2022/04/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 王都、平民地区にある大通りをとくに目的もなくそぞろ歩いている。
目的もなく───とはいえど、それは朝のうちにそれぞれ取引のある場所への顔出しを終えてからのことだけれど。
気持ちの良い風が、頬を撫でるのにただ眦を緩めて機嫌よく歩を運ぶ。
何か予定があるわけでもない、昼食、というには少々時間が過ぎたが、どこかの喫茶室に足を運んでもよいし、そのあたりにある露店で気を惹くものがあれば食指を伸ばしてみるのも良い。
それとも気になる商店などに顔を出してもいいのかもしれない。
なんにせよ、少しの解放感を得て女は機嫌がよかった。
種々雑多な人種の集う王都であれば、己の肌の色の違いなどは微々たるもので、気にするものもいないし──時折はもっと珍しい風体の人物が街並みを通り過ぎてゆく。
賑やかな王都の通りはそんなものだ、だからこその治安の悪さはあるが……そのあたりを疎かにするほど気は弛んでいない、と思う。
「───賑やかな中にいるとつられてしまうのもあるのかもしれないわ……?」
喧騒の中、誰に言うともない呟きを流し。
目的のない街歩きに、靴音を軽く鳴らしつつ───穏やかな眼差しが、そんな喧騒を楽しむように視線を巡らせていた。
■シシィ > しばらくは、あてもない散策を雑踏の中楽しんでいたのだが、ややあって目的を決めたのか、目抜き通りの中をすい、と人波の中に紛れるように姿を消していった──。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシシィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にクィンスさんが現れました。
■クィンス > 夕方に差し掛かろうかという時刻、クィンスは広場の近くで早めの夕食をとっていた。
もともと小食であるがゆえに、その手にあるのはサンドイッチ一つ、彼女にしてみたらこれで十分なのだろう。
しかし、その顔はややしかめ気味である。
「…………辛いわぁ…。」
溜息をつきながら、その中身をみて顔をしかめていた。
それもそのはず、どうやらトウガラシが苦手である彼女にはきつかったのだろう。
ややピリ辛に味付けされているエビがふんだんに使われているもの。
”エビチリ”というものらしいが、これの辛さがなかなかにパンチがあり。
舌がしびれるような辛さが苦手なクィンスは、失敗したとばかりにそれを脇に置いたのだった。
「んー、美味しそうに見えたんやけどなぁ……。
もうちょっと辛いのが抑えられとったら、うちでも結構おいしくいただけたと思うんやけど…。」
とはいえ、これ以上お金を使うのは避けたい。
余裕があるわけではないのだが、今月は少しばかり使いすぎている感が否めないのだ。
どこかでアルバイトでも探そうか、とも思ったが…。
「主はんも、前はこんな悩みあったんかなぁ…。」
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアンジェリークさんが現れました。
■アンジェリーク > それから少し経って。
海老の辛味にあなたが苦戦しながら、なんとかサンドイッチを平らげた頃。
既に、日は落ち、広場で遊んでいた子供や歓談していた近所の住民たちも家路につき、
気が付けば広場にはあなただけがたたずんでいた。
昼ならまだしも、これから働き口を探すのも難しいだろう。
むしろ、今晩の寝泊まりをする宿屋を探すべき時間帯ではあるが――
「……おお、嘆かわしい。主神ヤルダバオートの加護を受けるマグメールの国に穢れた魔の者が入り込むとは」
と、日も落ちたというのに、ふいに強い光があなたを照らした。
それは、後光を背負った天使であり、侮蔑と嫌悪の表情で、あなたを見下していた。
「……なぜこの私が柔和な隣人ではなく、剣と槍を持ち、あなたの前に訪れたか、わかりますね?」
威圧するように、光の波動を放つ天使は粛々と罪状を読み上げるように、
信者に対して説法をするかのように、ただ、言葉を紡ぐ。
