2022/02/20 のログ
フェリーチェ > 巡り巡ること数件目。
選べる立場になると目移りしすぎて、結局あまり候補は絞り込めていない。
さて後は何処を見ておくべきかと顎に指を当てたポーズで……唐突な着地音に固まってしまう。

ギギギッと軋む音がしそうな鈍さで首を捻り、自身よりも少しお姉さんといった頃合いの姿を見て目を瞬かせる。

「大丈夫ですか?今、落ちてきたような感じで……その……」

言いよどみながら足元に目を向ければ、落ちたと言うにはしっかりと地を踏みしめているように見える。
異国情調を感じる装いはすぐ気づきそうなものだけれど、上からという非現実的な登場は自分の勘違いだったかも知れないと考え直し、自信なさげに言葉尻が沈んでいく。

タマモ > 着地する合間、見える少女は、何か悩んでいるのか、考えているのか。
そんな仕草も、己の着地に気付いたと同時に、硬直したようだ…と、そんなところまで見えた。
ゆっくりと、こちらに首を向ける動きも、なかなかのぎこちなさが感じられる。
…うん、まぁ、普通に考えれば当然か。

少女の視線が、こちらに向いたところで、こちらも同じように視線を合わせて。

「うん?…あぁ、いやいや、落ちたではなくて、降りたじゃぞ?
ほれ、あそこから」

少女の言葉に、かくん?と首を傾げ、当然のように、そう答える。
あそこ、と言って指差すのは、建物の屋根の上だ。
ちなみに、足元に視線を向けてみるも、高い場所から地面を踏み締めたような形跡はない。
そんな少女の自信なさ気な感じに、くすくす笑いながらも。
心配させてしまったか?みたいな感じに、ぎゅぅっと軽く抱き締めてみせようか。

フェリーチェ > 「え、えぇ……それ自体が随分と面白おかしい出来事ですよ」

指差された屋根からこの場所まで目配せすると、引き攣るのを我慢して口を引き結んだまま頑張って笑顔を作る。
凄い運動神経の冒険者や兵士がわんさか居る場所ならともかく、ココではちょっと心の準備が難しかった。
些か慌てた様子を隠しきれず、腕を回されても逃げる素振りすら出来ない。

「なんというか有難うござい……ます?」

何が起こったやら、まだ混乱状態が抜けきれない。
とはいえ周囲からの注意を引いた状態で変なこともされないだろう。
善意よりの考えで受け止め、自分からもお腹の辺りにしがみついてポンポンと感触を確かめ合うような抱き返し。
金貨の詰まったバッグだけは後ろに回す辺りは、性善説に則った行動をしつつ治安の悪い場所に馴染んできたのだろうか。

タマモ > ふむ、と少女の言葉を聞きながら、頷き一つ。
なるほど、己からすれば、この程度で収まる行動だったのだが。
少女からすれば…と、言う事なのだろう。
それは、言葉だけでない、少女の表情の変化でも、何と無く察する。
何と言うか…なかなかに、面白い反応だ。

「そうなんじゃろうか…まぁ、それは置いておいて…
別に、礼を言われる程の事でもない。
むしろ、驚かせたのは、妾の方じゃからのぅ?」

少女の、混乱しながらも、そんな甘い考えをよそに。
抱き返してくる感触を感じれば、そんな言葉を伝えながらも、ふと何か思い付く。
何気に金貨を隠すような素振りには気付いたが、己に金銭の興味はまったくない。
どちらかと言えば…己が興味を抱いたのは、この抱き合っている少女自身だ。

「…して、お主は何か探し物だったんじゃろうか?
こうして会うたのも、何かの縁、妾も暇ではあるし、ちと付き合うのは大丈夫かのぅ?」

抱き締めるその手を、何気に背に回し、撫ぜるようにしながら。
そんな囁きを、耳元でしてみよう。
周囲の視線?そんなもの、己にしてみれば関係ない。

フェリーチェ > 衆人環視の中、見知らぬ人と抱き合うのは少なくとも始めての経験。
いや、見知らぬ人と抱き合う事がそうそうあるのもおかしい。
触り方が妙に親しげなのもあって頬が火照る。

が、謝罪を受けて唐突な混乱からやっと頭が冷えてくる。
縁を語られるなら、見知った仲になれば良いと商人の血が言っている。

「お気遣い有難うございます、ホントに驚きましたけど。
 ちょっとお買い物中で決めかねていたもので、もし意見を伺えるのでしたら歓迎します」

今度こそ、作ってはいるがちゃんとした笑顔をその顔に浮かべ、抱かれた腕の中から相手を見上げる。

タマモ > 少女の常識と、己の常識の違いだろう。
…いや、常識と言うか、物の考え方の違い、とも言えようか。

抱き合ってみれば、初心っぽい少女の反応に、自然と笑みが深まる。

「ほほぅ…なるほどなるほど、そうじゃったか。
その程度ならば、妾でも何とかなろう。
それでは、ゆっくりと一緒に見ながら、考えてゆこうかのぅ?」

少女の方も、笑顔を作る。
うん、なかなかに、可愛らしいものだ。
そんな事を考えながら、見上げる少女の腰を抱き直し、大通りを歩み始めるのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフェリーチェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール平民地区・公園」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 『Rrha touwaka ra tasyue enne fhyu pirtue ♪
der herra grandus na cupla walasye ♪』
夜の公園、しっとりと聞いた鼓膜が湿り気を帯びたような錯覚すら覚える、艷やかな歌声が微か…公園の広場にある音の源には…ランタンを傍らに置いて、噴水の縁に腰掛けた姿で七色に光る指揮棒を揺らして甘やかに歌う男が一人。
草臥れたコートを羽織り、しかし声はハッキリと…遠くまで響くような声音でリズム良く…まるで何かを讃えるような普段使わぬ言語の歌。
指揮棒を振る度に、まるで誰かが演奏をしているかのように、弦楽器や打楽器の音が指揮に合わせて鳴り響様は、歌の披露というよりはちょっとした演奏会のようで。
立ち止まる聴衆の中には、まるで声で性感を揺さぶられたかのように、どこか上気した風なものも、居ることだろう。
足元に置いた小さな箱には、そこそこの小銭が溜まっている。

ヴェルソート > Rrha touwaka ra tasyue enne dor nosaash ♪
der has dor fountaina dilete foul pauwel ♪

同じリズムを繰り返す、童謡にも似た歌が指揮棒から鳴る音色に彩られ、緩やかに響き…眠たげに見える目を楽しげに細めて歌を披露する男の視界に、また一人…こちらへと歩いてくる聴衆を横目に見ながら、より高らかにトーンを上げた。
近づけば、まるで音が耳を愛撫するかのような歌声…揺さぶるような歌の情感と…声に宿った魅了の力。
そしてふわりと、香るような甘やかな気配が、聴衆を…特に男を煽り、意識を釘付けるかのような波を持って…周りの耳を「悦ばせる。」

そして、そろそろ歌が佳境なのだろう、しっとりと…消えゆくようなトーンへと変異していけば……それはそれでまた、音で耳をなぞられるようで。中には寒さでなくゾクリと、身震いしているものも居たかもしれない。