2021/04/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にギデオンさんが現れました。
■ギデオン > 時刻は昼を周り、市場の喧騒も今が盛りという頃合いであったろうか。人混みから離れた、市場の外縁…広場の出口のあたり、その人影は現れた。
一見すると貴族か…少なくとも騎士の階級の出であろうかと、そう思わせる風体だった。
銀色の髪が春の風に僅かに靡き、騎士風の男は鮮やかに紅い瞳を眩しそうに細めている。
春の空はしかし、生憎と曇り空だ。先ほどまでの雨こそ止んだものの、陽光の眩しさとは縁遠い。
瞳の色の薄い者は、そんな弱い光だとて眩しいものだとは言うが、それでもこの曇り空に、と…そう、騎士風の男の様子を怪訝に見た者はいたろうか。
皆、市場の喧騒に眼を惹かれ、そのような一見どこか風変わりな男のことなど、眼に留めてはいなかったかも、しれぬ。
男もまた、市場の喧騒を興味深げに見渡していた。
そして、その喧騒へと一歩、男は歩を踏み出してゆく…。
■ギデオン > 日々の暮らしの糧を求めに来た者。
冒険で手に入れた物品を買い取ろうという者。
そしてまた冒険者と呼ばれる者達への品を売ろうという者。
市場はそういった者達で賑わっていた。
声を張り上げての商談で乾いた喉を潤す飲み物を商う者。
小腹を満たす食事を商う者。
そういう者達もまた市場には集う。
生きるための糧を必要としなくなった身には、そのようなものを買い求める要もない。
ないが…こうして改めて人の営みというものを見ていれば、そういう細やかな営みへの興味というものが湧き出でるから不思議なものだ。
「…ふむ」
だが、しかし。騎士風のその男には、物を購う対価としての金が、そろそろ足りなくなりつつあったのだった。
食べるものも飲む物も必要とせぬ身ゆえに、思うままに小金を使っていたけれど。稼ぐということもこの騎士風の男は考えてはいなかったのだ。
それが、こうして人の営みの中にあって、改めて気づかされた…という風情。
■ギデオン > 生計…たつき…の手というものも考えねばならぬものか。
屋台と小屋掛けされた露店の間を周り巡り、そのようなことに男は思いを馳せている。
とはいえ、やはり金など稼がずとも生きてゆこうと思えば生きられる者ゆえの長閑さがある。
さて、そのような男に何かうまく稼げる手立ては見つかるものか…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からギデオンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にアンネリーゼさんが現れました。
■アンネリーゼ > 春の夜。空気が緩み始める中を、少女はぷらぷらと当て所もなく彷徨っていた。
自前のアトリエで過ごすのは何とも退屈で、無聊を慰める物を求めての散歩である。
治安の良すぎる富裕地区では何も起きなさそうだったし、貧民地区では厄介事が起こりそう。
求めるのは暇つぶし。それなりに楽しくて、面倒じゃない方が良い。それが、平民地区を選んだ理由で。
「……だからと言って、何かが起こるって訳でもないのよねぇ」
気分転換を兼ねての外出だが、その先で退屈を凌げる確約はない。
特に何事もなく、ぷらっと回って帰路に着くこともあるのだから、なかなかに難しい。
今日の所は、飲食店の立ち並ぶ区画を選び、ゆるりと歩く。こつり、こつり。石畳を鳴らしながら。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」からアンネリーゼさんが去りました。