2021/01/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグレン=ギムレットさんが現れました。
グレン=ギムレット > 平民地区、酒場が多く立ち並ぶ通り。
そこにひっそりと建つ、一軒のバー。

「……」

静かな店内には、音楽などもなく。
人間も、客の男一人と、店主が一人。
ハッキリ言うのなら、流行っている、という店ではなかった。
しかして、唯一の客である男は、むしろそれを良しとして、酒を飲んでいる。

「……ふぅ……」

グラスを揺らしながら、その空気感というか、雰囲気というか。
そういったものに、息を吐く男。
このバーは、いわゆる酒場や、冒険者の宿、という店とは違い。
単純に、酒を楽しむための店であった。
だからこそ、あまり客は入らないし、静かに酒と対話が出来る店でもあり。

「……ん……マスター、お代わりもらえるかな?」

グラスが空になれば、男は静かにそう言い、お代わりを注文し。
店主は、黙って頷き、男のグラスを受け取り、すぐに琥珀色の液体を差し出してくる。
無駄な会話も無い。邪魔も入らない。
男は、この店のそんな雰囲気を気に入っていた。

「……」

新たな酒を舐めながら。ちら、と男は外を見る。
この店は、一応酒場通りに並ぶ店だ。
だが、地味な店であるから。何かに追われる人間や。
喧騒から離れたい人間が入ってくるには、逆にちょうどいいかもしれない。
……少なくとも。男はそういう状況に出くわしたことは無いが。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 褐色肌の冒険者は、王都郊外の村落にうろつき始めていた、冬オオカミの魔物の討伐依頼をこなしていた。
歩きで半日の日帰りクエストだった。
復路を馬車にて、王都へ戻ってきた頃となるともう夜も更け、しんと冷える夜空に白い息がけむる。
冷えた両手に口元に、わずかな熱気で温めながら歩く平民区。

酒場の多く並ぶ通りにさしかかり、この先にあるギルドに向かって報酬を受け取ろうと歩幅を早めた。
その時、居心地の良さそうなバーを見つける。
何の気もなしに一度通り過ぎた後に、立ち止まり。
眼光鋭い剣呑な、けれどもお酒と静寂を心から楽しんでいるよな人影が外を眺めているのを見る。
瞬きをすれば、踵を返し。

「蜂蜜酒、くださいな」

軒先で肩に浅くつもった雪を手先で払い除けてから店の中へ。
甘く飲みやすい、お酒に強くない己でも1日を変え、人生を変えるような一杯を注文しながら。
鹿皮の、少し濡れて重たげなマントを脱ぎ払い。

「ね。隣でも良い?
お兄さんがひとりでお酒楽しんでるのは知ってるけど。
王都に帰ってくる馬車は1人で乗って、ずっと黙ってたんだ。
何か喋らないと、唇が外の寒さで凍ったままなの」

とん、と柔くカウンターを指先で。
相手の隣のあたりを叩いた。
冷気でほの赤くなった頬を緩め、
冗句と思わしき声音を混じらせ、にこやかな笑みを投げかけ。

グレン=ギムレット > 「ん……」

次第に、胃の奥に火が点いたような熱さを感じるようになって来た頃。
新たな客の登場に、男は、小さく声を上げ、視線をそちらへと微かに向けた。
まだ若い少女という様子。頼んだのは蜂蜜酒。
男は、とりあえずその少女のジャマをしないようにしよう。
などと考えていたのだが。

「……おぉ? いや、構わないが。
 ……なるほどな、そういうことか。
 しかしまぁ、だとするなら。
 オレみたいなゴロツキとだと、楽しい会話、にはならないかもしれないぜ?」

まさか、話しかけられるとは思っていなかった男。
別段迷惑でもないので、隣に座ることは快諾する。
ちょうど、そのタイミングでマスターが少女に蜂蜜酒を差し出し。
同時に、干し肉を二人の間に置く。
極めて細く切られた干し肉には、たっぷりの塩とコショウ。
手間暇などを考えると、割と高級志向な物品と言えるかもしれない。