「『魔の物をあなたの家に踏み入らせてはならない。そこには淫蕩があり、そこには殺戮があり、獣欲があるからです』
■クィンス > 「………これはもう二度と買わへん、美味しいのは美味しいんかもしれへんけど。」
辛いのは苦手だ、少しずつ暗くなり始め、ようやく平らげたころにはすでに日もすっかりと落ちてしまっていた。
美味しいのは美味しいのだろう、しかし自分の口には合わなかった、それだけの話だ。
まあ、もっとも食事が必要ではないのだが、まあそこは人間としては、飲食は愉しみだろう。
「さて、いきまひょ…………お?」
宿に戻ろうか、そう思った時であった。
ここは少し広い広場だけれども、夜ともなればその人通りはめっきり減ってしまう。
そんなところで一人、無防備にいたのだから妙なものに絡まれるのは、仕方がないことなのかもしれない。
しかし、その妙なもの、というのがあまりに妙過ぎた。
強いて言えばそう、神の使いとでも言えばいいだろうか。
背中にかかる後光や、その言葉遣い。
変なものに絡まれてしまったなぁ。…とクィンスは口の中でぼやいた。
「はて……何のことでっしゃろ?うちはただ、ここでゆっくりとご飯食べてただけですやん。
そないに怖い顔される覚えはないんやけど…?」
とはいえ、こんな言葉は見破られていては誤魔化しにすらならないだろう。
そもそも、前科があるかどうかは…まあ。
「そいで、うちに何の用ですのん?
そない物騒なもん持って……まさか、うちのこと追剥でもしますのん?」
■アンジェリーク > 「これは神前裁判ですよ、魔の者め。
このヤルダバオートの執行者であり、誅滅者であるこの私の前でそのような口を利く。
つまり、貴様は罪状を認めず、しらを切りとおそうとした」
現れた『天使』は、その背から生えた脈打つように光る2枚の羽で、
イラ立ったように宙を打った。あきらかに、話が通じない。おそらく、
この場で最も理性的なのは天使ではなく、あなたのほうであろう
――変なものにからまれた、というあなたの言はあたっている。言葉が通じない以上、
麻薬で頭のおかしくなったジャンキーや路地裏で女をさらおうとするチンピラと大差がない。
「貴様の邪悪な性根が見える。人を喰らい、女を堕とし、主教に弓引く、穢れた魔物の性根が。
『聖ジェノドレは、マグメールの地を見て、この地をまれびとの訪れる、富んだ国にしなさいといった』
おまえのような者が、訪れてよい場所ではない」
しかし、聖句を引用しながら、一層蔑んだ目でクィンスを見つめる天使は……
「戦天使『アンジェリーク』の名を以て、貴様を主教とマグメール王国の敵と認識する」
王国の紋章付きの旗槍を天使アンジェリークが掲げると、
それは眩いばかりの光を発し、次の瞬間、光の雨となってあなたに降り注いだ!
それは一つ一つが聖なる力で余れた針であり、マグメール王国の敵を貫き、滅ぼすのだ。
■クィンス > 「……あかん、話聞いてくれへん。」
そういえば、マグメールにはこういう頭の固いのがいる、と主から聞いた。
完全に敵対モードになっているアンジェリークを前に、クィンスは頬を掻き、肩をすくめる。
本当はあんまり争いたくはないし、ここで遣り合うのも正直どうかと思う。
だからここは、逃げの一手だ。
だってあんな光に貫かれたら、それこそ痛いじゃ済みそうにない。
「ほんまにもう、こういうのってほんまに頭硬いのばっかりで嫌になるわぁ…。
主はんに言いつけたる!」
と言いつつ、まるでついて来いとでもいうように。
クィンスは町はずれのほうへと走るのだ…さて、着いてきてくれるだろうか。
その結果は、後日―――。
■アンジェリーク > 「逃げるくらいなら、最初から王国に入り込もうとしなければよかったものを――」
アンジェリークは町はずれの方へと走るクィンスを追い、純白の翼をはためかせる。その結果がどうなったかは――
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアンジェリークさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からクィンスさんが去りました。