2021/11/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリスさんが現れました。
リス > 平民地区の中にある、歓楽街は、夜になると、にぎやかになってくる。お酒を提供する酒場や、色や春を売る娼館等が、開店するから。
 そして、仕事が終わり、酒や、色を求めて歩く労働者や冒険者等が行きかう物だ。
 其れなりに綺麗に整えられている店構え、色男や艶やかな女が客を引くために声を掛けている、その中を行ったり来たりする客。
 此処もまた、需要と供給によって成り立っているのだろう、なんて少女は考えながら、のんびりと歩いていた。
 蜂蜜色でストレートロングの髪をさらりと流し秋口で寒くなって来たから、ストールを羽織り歩く少女はリスという。
 普段であれば、仕事が終われば、真っ先に家に戻るか、九頭龍温泉でお風呂を浴びる所なのだけども、今日は違った。
 商人ギルドなどで友人や、コネを作って居た所に、偶には遊びに来て欲しい、という願いを貰う。
 人付き合いは確かに必要だし、食料品やリネン等を下ろしたりと、付き合いのある店や。
 酒場などの店もある、というか、少女の小さな手元には二枚のチケット。

「酒場で、の優待券、と、娼館の、優待券。」

 どちらも行くことは構わない、酒場で食事と酒を堪能してから娼館に、という流れでもいいのだから。
 ちょっと困っている、というのは単に気分の問題でもある。
 一人で行くのが、とても、とても、行きづらい。
 冒険者とかそういう物でもないから、少女が一人で、行くと言うのは、憚られる。
 知っているマスターだろうから問題は無いのかもしれないけども、やはり、一寸怖いと思ってしまうところあって。
 と、いって、運が良いのか悪いのか、道連れ―――家族とかだれもいなかった。
 今日の日付指定があるから、出てみたが。

 一人だと、すごく気が重くて、うぅむ、なんて、悩みつつ少女は目的地に向かい、石畳を進む。

リス > しばらく歩いて、目的の酒場にたどり着く、歓楽街にある酒場だからという訳でもないのかもしれないけれど、その店は、とても、色っぽい雰囲気がある。
 言葉を濁さずに言ってしまえば、半裸の女性が給仕をしていて、お互いが気に入れば、お持ち帰りできるようなお店だ。
 恐らく、お金を払えば、店が所持している部屋で、致す事が出来る類のお店だ。
 判ってはいた、だって、元々其処に酒を下ろしていたりしているから、どんな店かも調べたりしていたから。
 だけど、実際に自分が通うとなると。
 何時も、九頭龍温泉で何をしているのかを思い出せば恥ずかしくもない筈なのだが、気恥ずかしく思える。

「ぅぅ。どうしましょう……。」

 店の目の前に着たはいいが、入る気が起きない、勇気が足りない。
 どうしましょう、と呟きつつ、少女は店の周りで、うろうろうろうろ。
 誰か、救いの人は居ないものだろうか、知り合いとか、いないだろうか。

 一人ではいるのが、嫌なだけの、少女であった。

リス > 暫くの間、少女は、酒場の近くをウロウロとしていた。
 酒場に入りづらいが、約束もあるので、入らねばならない、その板挟みに、しばらくうむむ、と唸る少女。
 しかし、観念したように、息を一つ吐き出した。約束は、約束だし。
 貰っている招待に関しては、食事は、無料の提供ともあるのだ。
 それに、お誘いなら、破落戸たちに群がられる、という事もない……はずだし。
 万が一そういう事があれば、ドラゴンたちが直ぐに来るはずだ。

 今日は冒険者達の護衛を連れて居ないのはお誘いだったから、というのもある。
 こういう時に何かがあると、とても酷い事になるもので、気まずくなること請け合いだ。
 こういう時に、弱い自分を恨みたくなるが仕方がない。

 意を決して、酒場の中に、少女は入っていく。
 扉を開けて、店の中に消えていくのだったーーー

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリスさんが去りました。