2021/07/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアカリさんが現れました。
アカリ > 平民地区にある酒場の一軒。
壁際のカウンター席で、壁に体を凭れ掛けさせるように寛いでいる少女が一人。
もっとも、正しくは寛いでいる訳ではなく。
ちゃんと見る人が見れば、疲れ切った様子であるのが分かるだろう。

「ううぅ…何なんですの、ワタクシを、一体何だと思って…」

そんな呟きを洩らしながら、深い深い溜息を吐く。

今日もまた、冒険者ギルドでの依頼を受けたのだが。
彼女に与えられたのは、居なくなった猫を探す、というものだった。
類稀な回復能力を持つヒーラーとして冒険者に採用され、しかし、今だその力を発揮する依頼が受けられないでいる。
それでも仕事は仕事、文句を言いながらもしっかりとこなしてみれば。
以外の他に捕まえるのに手間取り、依頼達成にほぼ一日を使ってしまったのだ。

ぶつくさと文句を綴る彼女の元に、注文していたのだろう果実の盛り合わせが置かれた。
ありがとう、とお礼は律儀に、気を取り直して美味しい果実を味わう事に決める。

アカリ > メロン、葡萄、サクランボにブルーベリー、色とりどりな果実。
さっそくとまずはサクランボを摘み、ぱくっ、と口に放る。

「ん~…♪ やっぱり、疲れた後は美味しいものに限りますわね。
あの仕事に関しては色々と言いたい事はまだまだありますが、美味しい果実に免じて許して差し上げましょう!」

そんな勝手な事を言いながら、次から次へと果実を口に放る。
さっきまでの不機嫌そうな雰囲気はどこへやら、半分くらい平らげた頃には機嫌良さ気な笑顔であった。

「さて、食べた後は汗を流しにお風呂でも入って、宿でも探すとしましょうか」

彼女には一応宿を提供してくれている相手がいる。
しかし、冒険者となって仕事も出来るようになった手前、いつまでも一所に世話になりっぱなしも悪いと思うもの。
お金に余裕も少しはあるしと、今回は自分で宿を取る事を決めていたのだ。

もっとも、彼女はどちらかといえば世間に疎い方。
何事もなく事が済むかどうかは運次第。

アカリ > 時間を掛けて全ての果実を平らげる。
満足そうにお代を払い席を立てば、少し軽くなった足取りで酒場を出るのだ。
向かうのは、今も時々通っている九頭龍の水浴び場。
色んなお風呂があって飽きる事がないその場所は、彼女にとってお気に入りの場所の一つである。

汗を流した後は宿探し。
果たしてちゃんとした宿が取れたのかどうか…

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアカリさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にライツさんが現れました。
ライツ > 「お疲れさまっしたー」

と、一声を残して冒険者ギルドを後にしたのは、一人の少年。
少年は以来の報酬が入った布袋を頭上に放り上げ、頭のてっぺんで受け止める。中身の貨幣が涼しげな音をたてた。
数多に布袋を乗せ、瞳を受けに向けたままだというのに、通行人とぶつかりそうになることもない。
人と人の間を縫うようにすいすいと歩き、宿への近道である路地裏に入った。
頭を軽く振って、差し出した手の平の上に布袋を落とす。

「今回のシゴトは、まあまあ儲かったっすね。ちょっとばかし贅沢してもバチはあたらないかも」

人通りの絶えた路地裏で、独りごちる。
贅沢と言って思い付くのは、この後の遅い夕食を少し豪勢にする程度だったが。