2021/03/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 平民地区の冒険者ギルドの隅で、一人酒を飲んでいる男がいる。
この場所にはとても不釣り合いな肥満体で、しかも怪しい黒ローブ。
当然目立つはずだが、彼らの視線を気にするような事もなく、肉を食っている。
無論、冒険者ギルドと言えど、冒険者しか出入りしてはいけないという法はない。

なので、彼を止める理由はギルド員にはない。
寧ろ、大量の皿を平らげている彼は、ギルドの財布に少なからず寄与しているとさえ言えるだろう。

「ふむ……。料理はまあまあか。
まあ、富裕地区の料理人と比べる方が無粋と言うもの、それは良いのだが」

そう呟いて、周囲を見渡す。
幾人か、こちらを見て噂をしていた者がそっぽを向くが、それを気にすることもなく、冒険者たちを観察する。
まるで、蛇のような眼で。

「(中々、いい獲物は見つからぬものだな――)」

男は悪魔――それも、美しい心を持つ者を、淫蕩に堕とす事を存在理由とした悪魔である。
時折、こうして人間の領域にやってきては、彼女たちを騙したり拐かしたりして、性的に苛む。
彼にとっての『美しい心』の範囲は広い。それ故に、こうした一種殺伐とした場でも、彼の求める『美しい心』が見つかることもある。

「焦ることはない。狩りは、待つのも大事ゆえな」

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」からロブームさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区  夜の商店街」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 平民地区の一角…昼間の市場や露店で賑わうこの商店街は、夜のとばりが下りれば居酒屋や喫茶店は様相を変える。
いかがわしい雰囲気の酒場や、一夜を共にする相手を漁り合う紹介所…
そしてそれら大部分を飲み込む娼館やホテルめいた看板や店構え、客層が跋扈する妖しげな通りと変貌する。

どぎついほどの香水の香りや、肉…酒…媚薬や強壮剤の匂いが立ち込めるネオンめいた看板が並ぶ商店街の通りを、
ひたひたと幼さを感じさせる白い足が頼りなげに歩み、通り過ぎていく。

「う~っ、こわいこわいっ おくすり、売れないんならはやいところ、かえっちゃおっかな…?
…でも、こういうトコロだと、お薬ほしいひと…きゅうにいるかもしれないし…」

今宵は、近場の酒屋や娼館への、小さな薬師特製の薬…
睡眠薬や媚薬や強壮薬といった類を卸しに行った、その帰り道。
まだいくつか売れ残った薬を、露店などに売りさばこうかと帰路がてらふらふら夜の街を散策していて…

途中、素肌に桃色シャツをまとわせただけのその小さな薬師の姿に「もよおした」娼婦や変態紳士の目。

声をかけられれば「なぁに?」と無警戒な様子で振り返り、無邪気に答えるが、
お薬のお客になりそうもなく、「やさしそうじゃない、こわいおとなのひと」の気配を第六感的に察すれば、
ひらりひらりと人ごみに器用に溶け込んでかわしていく。

森で妖精のたぐいを見失ったかのように、人ごみの向こうできょろきょろうろたえる大人たちを尻目に、
軽やかに幼い桃色のシルエットは夜の街を闊歩していた。