「……じゃあまぁ、乾杯、かな。
 オレはグレン=ギムレットだ。
 好きなように呼んでくれ。……そちらのお名前は? お嬢ちゃん」

そうして、男はグラスを掲げ、名乗ってみせる。
ともすれば、悪人丸出しな風貌の男であったが。
浮かべた笑顔は、どこか子供っぽい印象かもしれない。

タピオカ > 「あは!……自分の事をゴロツキなんて言うゴロツキだなんて。なかなか居ないと思うよ。
居るとしたら楽しい人か、……ゴロツキのふりをしてる人。
違う?」

彼の隣に腰を落ち着けると、その物言いにくすくすと肩を震わせる。他愛もない話題ながら、如何にも自分が名推理をしたかのように。小生意気げに片目を瞑ってから笑みかけて遊び。マスターが酒精と食べ物を運んでくれる。
ありがと、と言いつつ小ぶりな自分のグラスをとり。

「じゃあ、グレン。
火山の中の宝石みたいな名前だね。
僕はタピオカ。よろしく、グレン!
……冬の夜のおいしいお酒と、偶然の出会いに。乾杯!」

グラスを浅く掲げて、乾杯の挨拶述べ。
見た目は厳つくとも、子供のような輝きのある笑みへと小さな白い八重歯を浮かしてグラスを傾けると、ひと心地つく。
蜂蜜の甘さが身体に染みて、美味しそうに小さく息を吐き。

「僕はこのとおり……。冒険者なんだ。
グレンは何をしている人?荒っぽい連中がかかってきても物ともしないように見えるけど……。傭兵さん?それとも……賭博場の前に立ってる用心棒だとか」

腰の曲刀を鞘のまま示してみせ。
見た目の厳つさと口の滑らかさに、適当に相手の職を推し量ってみせ。

グレン=ギムレット > 「さて、どうだろうなぁ……。
 実際のところ、オレの生活の糧はギャンブルでね。
 そういう意味じゃ、ロクデナシなのは間違いない」

笑みをこぼす相手に、男は毒気を抜かれたというか。
あるいは、トゲが落ちたというか。
自身の職業について思うところあれど、悪ぶっていても意味がなさそうだ、と判断し。
男自身も笑みを漏らしてしまう。

「タピオカ、か。なかなか、聞きなれない音の名前だな。
 あぁ、こちらこそ。よろしくな。
 おう、乾杯」

相手の名前を記憶し、互いにグラス掲げ、ちび、とまた一口。
干し肉をつまみ、食せば。硬すぎず、実にスパイスの効きもいい塩梅。
そのまま、男は相手の姿を見る。

「なるほど、冒険者か。
 ……まぁ、そうだな。一応、ギャンブラーがメインで。
 時には、冒険者の真似事や用心棒もやる。
 簡単に言えば、本当にゴロツキだよ」

相手の宣言と格好に、なるほど、と納得する男。
そのまま、問われたことに関しては素直に答え。酒を空にし、お代わりを注文。

「この店はまぁ、見ての通りの店だが。
 マスターの選ぶ酒、作る酒は一級品だ。
 そこに、タピオカみたいなかわいい子が隣にいる、となれば。
 こりゃあなかなか。贅沢の質が上がるってもんだ」

くくくっ、と笑いつつそう言う男。
マスターは表情一つ変えず、男への酒を注いでいき。

『流行らない店で悪かったな。
 ……一応年代物の火酒なんだ。
 一日を変え、一生を変えるカクテルを、とまではこちらからは言わんが。
 ヴァルハラ、とまでいかなくとも。それなりにイイ店だと言って貰いたいね』

ペラペラと話す男に睨みを利かせたマスターは。
そう呟き、男の前に、ドン、と少し手荒に酒を提供した後。

『お嬢ちゃん。一応、多少ならカクテルも作れる。
 希望があったら言ってくれ』

と、マスターは少女に対しては、笑みを浮かべてそう言う。

タピオカ > 「へぇ……!
カードにダイスから剣まで。荒事ならなんでもって感じだね。
うん。……たしかにゴロツキかも!あはは!
でも、ギャンブラーの生活って興味があるなあ。
賭け事で稼ぐって剣で稼ぐのとは違うでしょう?
冒険者の仲間から話を聞いたことがあるよ。
……ギャンブラーになるには、お酒と喧嘩に強いこと、
そして何より運が良くないといけないって。……当たってる?」

