2021/05/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にギデオンさんが現れました。
ギデオン > 夜も更けた頃合いではあったが、街のこの街区にはまだ熱気の余韻が尾を引いていた。
鍛冶場、そして武具商が軒を連ねる一画である。

日がな一日、騎士風のその男は、さも興ありげに様々な工房を見て回り、武具を手に取り眺めて回って日を過ごした。
男は、左の腰間に立派な剣を提げている。

その日見て回り手に取りながら検分していたのは…剣ではなかった。
いわゆる、棹状武器…ポールウェポンと呼ばれるような長柄の得物を、その男は選んで試していたのだった。

だが、生憎と気に入る獲物は見つからなかった。
そして、どの工房の主にも、この騎士風の男はひどく呆れられることとなった。

軽い、というのだ。

大の大人が、常ならばようやく持ち上げられそうな代物を、この騎士は片手で軽々と取り回し、振り回し、薙ぎ払う。

是非もない。人ではないのだから。

尤もそれを口に出すわけにもゆかず、もっと重量のある造りの頑丈なものをと問えば、そんなものは特注になると、どの工房でも呆れられて一日が終わったのだった。

「…まいったな」

随分と、先立つものを使ってしまい、手持ちは少ない。ここで、特注の武具を設えさせるとなると、やはり何か、稼ぎの口というものが必要なのだと、改めて思い知らされた、というところだ。

頭上、金色の月を男は真紅の瞳に見上げつつ、困ったようにそうぼやく。

今日のところは、武具の新調などできはせぬ。そして…ますます何か、生計…たつき…の道を探さねばと、さほど深刻でもなく溜息をつき…。

ギデオン > 鍛冶場がほど近いためであろう。近くには酒を飲ませる店が多い。職人目当ての商売が近くに集まってくるのは、これは道理だ。

つい、酒を購うかと迷ってから、そんな己に気づいて苦笑を刻む。

食べるもの飲むもの、そのようなものなど必要とせぬ身であると言いながら。
ここのところはついつい、酒というものを口にすることが多くなった。
人の営みを眺めているのは飽きないが、ただその場にいる、というわけにはゆかぬものだ。何か食べるなり飲むなりと、その場にいるにも理由というものが必要になる。
すれば、自ずと金というものを使うことになるのが道理というものなのだった。

なるほど、人の営みというものはまず金銭ありきなのだなと、妙なところで感心し、騎士はここのところ街での日々を過ごしていたのだ。

そんな中で。長柄の得物…などを探しているのは。

己の武を…稼ぎの手にでもするしかないかと、そう思い至ったから、なのだった。

ギデオン > 「…とはいえ、売剣稼業のつて…というのも、おれには心当たりがない…」

つい、という様子の独り言。
ぽつりと月へと零して男は、さほど困った様子もないまま、ゆるりと一歩を踏み出した。

春闌けた宵は更けゆくが、元来男は夜の住人。

そのまま、鷹揚に騎士は宵闇の中へと進みゆく…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からギデオンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルイさんが現れました。
ルイ > 乗合馬車を乗り継ぎ、最後には商人の護衛をしてたどり着いた街。
良くない噂を聞きはするは王都ならば治安はよいだろうと心配をしてくれる商人と別れて大通りへ。
初めてやってきた国ではいつも感じる物珍しさに視線を奪われて。

「何処の国でも王都は賑やかですね。見たいものが沢山ありそうな予感がします」

大通りに向かい、宿を最初に探す予定であったが人並みと目についた様々な商店や露店を見てその考えは消えてしまい。
あそこも見たい、こちらにも興味がと視線を奪われては右に左にと歩みを進め。
時折に人にぶつかってはあやまったりとしては次に目が奪われたものに近づいていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 王都に幾つか存在する冒険者ギルドの支部の一つ。
とは言うものの、その実態は冒険者が客として集まる酒場兼宿屋であり、
申し訳ない程度に店内の掲示板に日銭を稼ぐための依頼文が貼られているに過ぎない。
それでも、1階の酒場では冒険者を始めとした荒くれ者や、彼らを相手に春を鬻ぐ娼婦、
その他にも飲食の為に訪れた一般客達にて相応の賑わいを見せていた。

その賑わいの中心、客達がそれぞれの卓にて同席の身内や仲間と思い思いの
時間や食事を愉しんでいる中で、独り、周囲の卓の客にちょっかいを掛ける中年男の影が一つ。
本来であれば、嫌われそうな行為であるが、誰も文句を言わず、また、店主も黙認する理由は至極単純で。

「いやぁ、運が良かったぜぇ。冒険の最中にコカトリスの卵を見付けてよぉ。
 貴族の美食家が高値で買ってくれたぜ。アレは鶏と蛇のどっちの卵なんだろうな?
 と、んん?グラスが空じゃないか? マスター、こっちの人に俺の奢りで同じのもう一杯。ほら、乾~杯~♪」

等と、傍迷惑ながらも、明快にて、周囲の客達に見境なくも奢りを振る舞う故。
奢られた方は多少困惑するも、ただで酒が飲めるとあって強く文句を口にする事もできず、
店主も彼のお陰で儲かる上に支払い許容額も抑えている為に、この行為を見て見ぬ振りをする始末。

トーラス > 酒場の喧騒は暫しの間、止む事はなく――――
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からトーラスさんが去りました。