2020/11/09 のログ
■ソーニャ > 「普通、座る前に聞くものだわ」
レディに対する気遣いがなっていない、と言わんばかりの、憤然たる物言いで。
家出娘には違いないのだが、気配やら何やらに敏くない身では、
相手は単なる人間の男にしか見えていないので―――どうにも、侮られたような気がしてならず。
「たとえあたしが家出娘でも、あんたに助けなんか求めないわ。
―――じゃあね、お節介さん」
図星を差された恥ずかしさに起因する、八つ当たりの類であるとは百も承知。
けれどもこれ以上話していても、苛立つばかりで益がないとも思えて。
すく、と立ち上がり、そっけない挨拶を残すと、素早く踵を返して歩き出す。
荷物のひとつもなく、家出娘にしてもおかしな風体であろうが、
―――――相手が単純に心配してくれただけの、通りすがりの善良な人間であるならば。
無作法な娘の姿は、ほどなく、広場から消え去る筈だ。
■ライヨウ > 「礼儀がなってないのは知っている、謝りはしないが」
当然の物言いに悪びれた様子も無く答える、
普通の家で娘ならば保護して連れ戻せば貴族に伝手でも出来るかと
声を掛けてみたが、どうやら一筋縄では行かない娘の機嫌を損ねてしまったようで。
「まあ、そう邪険にする必要もなかろう…その様子では
何の当ても無いのだろう、それに…この街で魔族の娘が独り歩きというのは少々危険なのではないか?」
その場を立ち去ろうとする娘、いつの間にか立ち上がったのか
彼女の背後に音も無く近づけば背後から誰にも聞こえない様に耳打ちをする。
■ソーニャ > 確かに貴族には違いないが、しかし―――――
本来であれば、のんびりこんな場所で過ごせる立場でもない。
男の思惑など知る由もないが、もし、この小娘の親と
縁が繋がったところで、男の側に得るものなど無いだろう。
ともあれ、娘は立ち去ると決めた。
噴水に、男に背を向けて歩く足取りに、もう迷いはない。
いつの間にか近づいてきていた男が、背後から囁き落とした、
魔族、という言葉に、一瞬、小さく肩を揺らしたものの。
「―――――何を言ってるのか、分からないわ」
肩越しに振り返って、金色の瞳が男を睨み上げる。
返す言葉はたったひと言、声の調子にも揺らぎはない。
そうして今度こそ、振り返りもせずに。
足早に、身軽に―――――娘は、広場から姿を消した。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からソーニャさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からライヨウさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリスさんが現れました。
■リス > 定期的に行なわれる、商人ギルドでの集会に参加した少女、その帰り道、平民地区の道をのんびりと歩いていた。
今回の集会に関しても特に大きな議題なく、定期的な商品の売れ行きや値段の確認などであった。
やはり、食料などに関しては、値段がじりじりと上がっているのを感じる、と言うのも戦争状態が続いているので人手が足りずに食料の供給が緩やかに減っているから、と言うのもあるのだろう。
大商人たちは、団結して外の国から買い付けているが、さて、其れも何処までも角かしら、少女は首を傾いで見せる。
今の所は、そんな集会であり、今の時刻は夕方だった。昼前から始まったが、本当に長くかかったわね、と、少女は夕暮れ時の街並みを見やる。
どの建物も茜色に染まり、人々は、思い思いに岐路に―――もしくは、夜の街に繰り出すために歩いている。
人通りは未だそれなりに在る、今日は、店の方には顔を出さずに帰るわ、と伝えてあるし、屹度みんな頑張っているだろう。
この後、どうしましょうか、と考えている時に、くぅ、とお腹が鳴る。
「そういえば、お昼から、何も食べて居なかったわね……何か、ご飯しましょう。」
お腹が減ると余りいい考えが浮かばないものだしね、と少女はきょろり、と視線を動かして、周囲を見回す。
ちょうど、酒場やレストランが立ち並ぶ区域で、おいしそうなにおいが其処此処に。
わぁ、と小さく目を輝かせつつ、首を傾ぐ。
商人で、其れなりにお金持ちの方に入る少女だが、矢張り食事は大好きで、高級な物だけではなく、安い、上手い、なごはんも大好きだ。
ただ、女の子一人、そういうお店―――酒場とかそういう所に入るのは、一寸怖いお兄さんとか居て気が引ける。
だから、こう、護衛とか、そんな感じの人、とか、知り合い、とか居ないかしら、と、周囲の人の往来を眺める。
だって世界は広くて狭いから、こういう時は結構、誰かいたりするのだ。
■リス > 求めている時に限って、誰かが来てくれたり、とかは、ない物なのだろう、運が良ければと言うのは、逆を言えば、運が悪いと良い事が無いという事だ。
きょろきょろきょろきょろ、と視線を動かし、顔を右を左と向けて居たが、結局は見つからない。
そうなると、選択肢のうち一つは消えることになる。
「うーん、こういう、酒場とかは好みなのだけど……。」
安い、上手い、多い、そんな酒場を眺めて少女は残念を口にする。
