2020/12/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 「お待たせしましたー!エール大ジョッキ4人前になりますー!」

夜の平民地区、酒場や宿場が連なる通りは酔っ払いの笑い声とジョッキを打ち鳴らす音で賑わう。
そんな喧騒の中、とある酒場では褐色肌の冒険者がウエイトレスとして働いていた。
右手にジョッキを、左手に料理。
テーブルの隙間を縫って早足。注文をとって、厨房へ伝える。

冬が深まり、外出や長旅には少々厳しい季節になった。
というわけで冒険者稼業は休業。
冬にのみ現れるような大物の討伐依頼が来るまでは、酒場のウエイトレスとして働いているわけで。

そして、この酒場には店主公認のお小遣い稼ぎが存在した。

肉汁滴る料理とコンソメ香るスープをとあるテーブルに置く。
「お待たせいたしました!ごゆっくりどうぞ!」
そう笑顔で告げながらお辞儀をし。
ぴらり。
そのまま、テーブルに座る客に向けてワンピースのフリルを小さくたくし上げる。
客はその太腿の奥を覗いたあと、いくらかのゴルド硬貨をテーブルの上に置いた。チップである。

そのチップをやはりにこやかに受け取ると、ウエイトレスは仕事を続け。
新しい来客や注文に気を配るように、あたりを見回し。

タピオカ > 注文を覚えたり、お客さんを相手に接待したり。
ウエイトレスの仕事は、冒険者としての、剣士としての経験とはまた違った意味で自分が磨かれる。
野の山で駆け回って、家畜の世話をし。
幼い頃から自然の中で生き抜けるように水や食糧を得る方法を学んだ。
魔物と遭う事があっても倒せるよう、剣を学んだ。
街に出てからは不慣れながらも人とのしたたかな交渉術や依頼をこなす難しさにも触れた。

それなりに一人前になったつもりでも、この酒場に居るとまだまだ初心者だと身をもって教えられる。

「――ごめんなさい!すぐかわりを持ってきます……!」

――たとえば、うっかり。つるりと指から滑ったエールジョッキを床にぶちまけてしまった時に、とか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタピオカさんが去りました。