2021/07/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にナランさんが現れました。
ナラン > 陽も暮れて暑さも少し去った頃。
尚冒険者で溢れ熱気残るギルドの入口を押し開ける女がひとり。
ギルドの受付へ軽く頭を下げて見せてから、依頼の掲示板のほうへと進んで行く。
夕食の時間帯も過ぎ、受付の向こうに見える併設の食堂は酒場と化している。その日暮らしを苦としない者たち特有の陽気で賑やかな声。
それを横目で見てから、女は掲示板へと向き直る。
この気候に長袖長ズボン、更にターバンまで巻いているが、その肌には汗一つ見当たらない。

(日が暮れてから、こなせるもの…は)

今掲示板の前に居るのは自分ひとり。
通る人の邪魔にならないようにぴったりと壁に寄るようにして、端から依頼の張り紙を見ていく。
ひとつ、ふたつ確認していって…半ばを過ぎた頃に、困ったように眉を寄せた。

(中々、都合のいいものが無い……)

女はすこしきつめの鳶色の瞳で、じっと、穴が開くくらい見つめながら残りの依頼表を確認していく。

ナラン > じりじりと掲示板の横へと移動していく。
その合間、背後を酒場へと向かう帰還した冒険者の声。首尾よく一仕事終わって、懐も温かいのだろう。気前の良い声と自信に満ちた足取りが女の背後を遠ざかる。

(……今日も、なし)

ふーっと諦めの吐息とともに足元に視線が落ちる。
路銀は未だ困る程ではないけれど、沢山あるように見える依頼表の中で受けられるものが見つからないとなると、多少は肩も落ちるというもの。
それでも再び顔を上げた時には気を取り直して、そういうこともある、と独り頷いた。

何気なく顔をギルドの受付に向けると、丁度目が合った職員にまたぺこりと頭を下げて見せる。少し、掲示板の前に居すぎたかもしれない。

(明日は、もっと大きなギルドを訪ねてみよう)

それから女はくるりと踵を返すと
賑やかな酒場を横目に、熱気と陽気な声あふれるギルドを後に夜の街へと…

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からナランさんが去りました。