2021/11/13 のログ
■クレイグ > 飛んできたチラシがあったのでふと手を伸ばして取ってから、それを飛ばした相手をきちんと確認する。
年若く華奢な少女、筋肉の付き方やちょっとした動きなどから察するに、戦いを生業にしていない事は直ぐに判った。
「驚かせたなら、すまないな…出てきた所に丁度飛んできたもんでな」
ぺこぺこと頭を下げる様子に苦笑し、頬をかく。
「これ位なら何でもないが、こんな時間にこんな場所にいるのは危ないんじゃないか?」
続いて掛けられるのは正論ではあるが、この街では中々いう人間がいない様な忠告の言葉で。
男自身が普通にそう思っているのだと判る程度には素直に言葉が出ているように見える。
それと、男に違和感を感じるかもしれない、人であれば大小あっても纏っている魔力が一切ない事に。
けれど魔物や死霊などではなく、人だとは判るのだが。
■ミンティ > 一枚ごとの値段なんて大したものではないけれど、刷るためのお金も孤児院出身者の仲間で出し合ったものだから、無駄にならなくて安心した。
受け取ったチラシを束に戻して、また飛ばされてしまわないように鞄の口をしっかりと閉じておく。
「いえ。その、びくびくしているのは……癖、みたいなもの、ですので。
すみません。せっかく、手を貸していただいたのに」
慣れない人に怯えたような態度を取ってしまうのが悪い癖だと自覚しているけれど、この歳になっても、なかなか直せないでいる。
せめて相手に不快感を与えないようにと考えると、また口癖のように謝罪をして、頭を下げてしまう。
「…え。あ、はい。…暗くなる前に、戻るつもり……だったんです、けど。
……もうすっかり、夜、ですね。……足が、遅くて。わたし」
忠告を受けると、眉を下げながら頷いた。この季節になると、暗くなりはじめてから夜めくまでの時間は、あっという間。さっきまではまだかろうじて昼の明るさが残っていた周辺も、建物の影に入っているせいで、今はすっかり薄暗くなっている。
自分としても、危ない目にあうつもりで、このあたりをうろついていたわけではない事を、つっかえながらもどうにか伝えようとして。
■クレイグ > 「別に怒ってる訳じゃないんだが…ま、癖なら仕方ないな。
最初にちゃんとお礼言ってくれただろ、それで十分だから謝らなくていい」
まぁ、人見知りする人間というのは結構いるし、彼女もその類なのだろう。
非戦闘員で人見知りするであろう少女が、こんないかにも気質じゃありませんという男と会話できているだけで立派な気がする。
続く言葉に、先ほど一瞬目に入った動き出そうとした姿を思い出す。
運動神経の問題か、駆けだそうとして一瞬躓きそうな動きをしていたな、と。
「あー、良ければ表通りまで送るがどうする?
あと、このあたりに詳しいなら少し聞きたいことがあるんだが」
そう前置きして、肩に掛けていた革袋を軽く叩くと。
「このあたりに古物商があると聞いてきたんだが、知らないか?」
そう尋ねてくる。
■ミンティ > 臆病で人の顔色をちらちら窺いがちな性格だからこそ、他人の機嫌にも敏感で。怒っているわけではないと言う相手の言葉に、こくこくと首肯を繰り返した。
口下手な分、せめて身振りと仕草で意思表示をしようと。
そんな風にぎこちないながらも会話が途切れないように努めていると、思いがけない申し出。ぱちりと目をまばたいてから考えこむ。
この国だと、自分のように弱い者はいつ襲われてもおかしくない。自分も苦い経験は何度となくしてきたから、つい身構えてしまうけれど。
「あ、…えと、じゃあ……お願い、してもよろしい…でしょうか。……はい?」
違う魂胆があるのなら、さっさと口を塞いで連れ去る方が手っ取り早いような場所。
そうしないのだから、この人は信用してもいいのだろうと考えて、おずおずと頷いた。そのあと、聞きたい事、という言葉に小首をかしげて。
「このあたりの、ですか。…ええと、一軒、知っているお店が、ありますけど…
あ、の、…一応、その、わた…しも、同業、なので…、簡単な見立て、くらいでしたら…
いえ、ええと、…その、そのお店で見てもらいたい、という話でしたら、ご案内、します」
一応、同業者のお店は大体把握している。このあたりにも一軒あったはずだと思い出したあと、仕事の依頼なら、と自分も古物商である事を明かす。
親切にしてもらったお礼に、と考えたのだけれど、商人と冒険者の間で独自に契約しているような話も珍しくはない。
申し出たあとに、差し出がましい事をしてしまったかもしれないと思うと、しどろもどろに。答えを聞く前から、勝手に考えを進めてあたふたしてしまうのも、直らない悪い癖の一つだった。
■クレイグ > 「おう、任せておいてくれ」
お願いしてもという言葉に、簡単にうなずきを返して、手をひらひらと振る。
少なくとも少しは信用押してもらえた様で、嬉しさを感じながら。
「同業ってことは、古物商なのか、いやすまん、家事手伝いなのかと思ってた。
いや、鑑定してもらえれば、誰でも問題ないんだ。
以前無名遺跡で見つけたんだが、俺じゃさっぱりでな」
生物系の鑑定は他の知り合いがいるが、古物は特に決まった相手がいない。
革袋から取り出したのは、何かの像。
男には全く価値も判らないが、古い物だとは判るので古物商を探していたのだ。
「あと、一応魔力がこもってるらしいんだが、俺にはそっちもさっぱりでな」
それを、少女に差し出してくる。
■ミンティ > 騙されたり、強引な手段を取られたりと被害にあう事も多かったけれど、だからこそ悪い人に感じる独特の空気にも、すこし敏感になっている。
その勘もときどき外れたりはするのだけれど、目の前で嬉しそうにしている男性は、とりあえず信頼してもよさそうだと思えた。
