2020/10/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 乗り合い馬車停留所」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 王都の夜。
2頭立ての乗り合い馬車が、平民地区にある停留所に停まっている。ゾス村へ向けての深夜便であった。

中は4人乗りになっていて、今は乗客がひとり。
褐色肌の冒険者がひとり、革張りのシートに身を沈めてくつろいでいる。
馬車の窓の外にかけられたランタンの明かりや、そろそろ寝静まる王都の様子を眺めて。

「ゾス村近くに見つかった、血の旅団一派の隠れ家の掃討作戦、かあ。……ふふ。激しい戦いになりそうだね。
ちょっと楽しみ……!」

ゾス村に駐屯している王国軍から冒険者ギルドへの緊急依頼だった。手すきの冒険者をこの夜の時間、各地からゾス村にかき集め。急ぎ、編成し。敵に逃げられないうちに拠点を潰す。
そんな事情で、褐色肌の冒険者はゾス村を目指しての移動である。


旅や武装の準備も終え、依頼書の内容はだいたい覚えた。
あとは出発時間までくつろぐのみ。
そんな中、馬車は他の乗客の姿を待っている。

タピオカ > 乗り合い馬車の、開いたままの扉の向こうから酒場の入り口でカウベルが鳴る音。酔っぱらいが肩を組んで歩く足音。
富裕区へ向かうらしい、真っ白な毛並みの馬が引く銀刺繍がほどこされた馬車の姿。
何やらあやしげなお店へと誘いたがる、背中の大きく空いたドレスをまとった異邦人。

様々な人の、それぞれの夜を横目にしながら。
御者が出発を告げると、扉が閉められ。
ゆっくりと馬車は夜の中を走り始め。
静かに流れていく夜景――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 乗り合い馬車停留所」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイグナスさんが現れました。
イグナス > (ああ、いかん、遅くなった―――。)

そういう思考で足早に駆ける。
夕刻も過ぎ、各々が食事も終えるような時間帯。
ディナータイム、一日限定10食――そういうのを食べたかったワケで。
今この時間、既にかなり怪しい。
目的の飯屋まで器用に…あるいは周囲の人間たちが避けているだけかもしれないが。

…鐘の音、時間がまたひとつ過ぎた音がどこかで聞こえる。

(まずい……。)

いくらか焦った。さっきまでするすると走っていたけれど、どが、と音、及び衝撃。

「う、お……ッ。…っ、と、お、い、大丈夫か…っ」

何かに、だれかにぶつかった。結構な衝撃だった。
こちらは大男だったゆえに大したものではないが、これにぶつかられた相手の衝撃はいかに。
ちょっと慌てた様子で謝罪しながら、相手に目線を動かした。果たして、どんな相手にぶつかってしまったか。