2021/08/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 蒸し暑さが去り、過ごしやすい夜。
平民地区の宿場街は足音と活気に溢れている。
旅籠宿の呼び込みに、窓の無い妖しげな部屋。
立派な店構えだったり、ほぼ民宿のような質素な入り口であったり。
ただ一夜の屋根を求める旅人が居れば、それ以上の逢瀬を求める冒険者が居たり。
「ギルドから報酬貰えたし、しばらく羽根を伸ばそうかなー。
今日は……うーん、どこに泊まろう……?」
ここにも1人、宿を探して歩く人影。
それなりにぬくもる懐をご機嫌そうに揺らして、次の依頼に備えて心身ともに英気を養いたい。
人通りの多さを楽しみつつ、ゆっくり左右を見ながら歩く。
自分と同じように部屋を探す人影が居れば、声をかけて相部屋に誘うのも良いな。そう思いながら。
■タピオカ > とある軒下に足を止める。
木枠の入り口は狭いが、その上にかかっている看板に興味を引かれた。
それは大きな錨だった。実際に使われて何度も船を港に停留してきたのだろう、鉄錆や藻がそのまま付着している。
錨には太い係留ロープにて木製のボードが結ばれ、波頭亭と下げられている。
よくよく見れば入り口の扉はまるで帆船の船室の扉のような意匠が凝らされている。
きっと引退した船乗りが陸で宿を始めたのだろう。
陸に港を作りたくなったのだろう。
舵の形になっているドアノブをひねって中に入った。
入るなり、潮で焼けた威勢の良い声で店主に出迎えられ。
思った通りの荒々しさに目元を緩め。一晩の部屋を願うのだった――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタピオカさんが去りました。