2021/01/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」にイディオさんが現れました。
■イディオ > (賑やかな広場、皆は普段の生活という物を堪能している、行き交う馬車に、笑い声を上げて走る少年少女、仕事帰りだろう、男性や買い物帰りなのだろう女性。
そして、広場の中央では、何処かの貴族―――だろうか、はりつけにされている。何かをしたらしい、遠目ではわからないが、ああ、今日も処刑があるのだろうな、という事ぐらいは判る。
これが、日常なのである、この国の。
貴族の処刑を気にする人もいれば、気にしないように避けて通る人間もいる、男は、そう言ったものを眺めながら、串焼き肉を潜りもぐもぐと食べている。
冒険者は、厳密にいえばこの国の市民ではないものが多い、詰まるところ此処の国の貴族が死んだところで、特に痛みを覚えることが無いのだ。
自分に依頼を持ってきた貴族だったり、縁のある貴族であればまた別だが。
残念なのかそうではないのか、男は貴族に縁がない、そもそも、薬草採取ばかりしている冒険者に貴族が声を掛けることも無い。
なので、見知らぬ貴族が処刑される場面に出くわした、と言う程度の感覚だった。)
「しかしまぁ……よくやる。」
(碌でもない事である、なんやかんやと誰かがつるし上げられて、そして、処刑されていく。そんな国の状態は、戦争の為だけではない。
良くない噂も色々聞くし、少し寂れた所に行こうものなら、女性が強姦されている、其れすら日常と言える。
だから、男の様なアウトローの存在が、堂々と歩いていられるのだろう。
依頼はこなして、ギルドに報告をし、時間があるから、と歩いていたが。
何と言えばいいだろうか、少しばかり閉口する死んだ目の冒険者だった。)
■イディオ > 「………――――。」
(しばしの間、串焼き肉をがじりガジガジと食べて居たが、其れも終われば、串をポイと、その辺の屑籠へと捨てる。それから、男はおもむろに、処刑台の方へと近づくことにした。
遠くで何かをやっていると言うのは判って居る、近づいてみるのは単に情報収集のためだ。
こういう時の貴族と言うのは、其れなりに面白ことを言うことが多い、他の貴族を道連れにするための真実などだ。
基本的には罪人とされているので戯言だとされることが殆どであり、真実なのかどうかは調べなければ判らないのだけれども、調べてみれば面白い事もある。
そして……それを自分で調べるのではなく、情報屋に売るのだ。
自分で調べると言うのであれば色々なことがある、其れこそ、情報を揉み消したい貴族の妨害なども含めて。
そういう技術もないので、こう言うのはそういう噂を買い取る人に売ればいい。
そう考えた男は、処刑台へと近づいて、見上げる。)
(判ってはいるが、あまり気分のいい物ではない、取り乱す貴族は暴れ、処刑二人に抑えられているのが見える。
何かをわめいている、必死に大声で叫んでいるのが見えてくる。
これが、よくある光景のうち一つなのだ、と再確認する男。
わめく言葉を、唯々、光の無い目の儘に、じっと耳を澄まして聞くのだ。
周りでは、囃し立てたり、ひそひそと噂しているので、神経を集中しないと聞こえないと言うのもあった。)
■イディオ > 「――――」
(やはり最初からいなかったのは痛手だったか、貴族の言葉は大体が恨み言であり、面白い物でもなかった。
逆に言えば助かった、といって良いのかもしれない、知らなくていい事を知らないのだから。
喚いている、叫んでいる、吠えている。唯々獣のような姿の貴族を見ているだけである。)
「考えようによっては、幸運かね。」
(軽く肩をすくめて背を向けた、その折に執行されたのだろう、ごとんという、鈍い音だ、何の音なのかは知りたくもない。
訊きなれて居る音でもあるし、その後の歓声なのか悲鳴なのか、まじりあった人々の声にも興味はない。
さて、串焼き肉だけでは、腹も膨れないし、ギルドに戻って、酒でも飲むか、と男は人混みの中を滑る様に抜けていく。
変な気を起こしたが、何事もなくよかった。
余り冒険などはするものではないよな、と冒険をするのは、危険に対する覚悟と、それを最大限減らす努力や技術を得てから、だ。
気持ちだけの覚悟など、無謀でしかない、そう、冒険者の男は考える。)
「まだまだ。だな。」
(独り言ちて、男はそのまま広場を去ることにした。特徴の薄い男が一人いなくなったとして。
貴族の断罪の後の熱気は、変わることは、無い―――)
ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」からイディオさんが去りました。