2020/12/24 のログ
ミンティ > そろそろ今日の仕事を終えるお店も出てくる時間。大きな買い物袋を胸に抱えて、白い息を弾ませながら先を急ぐ。
そろそろ一年も終わりが近く、必要なものを買い足しておこうと歩き回っていた。けれど、自分の仕事が終わるころには夕日がかなり傾いていたから、今日一日では行きたいお店をすべて回れそうになかった。
せめて今からでも間に合いそうなお店はなかったか、買い物用のメモを確認しようとして。両手が塞がっているせいで、すこしもたついてしまう。

「…えっと…っ、…と、あ、……す、すみません」

暗くなりはじめているとはいえ人通りはまだ減ってはおらず、そんな中で急に足を止めたものだから、あとから来た人とぶつかりそうになってしまった。
あわてて道を譲り、ぺこぺこと頭を下げる。こんな状態では上着のポケットからメモを取り出すより先に、抱えている荷物を道に散乱させてしまうかもしれない。
そう思うと、今日はおとなしく引き返そうかという考えも生まれて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 冷たい風に慌ただしい人々。
もう日も落ちようというのに人通りは減らない。
一年が終わろうと、始まろうと、冒険者には関係ない。
その様子を横目で見ながら今日の宿を探す。
そんな人波のなか、立ち止まった桜色の髪。立ち止まり、ぶつかりそうになり、頭を下げ…
零れそうな荷物も抱え、何をやってるんだか。
少し呆れた様子で少女を見る。それが顔見知りだと言うならなおさらに。

「なんかするなら、道の端にでもよりな」

久しぶりに会うだろうか。
少女に声をかけ、ひらりと手をふる。

ミンティ > 結局メモを取り出すのはやめて、荷物を抱え直す事にした。買い物袋の容量いっぱいまで、いろいろと詰め込まれているせいで、それでも少々危なっかしい。傍から見ても明らかに頼りないのだろう、すれ違う人たちが距離を取るように歩いている気がして、小さく溜息をこぼした。
せめて自分の荷物をばらまきそうだと思われない程度には、しっかり見られるようになりたい、なんて考えていたら、また足が止まってしまう。

「っ。…あ、こんにち…、…こんばんは、かな。おひさしぶり…、です」

注意を受けて、びくりと震えてから振り返る。声をかけてきた人物が見知った相手だと知ると、ほっと息を吐いた。
それでも、ひさしぶりだったから口調がぎくしゃくしてしまう。人見知りの癖がぶり返したみたいに、ぎこちなく頭をさげて。

ブレイド > 少しだけ、人の流れが彼女を避けていく。
フラフラとして、もたついて、忙しいさなかで荷物をぶちまけられでもしたら溜まったものではない…といったふうに。
だが、おかげで少女に歩み寄るに容易い。ため息をこぼす様子などは
見慣れた少女の姿、だと言えるだろう。変わりが内容で安心した。

「ああ、そうだな。変わんねーようで何よりだ。
なにしてーのかわかんねーけど…荷物、持ってやろーか?」

久しい相手ということ、そして彼女生来の口下手もあって、対応がぎこちない。
だが、それを気にせず、少女に近づき手をのばす。

ミンティ > なにか大きなやらかしをしてしまったわけではないから、あまり恐縮する必要もないだろうけれど、もたもたしているところを見られたのは、すこしだけ、ばつが悪い思い。
自分にとってはよくある事だからこそ、またやってしまったという気持ちになって、肩を落とす。こうやって顔見知りから注意を受けるのも一度や二度ではないから、なかなか成長できないな、と気持ちが沈みかけて。

「あ、ぅうん、だいじょ、……ぁ、ええと…、…じゃ、じゃあ、すこしの間だけ…お願いしていい、かな…」

少年の申し出を受けて、とんでもないと首を横に振りかけた。
けれど、人の厚意を素直に受けられないのも悪い癖の一つだったと思い直すと、今以上に落ちこんでしまわないように、おずおずとしながらも首肯を返した。
手渡す前に荷物をばらまいてしまわないように、慎重な動きで買い物袋を差し出して。

ブレイド > 「おう」

遠慮しかけた少女だが、思い直したのか荷物を差し出してくれる。
ツッコミを入れるのも無粋であると、軽い返事を返すにとどめ、少女の荷物を受け取る。
自分にとっては大したものではないが、少女にとっては結構思いし、バランスも悪いのではないだろうか。

「んじゃ、こっちだ」

買い物袋を抱えたまま少女を道の端…
路地の入口の側に誘導するように歩き出す。
なにをするにしても、道のど真ん中では目立つだろうし、邪魔になる。

ミンティ > そんなに長く歩き回っていたわけではないけれど、荷物を抱えるために折り畳んでいた腕を下ろし、疲れを抜こうとする。一日で買い物を済ませようとして、やっぱり無理をしてしまっただろうかと、また同じ場所で立ち止まったまま考えこんでしまいそうになり。
少年に誘導されて、はっとして、あわてて路地に入るあたりのところまで小走りに移動して。

「ごめ、…え、と、…あの、ありがとう。…ブレイドくんは…お仕事の、帰り?」

癖で謝罪が口をつきそうになったけれど、先に感謝の気持ちを伝える事ができた。こういう部分だけは、以前より多少ましになったと思いたい。
指を組みあわせて、ん、と息を吐きながら伸ばしながら小首をかしげて問いかける。

ブレイド > 謝罪が来ると思ったが、とんできたのは礼だった。
以前よりは前向きになったようで、思わず笑みを浮かべて。
路地は表通りの人波を避けるにはちょうどよく、これならば、少女が立ち止まって何をしようと問題はない。
荷物を抱えたままに、建物の壁に背を預けて。

