2021/03/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 道幅の狭い路地いっぱいに良い匂い。
すれ違うのに肩もぶつかりそうな通路の両側には、羊肉も酵母入りパンも肉詰めキッシュもサーモンピザも、グラタンもサラダもスープもシードルもなんでもござれ。店番が威勢よく食事を呼びかけ、その声の後に肉汁の香りが続く。

大衆向けの飲食店が立ち並び、その間を人がひっきりなしに入れ替わり、あるいはひっきりなしに酒精の入ったグラスをおかわりしている。

そんな賑わいのとある店の端っこのカウンター席。今しがた食事を終えたらしい褐色肌の冒険者が満足げに果実ジュースの入ったグラスを両手に持って口をつけていた。

「ふふー。……今日もおなかいっぱい食べられた!
しあわせー……」

その日1日労苦して、稼いだお金で食べるご飯が一番美味しいんだとか。それを身を以て実感しながら、ほっぺに浮かぶ丸い頬紅。

食べ物と、おしゃべり。賑わいと、人の声。ずっと続くお店の軒先。
田舎者の冒険者は、そんな猥雑な雰囲気はたまらなく好きなのだった。
しばらく席を立たず、頬杖をついてぼうっと往来や、そう広くないかわりに居心地の良い店内を見回して。

タピオカ > 15歳で成人する時に旅に出される。
それが自分の一族のしきたりだ。広い高原で土地から土地へ渡り、他民族との交流が限定される暮らしで価値観が偏らないようにするため。
旅の内容は定められていない。数年で戻る者も居るし、戻ってこない者も。

自分は後者になるかもしれない。そんな予感がする。
この路地を訪れる人々の横顔を眺めるだけで、まるで旅をしてるみたいだ。そして、もっと旅をしたいと思う。

春になったらどこに行こうか。
空のグラスを手持ち無沙汰に、青写真を脳裏で描く。
ひととき――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティーラさんが現れました。
ティーラ > 平民地区にある一軒の武具店。
それほど大きくない店で商品を眺める。
それほど目利きが出来る訳ではないが値段と品質が釣り合わないのぐらいは判り。

「投げナイフぐらいは使い物になりそうです。後は……」

乱雑に木箱に詰められたナイフで状態のよさそうなものを数本取り出し。
後は…と短剣を手にするも手入れがされていないと一目で判る刃を見ては元に戻し。
少しでもマシな物はないかと探して店内を歩いて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からティーラさんが去りました。