2021/09/28 のログ
■ティエラ > 様々な人々が集まり、様々に品物を出して物を売る、商人ではない冒険者が集まるフリーマーケット。
冒険で得たアイテムが、毎回自分に必要な物とは限らないので、ある一定の金額を場所代として商業ギルドに支払い、仮の店舗を開いていいと言う許可を得る場所だ。
様々な冒険者や、町の人が、自分の使わなくなったものを売っているのを見ながら、魔女は歩く。
シャランと涼やかな金属の音を響かせて、人込み行きかう中を通り抜けつつ、露天の中、売り物を見る。
基本的には、使いかけのマジックアイテムが多く、掘り出し物という物は少ない。
女の目的は、買い物では、なかった。
見る者が見ればわかるだろう、女が纏うローブには、魔法の力が込められている、マジックアイテムだ。
その恰好から、魔術を使うモノだという事も、判るはずである。
フェイスヴェールで口元を隔し、葡萄の色の目で、品物を軽く眺めて興味を薄くし、次の店へ。
必要としていない、と言うのが判るだろう、女が持ってるものは、全て、マジックアイテム、頭に付けている紫色の薔薇の髪飾りさえも。
此処に来たのは、思考の為。インスピレーションを求めて。
もし、何かしら興味を引くものあれば、買い物するのは良いだろうと思うのだけど。
それをする気には、今の所ない。
「媚薬、かぁ……。」
小さくつぶやきと吐息、零れていくのは女の内心。
魔女の仲間に訊いたのだけど、この国では媚薬は売れ筋らしい。魔女としてのイメージとして、媚薬もまた、在るのはわかる。
作れるかどうかで言えば、作れる。
しかし、気が乗らない。
媚薬と一言に言っても、様々な種類がある。
魔法の薬として、惚れ薬のような媚薬、薬品で錯覚を与えてしまう物、単に、性的な興奮を与える者。精力剤……etc.
この国でのことを考えれば、売れるのは判るが、なんか違う様な気もしなくもない。
お金が手っ取り早く欲しい時に作って投げうるのは良いけども、魔女仲間に誘われて作って売る気にはなれなかった。
お金が必要かどうかで言えば、今は別に、という所でもある。
だから、こう、思考を求め、女は、歩き、ウインドウショッピングなどを、してみるのだった。
序に、良い場所があればそこで、媚薬ではない売りものを売るのも良いかしら、とも。
■ティエラ > やみくもに歩ているだけでは、掘り出し物も、良い場所も見つかるわけがない。
もとより、目的は思考なのでそれで困ることはないのだけども、矢張り、何かいい物があれば見つけたいと思う物で。
見つからなければ見つからないで、良いと思える、大事な事は別の事なのだから。
気乗りはしないのだけども、作らないといけないのだろうか。
自分に助言をしてくれている魔女の顔を立てる為に、作った方が良いのかしら、とも。
明確な答えは出ない、そして、相談できる相手は、いない。
うぅん、と小さく唸り、悩んで、女はてくてく、と道を進んでいく、フリーマーケットはそれなりに広大な広場を使っている。
だから、直ぐに端から端までと言う事にはならない。
序に一往復する間に、売り子が、店が違う事もままあるので、二度おいしい。
軽くつぶやきながら、フリーマーケットの品を見て、考えて。
そんな時間を過ごしてから、女は、帰る。
決断がどうなったのかは、知るものは、いない―――
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からティエラさんが去りました。