2021/02/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にブレアさんが現れました。
ブレア > 紙袋を片手に抱きかかえながら、帰路の途中。
行き交う人々とすれ違う。中には彼女の目立つ容姿に一瞥くれる者もあったが。
それ以上のアクションは、今のところ、ない。

女が仮に人だろうが異形だろうが、近寄りがたいオーラを発しているせいだろう。
……ただ、内心。自身の冷たい美貌に怯まず、声を掛けてくる者があったら。
少しは、面白いと思う。……コツ、コツ。石畳に靴音を響かせながら、突き当たりを右に曲がる。

ブレア > そこからは狭い路地が続いている。大人二人がギリギリ横に並んで通れる広さ。
人気が少なく、近道であるから。女はよくこのルートを利用するのだが。
――あいにく、自分の向こう側に人の気配がする。すれ違うのは、避けられそうにない。

「……お先に、どうぞ」

道の隅っこに寄って、先に通るよう、相手に促す。
――もし、相手がそれに素直に従ったら。さりげなく、片足を伸ばしてやるつもり。
靴のつま先で、引っ掛けてやろう、と。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 狭い路地。平民地区とはいえ、このようなところを利用するものは少ない。
自分は種族柄、ひと目をできるだけ避けるためによく使うのだが…
この道の狭さ自体は不便この上ない。
とはいえ、今まで誰かとすれ違うようなことはなかった。
だが、今日は違ったようだ。
向こうから見えるは紙袋を抱えた女の姿。女が何も持っていなければぎりぎりすり抜けられたかもしれない。
自身は小柄な方であるから…だが、今は無理。では引き返そうか…などと思っていると

道を譲られた。

「ん、おう、わりぃな」

礼を一言。
彼女の横を通り過ぎる、が、何かに躓きよろける。
石か?なんだ?
薄暗いためによくわからない。

「んぉっ!?」

突然のことなのですっ転んでしまった。

ブレア > 「………」

無言かと思いきや、その中に空気の漏れる音が混じる。
――要は、この女。嗤ったのだ。見事、自分のブーツに引っかかって、転んだ少年を。
作り笑いを浮かべながら、彼に近寄る。紙袋を落とさないよう、重心に気をつけながら、彼のそばでしゃがみ込むと、

「――大丈夫?」

白々しく声をかけ。空いているほうの片手を伸ばす。
起き上がるのを助けよう、と。さすがに2連続でイタズラは仕掛けない。
ただ、彼が素直に手を取るか……それはわからない。

ブレイド > 「つっ、あ…?」

足元に全く注意を払っていなかった。
なぜならば、女性は何事もなく歩いていたのだから…
だからなぜころんだのかがよくわからない。
女性が足を引っ掛ける理由もありはしないのだから、もちろんそこに思考が至ることもなかった。

かといって、突然転ぶほど自分も不注意な人間ではないはずだ。
頭の中に?がうかぶ。どうかしたのだろうか…だが、女性から声がかかり
顔を上げれば伸ばされた片手。
笑われたような気がしたが…そりゃ隣で突然派手にすっ転べばそうもなる…だろうか?
ともあれ…

「あ、ああ。大丈夫だ。かっこわりーとこみせちまって」

差し出された手を素直にとって、立ち上がろうと。

ブレア > なぜ転んだのか。少年の目の前にその理由があるのだが……。
そこまで彼は至らないらしい。――確かに。初対面の相手を疑うことは、ふつう、しないだろう。
最初からお互いに険悪なムードだった……とかでもしない限り。

しかし。

「――足、引っ掛けたの俺だよ。……お前、抜けてるよな――ハハッ」

少年の手をぐっ……と力強く握れば、器用にこちらに引き寄せる。
紙袋を落とさないまま。どうにも毒気が抜かれてしまって、自分から種明かしをした次第だ。
握力・腕力、今のところ成人女性の平均程を出したくらいだが。不意打ちなので。
相手はあまり抵抗できないまま、ブレアのペースに巻き込まれているかも知れない。

ブレイド > 取られた手は至って普通の女性のそれ…とおもえた。
どこかしら近寄りがたさすら感じた女性ではあったが…
かけられた声は意外なものだった。

「へ?なっ…おまっ…なんで…!?」

驚きに眼を丸くしてしまう。
なぜ引っ掛けられたのか。
それに言葉遣い。冷たさすら感じる空気をやぶるような笑顔。
何もかもが予想の範囲外。
女性に引き寄せられるように立ち上がる。狭い路地の中で。
強くひかれていれば女性の方によろけてしまうだろう。