振られる手には、あいかわらず首をこくこく振るくらいの反応しかできていなかったけれど。
「いえ。その…それっぽくない、のは……自分でも、よくわかっています、から。
…………あ。じゃあ、すこし…、お借りしますね。……、ん、……と」
話を聞きながら、差し出された像を両手で受け取ったあと、片手で持ち直す。
すこしだけ顔を近づけて、見る対象が視界の大部分を占めるようにしたあと、眼鏡をずらし。特異な力を秘めた瞳で、じっと見つめた。
最初に、像の周囲を覆う魔力を確認して。そこで、すぐに眼鏡を戻す。
「……たしかに、結構な年代物、みたい、です。…えっと、ちゃんと鑑定するには、すこし、かかりそうなので…
酒場…とか、どこか、落ち着けるところ、で。お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
古いものほど、細かな情報を読み取るのに時間がかかる。そのうえ、覆っている魔力に遮られていて、この場ですぐに価値を伝えるのは難しそうだと判断した。
口調はあいかわらずだったけれど、仕事の話となると、臆病なふるまいも多少はましになり、自分から酒場などへの移動を提案して。
話がまとまれば、二人で目的の場所まで歩いていくのだろう。夜道の移動は、普段なら一人でびくびくしながら進む事になるけれど、今日に限っては暗がりに怯える機会もすくなくなったかもしれない…。
■クレイグ > 「ま、俺はほとんど戦えるかそうじゃないかくらいしか判らないんだけどな。
んじゃ頼む」
軽く謝るように頭を下げてから、頬をポリポリとかく。
男の手の内にある間は小さめに見えた像は、少女が持つとそこそこに大きく感じられる。
「時間がかかるのか…それじゃ、近くの酒場でもいくかね。
酒でものみながら、終わるのを待たせてもらうさ」
そう言って頷き、ともあれ表通りにいかないとな、と言って少女に歩みを合わせて歩き出す。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からクレイグさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアークさんが現れました。
■アーク > 平民地区の大通り。
太陽は天頂を過ぎ傾きながらもまだ温かく街を照らし人を包み込む様に暖めている。
そんな穏やかな日差しと重い荷物を背負って歩き続けた少年の火照った体を撫でる渇いた冷たい風はどことなく気持ち良く、ふぅと一息漏らしながら大通りの端っこの方に進んでから懐からタオルを取り出し、額に浮かぶ汗を拭っていく。
肩に食い込む肩紐にわずかな痛みを覚えれば、背中で軽く荷物を跳ねさせたり左右に少し揺すって場所を変えようとしている。
「よっっ、とっとっ。」
大きな荷物に振られて小さな体わその度にゆらゆらと揺れている。
■アーク > そして背中の荷物の座りがよくなってから小さな体僅かに左右に揺らしながらひょこひょことことこ、
大通りの端を歩き、食欲を誘う匂いで満ちる広場へと出てくる。
鼻を擽る香ばしい肉の匂いに、甘いお菓子の匂い、冷えた体を暖めるスープの匂いと、匂いに釣られるようにふらふらと足を進めていく。
「ふゎ、いいにおいー」
■アーク > 大きい荷物を背負いながら匂いの暴力に屈し、出店の前をあっちにフラフラこっちにフラフラ。
お財布の中身を見ながら何を食べようか選べなく、絶賛混乱中。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアークさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 近所の子どもたちの世話をお願いされて、今日は昼から公園にやってきていた。元気が有り余っているような男の子たちに追い回されたり、目の届かないところまで走っていきそうな子を追いかけたりしているうちに疲れてしまって、途中からはベンチに腰かけて休憩を取る。
そのうち太陽も傾きはじめて、それぞれの親が迎えに来る時間。まだ周囲は明るかったから、子どもたちは遊び足りないと駄々をこねていたけれど、この季節は暗くなるのもあっという間。
また今度遊ぼうと手を振って、最後の一人を見送ってから、ほっと息を吐く。目が回るような一日だったと振り返りながら、ショールを身体に巻きつける。日が落ちきらないうちから風が冷たくて、今夜も冷えそうだと思う。自分も、早く帰ろうと歩きはじめて。
「っ……ぁ」
スカートをなにかに引っ張られて、バランスを崩してつんのめる。幸い転ばずに済んだものの、いきなりなんだろうと縮こまり。
おそるおそる振り返ってみれば、大した事ではない。生垣の枯れ枝にスカートの裾が引っ掛かっているだけだった。
無理に引っ張って取れないか、と考えたけれど、そのせいで生地が裂けても困る。悩んだあとに、その場にしゃがみこんで、枯れ枝を外そうと試みる。傍から見たら少々不審に思われるかもしれない状態だから、人が多い時間じゃなくてよかった、と思った。
■ミンティ > 生垣の枝は思った以上に入り組んでいて、裾にひっかかっている部分を外すだけでも大変だった。数分ほど苦戦してようやく裾を解放できたけれど、その間に手のあちこちに枝が当たったせいで、小さい痛みが残っている。
傷になっていないだけよかったと溜息をこぼして、ゆっくりと立ち上がる。今度はスカートをひっかけないように、生垣からは距離をとって、公園の外へと歩いていき…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。