2021/09/16 のログ
タピオカ > (宿での一夜は更けていき――)
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大衆食堂二階」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大衆食堂二階」からコルボさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」にクフィナさんが現れました。
クフィナ > 人でそれなりに混雑をする冒険者ギルド。
今日はパーティーのリーダーらしくそれなりな依頼を探しに来たのだがこれという物がなく。
一応パーティー向けもあるにはあるのだが自分たちでは手に負えないような討伐ばかり。

「これはちょっとタイミングが悪かったかな」

パーティーで受ける事の出来る依頼がないのであれば各自がそれぞれに過ごすだけ。
最悪はいつも通りにそれでいいかと考えれば複数向けと同時に少数や一人で行える依頼も一緒に探すように目を巡らせて。

クフィナ > しかしながらこれという依頼は見つかる事もなく。
適当な採取依頼を手にその場を離れて…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からクフィナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/訓練場」に影時さんが現れました。
影時 > ――断れない依頼と云うのも、時にはある。

熟練、あるいは武技魔術に覚えがある冒険者達を講師として、駆け出し冒険者達を教練する講習会という奴だ。
幾つかの冒険者ギルドが共同し、それぞれが保有する訓練場にて不定期に開催されるそれは無償で行われる。
事前告知はあっても、各ギルドに属する者全員が強制参加という訳ではないが、受ける受けないの差は大きい。

冒険者は全て、絵物語に出てくる戦士のように強くなりたい、と目を輝かせる少年少女ばかりではない。
仕事を失い、ドロップアウトして日銭暮らしの冒険者まで“身を崩した”と嘯く大人も多い。
そうした者たちは採取ばかりだけでは、安酒にもあり付けない。酒にあり付こうとするなら、仕事を選ぶ余地もない。

兵役の経験があるものはまだ良い。そうでないものが実地で学ぶというのは、どれだけ無茶なことか。
そして、卵の殻をも脱げない、外せない者達を教練できる人材とは――。

「おら、そこの。得物振り回すンじゃぁない。天井につっかえて、雑魚に腹ァ掻っ捌かれるぞ。

 でそこの。男だろ。己の盾と鎧信じて前に出ろ。前衛ってのは矢面に立ってナンボだ!!」

意外と限られるかもしれない。
実入りとしてはそこそこなれども、講師として集まった数というのは講習者の数に比べ、十分とは言えない。
朝から開催し、既に昼を過ぎた頃合いだろうか。
幾つか区分けされた場での動きを眺め遣りながら、声を飛ばす姿がある。

容貌で云えばシェンヤンの者に似る男が木剣で肩を叩きつつ、一先ず右目、左目と視界を振り分けられるように位置取り、見遣る。
片方は模擬武器を用いた戦闘訓練。もう片方は、駆け出し同士の模擬戦闘に勤しむ。
皆が皆が不慣れだ。目立りたいのか、無駄な動きが大きい様があれば、片や貧乏くじでも引いたのか。前に出ない前衛志望が文字通り目に入る。

影時 > 「……ったく」

小さく零すも、溜息をつくような仕草は見せない。
概して、不慣れなものは心中に往々にして不安を抱えている。
教えられる側は教えるものの一挙一動を、己が考えている以上に見ているものだ。
故に軽視できない。何事をも弁えて物事を教えると云うのは、魔物をただ倒すことよりもきっと難しい。

「長い武器を振り回すのは楽しいが、場所を考えずに振り回して死ぬ奴は多いンだぞ。
 なに? 得物は剣しかない? ……洞穴や地下水道に入るなら、悪いコト云わねぇから短剣買っとけ短剣。

 それでも潜りてぇってなら、突き技をよく使い分けるこった。
 突いて直ぐに戻す。盾を構えられるなら、しっかり構えて突け。そうすりゃ隙も減る」

報酬を少しずつ溜めて、念願叶ってロングソードを買ったので振り回したい――等と研修前の挨拶で宣った少年が、先ほど声をかけた相手だ。
嗚呼、気持ちは些少ながらも分からなくもない。だが、そういう手合いは武器に振り回されて死ぬ代表格だ。
剣は使いでがあるが、場所を考えていないとその本領を発揮せずに死ぬ。

幸い、訓練場の端に立てられた太い木杭の標的に向かうこの少年は盾を持っていた。
粗末な木の盾だけども、盾だ。構えて、突く。羽織の袖から出る左手を盾を持つように握り構え、右手にした木剣で虚空を突く。
己に倣ってやってみせろと促せば、少年は続く。
構えて、突く。己も構えて見せて、虚空を突く。その動きをなぞって少年が突けば、人間の喉元の高さ位の標的に当たって音が鳴る。