ブレア > 「人を巣喰うのに理由は要らない――って、言う、じゃん? ――ハハハッ」

唇の端を歪めながら、稚拙な言葉遊びを吐き出す。
いい加減、片手を塞いでいる紙袋がうっとうしく思えてくると――、
自分の後方。影の中へ放り込み……それは消えた。

両手が自由になると、子どもみたいに嬉しそうな表情になり、

「今日はお前を玩具にしてやる、っつってんの。――おわかり?」

よろけるように相手がこちらに来れば、彼の後頭部に手を軽く沿え……、
自分の胸元へ引き寄せる。コート越しでも、胸の質量や大きさは伝わるだろう。

「あ。……そうだった、そーだった」

思い出したように言えば、彼を胸に抱いたまま、片手で指を一度鳴らす。――途端、しぃん……やけに静まり返る周囲。
結界を張った。自分たちが認識されないように。邪魔は避けたいものだ。

ブレイド > 「すくう…って、……ぇ…?」

彼女の言葉遊びには気づかぬままに、影に放りこまれる紙袋。
何がどうなっている?
転ばせた相手が救う?なにを?今のはなんだ?
顔を上げると、同じ金色の瞳があった。

「な、なにいってんだ?足引っ掛けやがって…こんな…って!?」

喧嘩でも売られているのだろうか。
声を荒げることはないが、玩具にするという女の声。
少し苛立ったように言葉を返そうとするも…抱き寄せられてしまえばすぐにそれも驚きに変わる。
どういうことだ?さっきから疑問と混乱だけが頭の中を駆け巡っている。

「なんのつもり、だよっ…!」

抱かれてしまっているため…いや、そもそも道が狭すぎる。
武器に手を回すことができない。

ブレア > 「わりぃ。……言い直してやるよ。
 『人を助けるのに理由が要らないなら、人をいじめるのにも理由は要らない』。
 
 ――そゆこと」

これで相手に伝わったかは大いに謎だが、女の性格が悪いことは大いに伝わった気がする。
お互いに同じ色味の瞳。……ただ、女の虹彩には淡い水色の花模様が浮かんでいる。
人外めいたそれ。街中でもそれを隠さないのは、魔族、と断定されるほどの異質はなかろうと踏んでいるから。

視線が交わると、女は目を細め、

「おっまえさ~……状況の処理、遅くない? ――あはは」

彼の戸惑いをよそに、こちらは不躾な言葉を放るだけ。
抱き寄せることに成功すれば、そのへんの民家の壁に寄りかかり。
腕の中の少年をやや上から眺める。

「だーかーらっ。『玩具にする』って言わないっけ?
 ……自分より弱いやついじめるの愉しいんだよ俺~」

弱そう、ではなく。弱い、と。わざと断言するのは……相手の反応を見て楽しむため。

ブレイド > 「んだっ…とっ…」

いじめる。そう口にする女性に対しては明らかに不快そうに。
同じ瞳の色。だが決定的に違う。
人とは違う花模様。だが、こちらもよくよく見れば人のそれとは少し違う縦長の瞳孔が見えるだろう。
彼女が魔族のその力に敏感であれば、薄く混じったその光も。

戸惑いの中、挑発されたのはよくわかった。
よくわかったが、そのときにはすでに腕の中。
おかしそうに笑う姿に眉根を寄せる。

「いうじゃ、ねぇか…弱いかどうかみてみるかよ…」

正直、女性に攻撃を仕掛けるのはあまり好きではない。
だが、戦闘となれば話は別。
別なのだが…この状況だ。胸元に埋まってしまってる。
もがくにしてもこの状況は…すこしばかり厄介だ。

ブレア > 「あれえ~。……ひょっとして。満更でもない?」

わざとらしくやや高い声のトーンで。小首を傾げて見せた。
どこにもそんな文脈も気配も流れもないだろうに。
曲解に曲解を重ねては、彼をただ煽るほうへ持っていく女魔族。
……が、不意に真顔になると。

「お前ってば、独特の匂いがする――人間じゃないのはなんとなくわかるけどよ。
 フードの下、怪しいし。……ふぅん。もしかして、お手つき?

 俺好みにしたかったのにな~」

結局、また人を小バカにしたような表情に戻る。
彼相手だとこれがデフォルトになりそうだ。

「――んー。ぬいぐるみ抱いて寝るのも飽きたし。
 こいつを今日は抱き枕にしようかな……持ち帰ってもいい??」

時折、ぐいぐい自分の胸元に少年の顔を押し付けながら。
彼の言葉なんか無視して、自分のペースで話す女。噛み合ってない。
女には協調性がないというか……その、相手に合わせて話すこともできるとは言えばできる。
ただ、自分にとって面白そうなこと、興味が湧くことのほうが大事で優先だ。

しっかし。なぜかお持ち帰りに関しては、本人の同意を確認する始末。
常識の塩梅がすこぶる悪い。