「そんなとこだ。オレたちにゃ年末とかかんけぇねぇからな。
ミンティは、そういうもんの買い物ってとこだろうが」

買い物袋の中に視線を落としてみる。
とはいえ、これだけではないのだろう、おそらく。
これで終わりなら、道の真ん中で立ち止まる必要もないのだから。

ミンティ > 自分と比べてすこし背が高いくらいの体格差なのに、渡した荷物を軽々と持つ少年。どんな風に生活しているか考えれば当然の事なのかもしれないけれど、やっぱり自分は人より非力な方なんだろうと実感できてしまう。
かといって、仕事や勉強の時間を削って運動まで、となると身体がもちそうにないけれど。

「…そっか、大変…だね。…ぅ、ん、そう。…本当は、今日一日で済ませておきたかったんだけど…」

買い物袋の中には、食用油や調味料の瓶が詰まっているのが見えるはず。先に重たいものから買ってしまおうと考えたのも、失敗の一因だったのかもしれない。
一応、本来の目的だったメモを懐から取り出して確認してみたけれど、こうして話している間にも空は暗くなっていくところ。

「…もうちょっと、考えてお買い物しないと…だめ、だね」

これ以上は諦めた方がいいだろう。そう判断して、メモをポケットの中に戻して。

ブレイド > 自分と彼女では、性別も種族も仕事も…何もかも違う。
こちらは常に荒事の中にいる冒険者。彼女は古物屋の店員。
体を使うことは明らかにこちらのほうが慣れている。比べることにあまり意味はないのだが…
少女は劣等感を感じているようで…気にし過ぎのきらいはあるだろう。

「仕事もあったんだろ?
朝からやってこの量ならそうかもしれねーが…」

自戒するような少女の言葉に慰めの言葉をかける。
確かに荷物は重たいが…

「今度こういう買い物があるときは荷物持ちでも連れてくんだな。
友達でも彼氏でもよ」

からかうように話しつつ、メモをしまう少女の様子を見て。

「んで、どうすんだ?」

ミンティ > ほんのすこし手が空いただけでも指や腕が楽になってきた。抱え続けている間は重たく感じていた荷物も、実際はそれほどでもなかったのだろう。
せめて、握力くらいもうちょっと強くできたらいいなと考えて、両手を握ったり、開いたりと繰り返して。

「……さすがに、…そこまで、鈍臭くはない、と…思う。
 本当なら、お休みの日に買い物に出た方がよかったんだろうけど……」

今日一日の成果がそれだとしたら、日常生活を送るのも難しいくらい脆弱な事になってしまう。さすがにそんな事はないと苦笑しながら、首を横に振ってみせて。
休日に買い物に出る事も考えてはみたけれど、人混みに揉まれて体力を消耗してしまう自分が容易に想像できてしまう。

「……ううん…、わたしが必要なものだから、できるだけ自分でって…思うんだけど…
 そうだね、お仕事…として、受けてくれる人とか、探してみようかな」

自分の買い物に人を付き合わせられるような性格だったら、もうちょっと器用な生き方ができていたはず。そうなれたらいいなと思ったりもするけれど、難しい事もわかっているから、代替案を口にして。

「もう暗くなりそうだから、今日は、ここまでにしようかな…
 あ、ごめんね。ずっと持たせちゃって…、ありがとう」

メモをしまったあとも少年に荷物を預けたままだったから、すこしあわてて手を差し出して。

ブレイド > この荷物をかかえてしばらく歩き回っていたのだろう。
しきりに腕や指を動かしては体をほぐす様子をながめる。
肉付きはそれなりに良い少女だが、筋肉となるとまったくだろうし
何より、重さそのものよりも、腕が動かせなかったことのほうが堪えるのは自分にもわかる。

「わかってるって。
まぁ、まだ日はあるし、明日でもいいじゃねぇか」

少女に笑顔で返しつつ、荷物を抱え直して。

「仕事ぉ?バカだな、こんなことでいちいち金かけるつもりかよ」

人に頼るのが本当に苦手な少女だ。
また呆れたように笑って。

「んじゃ、昼飯おごってくれるなら手伝ってもいいぜ?
どうせ、明日の予定なんざまだ決まってねーしな。
またフラフラされちゃかなわねーし、これくらいなら家に運んでやるよ。
そんくらいはサービスしてやる」

ミンティ > 受け取ろうとした荷物が抱え直されて、差し出した手は空振りしてしまう。
呆れたように笑う少年を見ていると、困ったように眉を寄せて。自分にとっては、お金を払って頼んでもいい仕事だと思えたから、小首をかしげて。

「で、でも…いろいろ持ってもらう事になると思うし…
 ……?え、あ…、…ええと、…あ、明日、すぐにかはわからない、けど……
 じゃあ、お願いしても…いい、ですか?」

自分の考え方がずれているんだろうかと不安に思いながらも食い下がろうとして、少年からの提案に目を丸くする。
ただで手伝うという申し出ではなかったから、すこし迷って、考えこんで、どうしようかとは思ったけれど、最終的には首を縦に振った。
昼食を奢るくらいなら出費としても痛くなく、買い物の手伝いを頼んでも、心苦しくもならなそうだと思って。

「…あ、と、…じゃあ、……今日の晩御飯も、かな」

このまま家まで荷物持ちをしてくれるという少年の厚意に甘える事にして、その分の対価として夕食に誘ってみる。
その話が纏まれば、帰り道に向かって歩き始めるだろう。道中、預けた荷物が重たくないかと、何度も問いかけたりしたかもしれず…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からブレイドさんが去りました。