲のクレイって傭兵はオススメだぞ腕利きでオススメだ。すこーし値は張るけどな」
なんてサラッと自分を売り込む。値段に関してはすこしどころではない金額だが。
そこまで言えば手を振る。
「じゃ、悪いけど俺はそろそろ戻るぜ。明日も朝からやる事があってな……ああ、そうそう。帰り道は南の路地を抜けて2本目を右。その後3本目を左だ。それ以外だと危険な道に入るから気を付けろよ」
表からここに来る分には問題ないがここから表に抜けるには少し危ないと告げて。
少しだけ振り向く。
「もしお前も帰るなら表までは送るが、どうするよ」
どっちでもいいぜと言いながら歩き始めるだろう。
■シャル > 「それは……ご自分を売り込んでいますね……?」
真面目に聞いていれば、口ぶりで途中からそれが自身のことなのだと気づいて半ば呆れ顔。
なんだかおかしくなって、くすくすと小さく笑いながら。
「あ、気づけばもう随分と時間が経ってました、ね。私も……明日は少し遅めとは言え、授業もありますし」
告げられた道筋、そのぐらいの量なら覚えはして居られるけれど。
これ以上長居して、本格的に眠くなってしまってからでは戻るの自体が一苦労になってしまう。
長く座っていた所為で立ち上がるのも少しはずみが要る気がしながら、ん、と身体に少し力を込めて立ち上がり。
「お言葉に甘えて……表通りまではお願いします」
服の裾を整え、ずれかけていたケープをしっかり羽織り直し、歩き始めるその後を追って。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からクレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシャルさんが去りました。