2020/09/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にテレサさんが現れました。
テレサ > 夜の帳が降りた街中に、一人の少女の姿がある。
不安げな表情で辺りを見回しながら、時に夜空の月を見上げて溜息をついて――

「はぁ……どうしよう。すっかり迷子になっちゃった……」

呟いた少女は手近なベンチに腰掛け、はぁ、と再び小さな吐息を漏らす。
行商人の娘である少女テレサは近日マグメールへと渡来したばかり。
この日、暫く滞在する事になる街の視察も兼ねて散策をしていたは良いものの
気付けばこんな時間。辺りはすっかり静まり返り、視界に収まる範囲に憲兵の姿も無い。

「街の入り口まで一度戻れば、憲兵さまに案内して貰えるかな……でも……」

ベンチに掛けた腰が上がらない。一日中歩き続けていた疲労からだろうか。
そうなれば、今暫くは街の片隅で一休み。来訪者があれば行幸。そうでなければ、再び夜の街を歩こう。

テレサ > 「明日は、教会にお祈りに行こうかな……」

思い返せば、この街の教会に寄る事をすっかり失念していた事を思い出す。
大きな街の大きな教会には強い憧れがあった。神聖な空気に包まれた礼拝堂の空気、
色とりどりの美しいステンドグラスに見守られる自分を想像すれば自然と笑顔が溢れて来て。
楽しみを思い浮かべれば、夜道の恐怖も路頭に迷う不安も薄れてくる気がする。
少女の両手は、無意識の内に、腹部に刻まれた『聖紋』を優しく撫でていた。

街灯に淡く照らされる金色の髪。ぽつんとベンチに佇む少女の姿は何処か儚げで、
もし画家が通りかかったのであればすぐさま描き出してしまいそうな程、絵になる光景だ――