腰が入った良い削音に、悪くないと頷いてみせよう。

影時 > 「あとは周囲をよぉく見ておくこった。
 同じ得物を振り回す者と並んでるときもそうでないときも、な。

 前に進み過ぎるケがあるってなら、よく制止してくれる仲間が居れば大事にしとけよ?」

駆け出しの癖にソロ、単独行動をしたがるのはお勧めしない。
己のように何らかの実力、裏付けがあるなら兎も角、イロハのイも知らぬ者の単独行は立派な自殺行動である。
駆け出しの少年は口ぶりからしても、仲間が居るらしい。
編成は兎も角、血気に逸りだす、万一の際に当惑、狂乱してしまうというのは、パーティ壊滅の早道だ。
己の周囲をよく見る。無茶を抑えてくれる仲間を大事にすれば、少なくとも死ぬことは減ろう。

そう諭しつつ、近場にある模擬武器の置き場に借りた木剣を戻し、椅子代わりに置かれた木箱に寄り掛かろう。
其処に置かれている硝子の水差しに入れられた水は、魔法で冷やされたものらしい。
よく冷えて水滴を纏った水を、セットで置かれたカップに注ぎ、喉を潤して一息つく。

「……あわよくば、他所の使い手の動きを見ておきてェとこだったら、なかなか息つく暇も無ぇやなこりゃ」

四方に視界をやれば、一角では黒板を立てて魔法の講習会めいた風景や、戦術指南という小難しいことをやっている様子もある。
少なからず培った知見を聞き取ると云うのは、初心者だけではない。
己にとっても重要だ。能力として単独行の機会が多いが、他者との共同の機会は皆無ではない。
知識を持っていれば、其れを応用できる場面はいずれあろうが、仕方がねえな、と口元を歪めて肩を竦める。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/訓練場」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  ――夏が過ぎて秋風が吹き始めた頃合いは、鍛錬や修練……武器を揮うようなものでなくとも稽古事には適しているかも知れない。

 今日も盛んな訓練場には、指南する者される者……ばかりでもなく。不慣れな訓練で筋を傷める者、真剣を使って創傷を作る者、単純に転んだだけで骨を折ってしまうような鈍いうえに不運な者もおられるので、そうなると必要となってくる回復職。
 見習いヒーラーが実習で軽い負傷であれば癒すけれども、中には手に負えない場合も出てくる。
 ――そんな時には出番です。

 診療所を構えていたり、施療院に勤めている訳でもなく、冒険者ギルドに籍を置き、フリーで活動しているヒーラーは時に訓練場に詰める日もある。

 故に、鍛えるでも鍛えられるでもなく、救護所に詰めているのも窮屈、との理由からあちこちと訓練場内を見て回り。
 やがて休憩の時間にも入って、適当に訓練を終えて駄弁っているグループに混ざって雑談でも……と思ったところに。

「あらっ……」

 休憩中の人に眼がいったらそれは知った顔だったもので小さく声を上げて目を瞬くと、おーい、と少し離れた場所から声を掛けながらひらひらと手を振り。

「カゲさーん。お久ー」

 にこにこと親し気に笑い掛けながらてくてくとひとやすみちゅうのそちらへ近づいて。

影時 > このような公開研修会を遣る以上、少なくとも必ず用意しなければならないものがある。癒し手、ヒーラーの存在である。
真剣を使わない打ち合いであっても、打ち身をこさえることは稀どころでもない。日常茶飯事だ。
演武だと嘯いて無茶をして、筋を痛めたものやら、無理をし過ぎた、背伸び過ぎたものの怪我など、色々。

自業自得が過ぎない限りは、そういう治療費も今回はギルド持ちである。
そうでなければ、否、ここまで敷居を下げなければ研修を受けに来ないという者だって多い。
ギルド側として、初心者の死亡率、引退率を低減させたい以上、ある意味苦肉の策か。
教導の経験があっても、渋るものをわざわざ金を出して引き留め、依頼を遂行させようとする位なのだから。

「……他のご同業の仕事も見られるなら、休養日返上では出張らねぇぞ、ン?」

とはいえ、少なくとも己の考えが甘かったのは確かか。この点に於いては自分の見積もりの甘さである。
仕方ないからこそ機会を活かしたかったが、と苦笑をしていれば、己に掛かる声を聴く。
知らない声ではない。首を巡らせ、見えるのは。

「いよぅ、久しいな。研修か?それとも癒し手で声がかかったかネ?」

知った姿だ。己も空いた片手を振り、挨拶を返しながら近づく姿を見遣ろう。
今立つ己の姿は、何時ぞやあった時の其れではない。
腰の刀も含め、丈長の羽織と袴姿というこの場ではあまり見かけないいでたちだが、薄汚れた風情はない。

健勝そうだな、と詞を添えつつ、呑むか?とばかりにコップを掲げて見せようか。