人竜ゆえに、人間ではないから食事の量は人よりちょっと多めなのである、そういう少女が、レストランとか、お上品な所でご飯とすると、テーブル一杯必要だったり。もしくは、フルコースをそのまま一人でしっかり貰うぐらいになってしまうのだ。
なので、こう、道連れ連れて、酒場で、怖いお兄さんとかから守ってもらって、たっぷり食べたい、その為に奢るくらいなら全然大丈夫だ。
好みの女の子ならその後お持ち帰りして、いちゃいちゃするのだって―――醍醐味である。
しかし、誰も知り合いが見当たらないから、その作戦は使えないのだと、少女は肩を落とす。
お腹が、くぅ、くぅ、と早く食事を、とせかしている。
「串焼き肉……」
一寸、つまみ食いしてからにするか、それとも、素直にレストランに入ってテーブル一杯にするか。
むむむ、と腕を組み、少女は、道を進む。
■リス > 「うーん……、うーん……。」
レストランで大量注文か、それとも、一寸どこかで軽く食べてからのレストランにするか。酒場に関してはいっぱい注文してもそんなに目立たない。
他にも同じく沢山注文している人がいるからだ。レストランとかはそうもいかない、平民が多くとも大食いが多いわけではないので、目立ってしまうのだ。
それは、格式が上がるごとに言える事で、格式が上がるごとに量が減り、おいしくなる。
お腹がいっぱいになるにはやはり酒場が一番なのだ、でも、怖いお兄さんとか居そうで怖い。
正直に言って、商売してるときとかは、何時でも全力で口論できるけれど、一人の時は其れもままならないというか、年相応の少女でしかない。
次女とか、三女とか、娘たちが強すぎる。多分、末娘ぐらいだ、話が分かってくれるのは。
と、考えていても仕方がない。
「串焼き肉、にしましょう。」
先ずは串焼き肉を食べて、其処から、気になっているレストランにしよう。あそこのお肉料理、とても評判だったし。
だから、街路上に有る、串焼き肉屋に近づいていく。おいしそうなにおいを放つお肉が沢山焼かれているのが見える。
そこで、お持ち帰りで10本下さい、と、皆で食べるんです、と言えば店主は何も疑わず、少女に紙袋に入った、焼き立てで美味しそうな串焼き肉をくれる。
それを持って、少女は町を進む、一本ずつお肉をパクパク食べながら。移動しながらは、一寸はしたないけれど。
串焼き肉はそういう風に食べるものだし、と。
■リス > しかし、歩きながら食べられるものだとしても、歩きながら食べ続けるのは矢張り……自称お嬢様、としてはしたなく思う。
と言うか、屹度帰ったら、ヴァールさんに怒られてしまう、あの人は物理的に見ているから、ごまかしは聞かないし……家に戻ったら娘前でも笑顔で正座でお説教タイムになるはずだ。
なので、とりあえず一つ二つ手に入れてから、近くのベンチに腰を下ろすことにする。
ベンチで一人で食べているけれど、道行く人は、少女一人に気を向け続けるとかそんなことはないだろうし、残りは五本大丈夫だと思われる。
これを食べ終えてから、レストランに行こう、其れでしっかりとお腹を一杯にして家に帰ろう。
もぐ、もぐ、もぐ、もぐ、と串焼き肉を食べながら、道行く人を眺めるのだけれども、皆、何か急いでいるように見える。
何かイベントでもあったかしら、と首を傾いで考える、そんなイベントなどがあれば直ぐに乗っかるので、これが、彼らの普通なのかもしれない。
もぐもぐ、と串焼き肉を食べていたのだけれども、少し喉が渇く。
何か飲み物でも買っておけばよかったかしら、飲み物を売っている屋台が無いか、と少女は探してみる。
偶に珍しい飲み物があるので、屋台はなかなか侮れない―――が、一寸見当たらない。
仕方がないので、串焼き肉を食べ終わったら、一寸急いでレストランに行って、其処で紅茶を頼むことにしましょうか。
むぐむぐと、肉をかじりながら考える少女
■リス > 「っむぐ。」
静かに串焼き肉を食べていた少女は、10本を平らげることに成功する。多いと思われるだろうが、ドラゴン的に言えばまだまだ小食、と言うか、おやつ程度。
ここからちゃんとした食事をしないとだめなのだ、お腹が、くう、と鳴り続けているのが証拠でもある。
とりあえず、目を回すほどの空腹感から脱出した少女は、立ち上がり、紙袋と串を、ごみ箱にポイ、と捨てる。
先程目を付けたレストランに、行くことにしよう。
「ふふ、楽しみ。」
と言っても、ゼナとか、娘とか、皆で来たいな、と言うのもあるので。
先ずは先に入って、味だのなんだのをちゃんと覚えておかなければなるまい、と言うか、少女の食べ歩きは大体そんな所である。
実際、家の中の書斎にあるメモ帳のうち一つは、家族で食べに行くためのレストランマップだったりもする。
あそこはおいしいから、店長と交渉して、新鮮な食材を配達する、と言うお仕事にも関連させてたりするのはまあ、商人ならではだが。
さてさて、と。少女は目を細めて、その店の前まで歩いて。
そのまま静かに扉を開けて、レストランの中へ入っていった―――
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリスさんが去りました。