2021/01/18 のログ
■トーラス > 彼等の会話に割り込むように、店主がムスッとした顔をしながら、
色々なものが食いたい奴は表通りのレストランに行ってくれ、と不愛想に告げる。
その態度は特別に怒っている訳ではなく、常連客の減らず口に呆れているかのようで。
まぁまぁ、と取り繕う中年男の態度に鼻を鳴らすとカウンターに注文の酒を二つ置く。
意趣返しであるのか、彼女のグラスにはなみなみと注がれた酒は、彼のグラスには三分の二程度しか注がれておらず。
「生パスタなんて保存が利かないのは、この辺りの店じゃ見掛けねぇなぁ。
でも、ニンニクも好きに食べられないとはお嬢さんも不便なもんだな」
グラスの葡萄酒に、こいつが合うんだ、と太鼓判を押しながら、彼女の横で飲み食いする。
塩味も辛みも強いパスタに、負けじと劣らず自己主張の強い酒は想像以上にマッチングして、
フォークで巻き取る料理も、グラスの酒も合わせて進み、それでも、彼女から遅れる事少しして漸く完食に至る。
横目で女の様子を覗き見て、ストールが剥がれて露わにされるドレスの胸元に今一度、軽く舌なめずりして。
「お互いにニンニク臭いのは確かだな。少し匂いが和らぐまで、この店で休んでいかないか?
この店は休めるような場所も用意されてるんだ。」
愉しそうに笑い声を漏らす彼女を尻目に懐から飲食代に宿代を追加した金額を取り出すとカウンターの上に置き。
彼女の腰に手を廻して、椅子から立ち上がれば、そっと店の奥にある宿部屋へと誘おうとして。
■エリア > 「あら、ごめんなさい、文句をつけている訳ではありませんのよ。こちらのお料理美味しいですわ……お酒は、ちょっと量を奮発し過ぎではございませんか?」
ワインをこんな風にグラス一杯注ぐのは初めて見た。少々手古摺りながら、大盛りのパスタのお蔭で飲み切る事が出来て、ふうっ、とやはり顔を赤らめて今度はニンニクの上に酒臭くなってしまった吐息を零した。
「その様ですわね。触感が異なりますが、これはこれで。
ええ、まあ……口臭がするとお相手に失礼となりますから。ほんの少しでも大体駄目なんですの」
肩を竦めて、こんなに味のバランスを考えてというよりも料理人の勘が総ての大雑把な料理を口にする事も勿論なくて、多目にと言えばニンニクを追加して貰えるシステムもあり得ない。
普段であれば禁忌な代物をたっぷり口にしたが、しかし、その後の誘い文句には、ちょっと待ったが入る。理由は――、
「まだ食べ足りませんの。お腹がいっぱいになるまで待っていただけません事?」
大食い令嬢のストップは何とこんなもの。――たらふく食べるまでは今日はまだ時間が要りますよと席から立ち上がらない不動の女。
粘り強く待つなら、食事が終わった際に改めて交渉を持つかも知れないが、痺れを切らすならば、またの機会にと手を振ることになろう。
■トーラス > 「そうだそうだ。贔屓は良くないぜ、マスター」
彼と彼女に注がれた葡萄酒の量の格差に批難の声を続けるも、
またもや、五月蠅ぇ、の一声にて一蹴されてしまう。
「好きな物を自由に食べられないってのは確かに辛いかも知れないな。
夜の路地裏で、あんな声を挙げていたのも理解できるぜ」
最初に出会った時、度肝を抜かれるような台詞を口にしていた
女の滑稽な様子を思い返して、眉尻を下げて苦笑を滲ませて見せる。
そうして、女を奥の部屋へと連れ込もうとした折、立ち上がらぬ相手が口にした台詞に、
彼は本日何度目になるか分からない、双眸を丸めた驚きの表情を見せた。
「まだ、……食べるのか?」
冒険者や荒くれ者の胃袋を充分に満たし切る分量の大盛りのパスタになみなみとグラスに注がれた葡萄酒。
彼女よりも口にした量が少ない己ですら既に腹八分目に近いのに、未だ足りぬと告げる女に驚愕の視線を向ける。
それでも、梃子でも動かぬ鉄の意志を見せ付ける大食漢の令嬢に肩を落とすと椅子に腰を降ろして、
彼女の胃袋が満たされる迄、その隣りで大量の食事がその小さな口に消え去るのを見届けて――――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にトーラスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアークさんが現れました。
■アーク > 夜の平民地区をトコトコと散歩する少年。
リュックは宿屋に隠し今は身軽に出店の間をあっちにフラフラこっちにふらふら。
小さな花を擽る香ばしい肉の匂いにつられてみたり、キラキラと光る彫金細工を観察して流行りの柄を見て見たりと、興味と好奇心のままに突き進んでいく。
「次はどっこにいこうかなぁ~」
フンフン鼻歌を鳴らしながら平民地区の路地のほうへとふらふらと引き寄せられていく。
■アーク > そうして、平民地区の路地に並ぶなんだか如何わしい出店。
捨て値同然の値段で売っている変な匂いのする肉串を見れば何の肉だろうか、等と店主を見ればどうにもまっとうな感じのしない薄暗い顔の男。
視線が合った時ににやぁと笑いかけられれば、少年はびくっとしつつも愛想笑いを浮かべながら後ろにじりじりと下がっていく。
■アーク > そして少年的に一瞬の隙をついて、背を向けてとりあえず掻き出したが、向かう先は路地の奥。
逃げられた店主としては確かに扱っている肉は廃棄寸前の肉だが、笑みを向けて逃げられた事はカモに逃げられたと小さく舌打ちしていたとか。
そして、はたと気づけばすっかり平民地区で迷子。
さて、何方に行けば戻れるのだろうかとむぅっと悩み始める。