2022/03/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
ミンティ > 家にあった本も大体読み終わってしまって暇を持て余した夜。する事がないから、たまには夜の街を見て回ってみようと考えて、なんとなく散歩に出てみた。
けれど、遊び慣れていないせいで、どこへ行っていいかもわからない。とりあえず大通りを中心に、夜でも賑やかな繁華街や歓楽街のあたりを目指して歩く。
お酒が好きなら酒場で時間を潰したりもできたんだろうけれど、酔うと大体不運に見舞われたりするから、そのあたりは慎重だった。
そんなわけで、どこへ行くわけでもない散歩がしばらく続く。のろのろ歩きながら適当なお店を覗いたりしていると、それはそれでちょっと楽しくもあって。

「…?……あ、いえ、あの、……はい」

傍目にもわかるくらい暇人の雰囲気を漂わせているのだろうか。ときどきお店の客引きにつかまっては、うちで飲んでいかないかとか、一晩でいいから働いてみないかと誘われる。
そのたび、ぺこぺこ頭を下げながら小さな声での応答。コミュニケーション能力が低いおかげで、相手の方から諦めてくれるのは助かるけれど、すこし情けなくもある。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にセリアスさんが現れました。
セリアス > 夜も更け始めた時間帯、自身の店も営業を終えて、酒場なりでゆっくり自身の労をねぎらおうというところ。
ふらふらと歩いていれば、見知った桜色の髪の少女を見つける。

通りに幾人もいる客引きに、一々応対し、そうこうしているうちに客引きのほうから次の客候補にと
標的を変えていく様は、接客の手管を見れもするから、意外と見飽きない。

とはいえ、自身も暇を持て余している身であれば、次の客引きに捕まる前に、彼女の方へ近づいて。

「今晩和、ミンティ嬢。お食事ですか? それともお酒?」

常日頃浮かべる緩い笑みを見せながら、声をかける。
幾度か、彼女が店主を任されている古物商にも商談に向かったこともあり。

彼女の目的地は何処かと、赤い瞳を細めて、グラス越しの彼女の視線を追った。

ミンティ > 人と話すのは疲れる。嫌いではないけれど、元々のコミュニケーション能力が壊滅的だったから、そこがいくらか改善してきた今でも、知らない人に声をかけられた時の心労はかなりのものだった。
また一人の客引きを撃退した、というより呆れさせて。去っていく背中に申し訳なさそうに、ぺこりと頭を下げて見送った。
これだと散歩が気分転換になるどころか、帰るころにはぐったりと疲れてしまいそうだった。どこか適当な、治安のよさそうなお店を探して入ろうかと迷いはじめたところ、また新たに声がかかり。

「っ……、ぁ、え、と、セリアス…さん。こんばんは。……ええと。
 いえ、なにもする事がなくて、……散歩でも……と」

明日に仕事が控えていない日なら、友人なり恋人なりと過ごしていてもいい時間。
そうせずに一人、目的もなく散歩をしていたと明かすのは、なかなか恥ずかしい事のように思えた。
とはいえ嘘をつくのも得意ではないから、ありのままを伝えて。

セリアス > 靡かない客候補を見限って、カモを探しに行っただけなのに。
客引きに向けて頭を下げながら見送っている姿に、口元が緩む。

そんな仕草も、何処か彼女らしいというか。性格が垣間見えるものであれば、
他人を知ることが好きな男からはそれだけで好ましい風景でもあり。

声をかけて、一先ずは、客引きと間違われなかったことに安心しつつ。

「嗚呼、ええ。ええ。ありますね? 時間を持て余すことも。
 とても、贅沢なことなんでしょうが――……宜しければ、ご一緒しても?」

自身もさも同じ境遇であるというように。
彼女の言葉に相槌を返し、頷きながら。

様々な店の客引きの声が聞こえる中、
小さく首を傾げ、彼女の顔を窺うように、視線を向ける。