2022/01/29 のログ
■セリアス > そのうち、一人で飲むのも飽いたのか、酒盛りをする知己の合間を歩いていく。
時折、皿に盛られた料理を摘み口に放りながら。
店は貸し切りにしているわけではないため、商会の関係者以外も出入りしているものの、
身内で騒いでいる様子のせいで店に入るのが躊躇われるのだろう。
中を覗いては、入るのをあきらめたり、露骨に眉根をひそめて離れる者も居て。
漸く店に入ろうとする者がいても……酔いが廻り、無作法さが隠せなくなった者が、
ここは貸し切りだ、等と嘯き、来店を妨げているのを見つけては、困ったように眉根を顰めた。
「嘘をつくんじゃありませんよ。それだけ酔っていたら席も要らないだろうし、そちらの方にお譲りするといい」
無作法者の背中越しから囁きかけるように窘めれば、言われたほうは驚きよろめいて床に転ぶ。
商会主からの苦言に慌てている様子を見れば、周囲の者は指差し笑い、其処で飲めといわんばかりに酒を注いでやって。
言ったほうの男は肩を竦めて笑い、店先で絡まれていた新しい客に体を向けては、詫びるように会釈した。
■セリアス > 結局、新しく来た客も、腕を引かれ乱痴気騒ぎに巻き込まれていく。
その様子を緩い笑みで見送ってから、店主に、その客の分の払いも自分に廻すよう告げて。
皆より一足先に、喧騒から抜け出していく。
良い商売、良い仲間、良い夜。余韻を楽しむよう細く息を吐きながら、黒衣の男は闇に溶けていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」からセリアスさんが去りました。