聞くに確かに、稼ぎ方としては社会の裏方寄り。
商売というよりはゴロツキと評して正しいかもしれない。あっさり意見くつがえして軽やかに笑い。
危うい賭場の綱渡りに必要な資質の話を思い出し、
本職の人に真意を確かめ。

「このお店、初めて入ったんだー。
……うん。ここのお酒が一級品っていうのは確かだね。
この蜂蜜酒、飲みやすいのに頭がふらふらしないし。指まであったまるぐらい美味しいよ。
ふふ、かわいいなんて。……ありがと。
普段はそんな事言ってもらえないから、うれしいな」

相手とマスターの顔を交互に見遣りながら、
親しげな様子に目元を緩ませ。
良い雰囲気と良いお酒。
酒場と口にするより、バーと表して然り。
そんな場所と彼とのおしゃべりに興じて寛いだ顔つき。

「ここは良いお店だよ、マスター。
もしかしてマスターは元拳闘士?……へへ、冗談だよ。
えっと……。飲みやすくて甘いのが良いな。
シュガーラッシュ、くださいな」

マスターへ悪戯っぽく語りかけたりもしつつ。
手近なメニューを見ながら蜂蜜酒と似た酒精を求めて。

「ねえ、グレン。
グレンがギャンブラーっていう証拠、見せてもらっていい?
僕とこういう賭け事はどう……?」

二杯目を準備するマスターの脇で、何かを思いついた顔つき。
マスターに羊皮紙と羽根ペンを借りて。
何やらしたため始める。

「ルールは簡単。
僕は一枚、こうやってカードをめくる。
グレンは、次のカードがこのカードより数字が大きいか小さいかを当てる。
同じ数字ならやり直し。
グレンが、数字の大小を正しく予想できたらグレンの勝ち。
予想が外れたら、僕の勝ち。
どう?」

ギャンブラーにギャンブルをひっかける無謀な申し出をする。
ルールとしては、ビッグorスモール。
次の数字を予想するだけのシンプルなものだ。
勝負をもちかけつつ、トランプの山札に見立てて即席で作った羊皮紙の束から、1枚目を取り出して相手に数字を見せる。
[1d10→8=8]
タピオカ > (1枚目に描かれているのは8の数字。挑戦を受けるのなら、次にでてくる数字が8より大きいか小さいかを答えてもらえれば幸い)
グレン=ギムレット > 「まぁ、荒事、というか。賭けの対象になるならなんでも、かな。
 用心棒や冒険者の真似事も、オレにとっちゃあ命をコマにした賭けみたいなものだし。
 ……そうだな。酒とケンカに強い、ってのは確かに大事だ。
 場所によっちゃあ、酒で潰そうとしてきたり、負けを暴力でなかったことにしようとするやつもいる。
 ただまぁ、運の良さ、ってのは。最重要というよりは、最後の砦、かな」

一番大事なのは、ココとココさ、と言い。
男は、自分の頭と胸を指差す。
要するに、冷静さと度胸、と言いたいらしく。

「店によっちゃあ、質の悪い酒を平然と提供する店もあるからな。
 ここのマスターは、酒と、それを楽しむ空間に関しちゃあ手を抜かないと信頼できるのは、間違いない。
 そうなのか? あぁまぁ、でもそうか。
 冒険者ってのは、仲間に対してカワイイだなんだと言いそうにないからな」

クスクスと笑いつつ、ずいぶんと失礼なことを言う男。
それも、男自身が、冒険者稼業はたまにしかしないからこその言葉だが。

『ありがとうよ。……ま、俺の過去の話なんてのは聞いても面白くないぜ。
 色々な仕事をしていたのは確かだがな。
 ……シュガーラッシュか。アルコールは、少し弱めにしておくぜ』

マスターは、少女の注文に静かに笑みを浮かべつつ。
過去の職業に関しては否定も肯定もしない。
そのまま、注文を受ければ、ニヤリと笑みを強めた後。
少女が酒に強くないことを察し、ウインクをしながらカクテルを作り始める。

