2021/09/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にファビオさんが現れました。
ファビオ > 「ええ。またのご利用をお待ちしております。」

人当たりの良い笑みを浮かべながら、恭しく一礼して来客の姿を見送る。

場所は平民地区の一角にある雑貨店。
周囲にある他の店舗に比べれば立地も悪く規模も小さいが、冒険者向けのアイテムから生活用品まで幅広く扱っており、固定客も決して少なくない。

しかし、それはあくまで表の一面。

決まった日、決まった時間帯にその店はがらりと装いを変え、ありとあらゆる拘束具や責め具、
更には女性を辱める為に作り出された魔法生物の類など――
陳列された商品は冒険や生活に根差した雑貨から、淫靡な情欲を満たす為の品々へと変貌を遂げる。

今宵もつい今しがた、購入した商品を手に瞳をぎらつかせながら帰路についた一人の冒険者を見送ってから、
無人となった店の中で男はこほん、と独り咳払いを零した。

「新しい商品の売れ行きもまずまず、といったところでしょうかね。
 先程の彼が『あれ』を何方に使われるおつもりなのか、個人的に少々興味はありますが……。」

クスリと唇の端を持ち上げてそんな独白を零しながら、男は次の来客に備える。

この店が持つ裏の一面を知った上で、そうした商品を求める客か、それとも何も知らずに迷い込んだだけの者か――
どちらであっても、それは今の男にとっては些末な問題であろう。

ファビオ > 「矢張り、偶にはこうして店に立つのも悪くないものですね。
 こうしてただお客人が来るのを待つというのも……ふふっ、これはこれでなかなか。」

此処は男が出資する幾つかの店舗のうちのひとつ。
無論、普段からこうして男自ら店に立って居るわけではなく、経営や接客は別の人間に一任しているのだが。

実際に利用客の声を聞くことで、次の仕入れの動向や商品の改良に生かすことが出来る――
店主へと説明したその言葉は、半分は本音だがもう半分はただの建前。

「次の新しい商品の試験に協力してくれそうなお客人でも、来てくれると良いのですが……。」

本音とも建前ともつかない、芝居がかったような口調でそんなことを呟きながら。
来客の居ない店の中、お茶でも淹れましょうか――などとカウンターの奥から引っ張り出したティーポットを手に取って。

ファビオ > 丁度その最中、入口の扉に付けられたドアベルが涼やかな音色を奏でて来客を知らせると、
男はティーポットを片手にしたまま其方を見遣り、人当たりの良い笑みを浮かべながら恭しく一礼する。

「いらっしゃいませ。嗚呼、このような状態で失礼。
 丁度今お茶を淹れようと思っていたところで御座います。宜しければ、ご一緒に如何ですか……?」

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からファビオさんが去りました。