「オッサンのウインクとか、気色悪いだけだぞ。
 ……ふむ、証拠? 証拠ねぇ」

そのマスターのウインクをからかうように言う男であったが。
少女からの提案に、興味を惹かれたように、身を乗り出し話を聞き始め。

「それはいいが……何を賭ける?
 金かい? それとも、何かの物?
 まぁ、なんにせよ。ギャンブル、と言われたら引き下がるのは流儀じゃない」

なるほど、簡単な遊びだ、と。
男はそう考え、賭けに乗る事を選択する。
問題は、賭けである以上、何らかをベットしなくてはいけないことだが。
男は、金でも物でもいいぜ、と言いつつ。
数字を見て……。

「……小さいほうに賭けよう」

ふ、と。息を漏らし、そう宣言した。

タピオカ > 「命をコマ、かあ……。
グレンは考え方からギャンブルなんだね。
モンスターはディーラー、武器は手札だったりして。
まれびとの国はさしずめ、おっきなルーレットだったりして。
でも、最後に運の良さを持ってくるあたりは……思ってるより、賭け事は技術の話になるみたいだね」

ゴロツキというよりは勝負師。
盤上で次の一手を静かに考えるよな思考に、武道の道に通じるような印象も受ける。
頭と胸を指差す仕草に、何を言わんとするかをなんとなく心得、感心したように相手を見上げる。

「お店、気に入っちゃった!
……冒険者ギルドの仲間にも紹介しておくね。
ここの雰囲気をわかってくれそうな人、何人か居るから。グレンとも、仲良くなってくれると思う」

彼とマスターを交互に見遣りながら。
店主の過去は、喋らないのなら推し量るだけになるだろう。どうあれ、店主の望むような客を連れる事はできる。アイコンタクトで瞳を細め。
茶目っ気のウインクに、いっそう楽しげに相好崩し。

「じゃあー……。僕が賭けるのは。
――夜伽、一回分。
グレンも、同じぐらいの価値のもの賭けてよ。
……小さいほうだね。
次のカード、めくるよ」

お金はそれなりに持ち合わせはある。
物は、旅荷物程度だ。
それなら、もっと面白いものを賭けたいと提案するのは、一夜のベッド。
自分が負ければ、一晩性的な奉仕をすると妖しげな微笑み浮かべ。

ゆっくりと次のカードをめくり。
[1d10→2=2]
タピオカ > (相手の勝利。カードをめくれば、ぱちぱちと睫毛を弾ませ。ギャンブラーってホントなんだねと言わんばかりに笑顔向け)
グレン=ギムレット > 「まぁな~。ぶっちゃけると。
 若い頃からギャンブルばっかで、手に職就けられる技能も無く。
 で、コレで食ってくようになったから。
 死ぬときはあっさり死ぬだけだしな~」

技術も大事だし、退き際を見誤らないことも大事、と。
男は、相手に偉そうに語った後、少しバツの悪そうな表情になる。
ギャンブラーが冒険者に語るのは、少しお門違いでは、と気づいたようで。

「そうか。そりゃあよかった。
 この店が多少なりとも繁盛すれば。
 長く店も続くだろうしな」
『気をつかわなくてもいいぜ、お嬢ちゃん。
 ただまぁ、ウチの店のよさを分かってくれる客なら大歓迎だ』

男とマスターはそれぞれに自分勝手に言い、大笑する。
そして、マスターは少女に、注文の酒を静かに提供し。

「……よ、夜伽って。そりゃまた大胆だな。
 じゃあ、俺はキミの言うことをなんでも一つ聞くとしよう。
 ……この瞬間がたまらないんだよな」

相手のまさかの提案に、男は面食らうが。
それもまたおもしろいか、と。すぐに勝負に乗り気になる。
そうして、相手がカードをめくる瞬間。
勝ちと負けが決まるその瞬間に高揚した様子を見せ……。

「……俺の勝ち、だな。いや、勝っちまった。
 ははは、今のはそれこそ。
 完全に運だけの勝負だけれどな?」

自分の勝ちを告げるカードが出れば。
少し困ったような笑みを浮かべる男。
当然、男としては、8という基準のカードから、確立の高いほうを選んだのだが。
素直に勝てるとは思っていなかったらしく。動揺を打ち消すように、酒を一気に呷る。